GSF1200S キャブレター分解清掃
小生、あまり触れる機会が少ない、リッターオーバーの修理依頼です。久しぶりの4発は不調で、これまたキャブレターの分解清掃。内部は一見して綺麗な状態ながら、隅に緑色の酸化物あり。穴径の小さいスローパイロットジェットが詰りぎみ・・と、オーバーフローによる不調。例によってクリーニング液に漬け込んで、きれいサッパリ。しかし、残念な事に、このキャブレターのフロートバルブシートは、ネジ込式ではなく、取付部にОリングを使用という、トラブルの要素が増えるハメ込み式。今回もやはり、このフロートバルブシートの取付Оリングにヘタリがあり、オーバーフローぎみだったのは、どうやらコイツのせい。ありがちなニードルバルブとシートの当り不良は、段付きや摩耗等も全く無く問題なし。しかし、キャブレターボディーへの取付けで、そのハメ合いがガタガタのユルユル。加工精度の問題なのか?意図された設計なのか?固定のビスで絞めれば動かないとは言え、これは感心しませんね。おまけに、Оリングサイズと取付溝寸法の組み合わせも良くはなく、Оリングのヘタリが漏れの原因とは言え、こんなヘタリが影響しやすい実態は考えもの。実はこれが原因のオーバーフローは、過去にも何度か経験してきた事ではあります。劣化したОリングのサイズは、どうやら S 8。これを交換すれば済む話なのですが、ここでまたチト、イラっとする実状が判明。純正部品は、Оリング、シート、ニードルのアッセンブリーでのみ販売で、税別 ¥3,950交換となれば、普通はキャブ4個分という事になるので、税込みで¥17,380 (運賃別)近年、こういうふうになりふり構わずに利益追求、と感じずにはいられない、そんな様子が増えつつある気がしています。必要なのはОリングだけなのに。「念のために全部交換しなさい」と言うのだとすれば、余計なお世話。以前、とあるメーカーへこういった傾向に関して抗議したところ、「下手な修理による製品の信頼性に関する悪評判を防ぐため」という内容の回答を得たこともあります。実に歯がゆい事実です。その他にも、消費者をバカにしているとしか言い様の無い部品設定や製品作りも多く、比較的に幅広い分野の機械を扱う者として、非常に憤りを感じる今日この頃であります。メーカーに提出したレポート(抗議文)をここに公開したいくらい怒ってます、、フンフン!おっと、気が付けば、、かなり愚痴ってしまいました(^^!もとい!物作りに対する考え方はさておき、不良のОリングですが、幸いにして、Оリング S 8 の在庫があったので交換。キャブボディー側取付穴の内面に接する部分の丸味が、当たり前に出っ張ってます(右)ですが、溝の不要な広さが明らかで、潰れてクセの付いた古い方ですら同じ(左)Оリングが押潰れた状態で隙間がこれだけあってはいけませんね。Оリングは、程好く圧迫変形させる事で気密性を維持するので、緩ければ余裕がなく、僅かなヘタリで漏れが発生してしまいます。これと言った液圧が加わらないので、比較的新しいうちはこれで済んでいるのでしょう。それが正規の組み合わせであっても、高圧ポンプ等を手掛けることが多い自分としては、どうしても納得いかないので、自分流の処置を施します。以下、教科書的王道を外れた、個人的邪道ではありますが、何度も使ってきた手段です。ここで、P 6 というサイズのОリングを使うと、少し伸ばしての装着となりますが、いい感じで取付時の手応えも、「スルッ」から「ムニュッ」と実にグッド!ゴムの弾性をしっかり感じ、滑り込みは実に安心感いっぱいな感触!(左)潰れて癖がついた S 8 (中)新品の S 8 (右)自分流 P 6キャブの連結は分解しないので、完全なオーバーホールとは言えませんが、これで充分。作業は概ね、単発の作業を4回分というような内容ですが、ちょっと違うのは調整。2発以上であれば、複数あるキャブレターを同調させる必要がありますが、今回は4つの同調を点検、不調があれば調整しなければなりません。基本的にはバキュームメーターを使用するべきなのですが、特に必要性なしと独自判断。ちなみに、手持ちのバキュームメーターは単品で非常に古く、使ったのはいつだったか?記憶がないくらい、、これがウチの事情w大抵は、目視によるバタフライの調整と聴覚によるスローパイロットの調整でイケます。実はこのやり方が最も万能で無難、調整値などの整備データが無くても、特に問題を感じない実用レベルに仕上げられます。それなりに数をこなして来ての話ですが、何でも来いの修理屋には必要な手法かと・・もちろん、計器を使った調整を否定するわけではありません。詰めや確認、気持ちの上での「ベストだぞ!」感を得るには、人によって必須でしょう。しかし、最終的にレスポンスを体感し、何よりそれを楽しんで走る乗り物の場合は特に、数値は基準にすぎず、最終的に体感による調整で決まる事が多いと感じています。けっきょく、「マニュアル通りの数値になったから最高にチョーシいい!」と喜ぶもよし。はたまた、「体感的に詰めたら絶好調!」と満足するのもよし。どちらかに限定しようとする気持ちは無いので、実状は時と場合により・・ってとこでしょうか。使うのは、低速回転でツキも悪くなり、毛も薄くなった頭一つ。♪ドズラモ~ケガネデ~ヨガッタナ~ ア~コリャコリャ♪