マグナ クラッチ修理
ホンダ マグナ VT250CT 走行30000Km 強であります。エンジンの温度上昇に連れシフトダウンがしにくくなり、1速に入らなくもなる。さらにジャダーを感じることもあった、との事で修理依頼された次第。1時間程試乗してみると、確かに乗り出しから既にシフトタッチは素敵とは言えない。乱雑なシフト操作では、温度に関わらずギャーチェンジに手間取ったりする。しかし、操作を慌てることなくセオリー通りにシフトダウンしていけば問題は感じない。乗り手によってはいわゆる「クセ」として放置されるレベルだと感じた。新車からでも操作感に個体差やクセを感じることもあった時代とはちがって、今時の殆どのバイクは、気遣いの無い雑な操作でも素直に動いてくれる。かつては不思議ではなかった様子も、修理が必要な故障として敏感に感じられるらしい。数十年の間に育まれた生産技術の進歩を実感する次第であります。試運転後、チェンジペダル他の外部関連を点検してみると、転倒のダメージと見受けられるチェンジペダルとシャフトの僅かな曲がりが確認できた。ペダルのシャフトにはゴムシールが挿入され、シャフトの歪と油切れで少し動きが悪い。シフト操作で戻りの速度に遅れが見える。加えてオフセットされたチェンジペダルのボールエンドに摩耗分のガタがあった。おそらく大方の原因はこれだろうと思う。しかし、オーナーの話からすると使用なりにクラッチ版の摩耗や当りの変化も、故障レベルではないにしろ加わって相乗的な感触となった可能性は大いにある。実際、健康なクラッチ板を交換してみたら、ハッキリと感触が変わった例もある。どの気になる点も、それひとつではどうってことないものだけれど、束になれば違いをハッキリと体感できるようになるかもしれない。それに、とっても素敵な操作感を求められている雰囲気なので、クラッチ本体もヤル。クラッチディスクの摩耗は無いに等しい、スチールプレート中央寄り数枚に焼け色。ジャダープレートなるものも入っているけれど見た目は異常なし、だが全て交換する。2個のボールエンドは単体の部品設定が無く、ペダルとレバーAssy の扱いになるけれど、肝心のチェンジペダル側Assyは終了部品な為、やむなく裏技処理でガタを消す。ペダルとシャフトの曲がりは、ごく普通にダイヤルゲージと力業とで修正。クラッチスプリングのヘタリは1mmで、普通に乗るには許容範囲内。クラッチアウターの当り面の段付きは、多少あるけれど特に問題にならない程度。そうではるけれど、限りなく新車の操作感に近づけるには放置できない。摩耗は僅かなので交換では無く修正するとして、計16カ所をセッセと削り落とします。綺麗になりまして、組み上げて、いざ試運転。クラッチの切れもこれ以上ない程になり、ペダルの動きの完全復活と相まって、ギャーチェンジはスッコンスッコン!クセのある古いバイクがあったりまえで ノリカタシダイダベナ・・なんて言ってるこのジジも、つい操作が雑になったりして、楽ちんですのぉw・・・(^^!)小さな積み重ねと連携は、チューンナップやモディファイの基本。いつも修理を完了する度に再三思い知らされる、けれど飽きもせず。ささやかな変化でも、密かに達成感を満喫しては、ほくそ笑んでおりますwこれぞ修理の醍醐味と感じているわけで、その快感への依存症的な生活は、まだまだ続くはず、なのであります。