CL72 Type1
ウチにも来ました、という感じのシーエルナナニイ タイプワンです。有名過ぎてレストアされていない現車はあるのか?と思う程の旧車ですが、私めにとっては小学生の頃に見た凄そうなバイク。カミナリ族の皆さんが乗って激走する怖いバイク。そんなイメージがありましたねw当時は、腰高で大きなバイクに見えたもんですが・・これまた遠いところの何方様かにレストアされた一台らしく、買われて遥々札幌までやってきたものの、受け取ってみたら、とっても調子がワルイ!オイル漏れもあり、ということでの修理依頼であります。外観はそこそこ綺麗ですが・・多いんですねぇ、まともに走れないレストア車。これで相場通りの値段とは、、呆れます。左クランクケースカバー付近からのオイル漏れは、どうやらオイルフィルターあたり。開けてみると取付Оリングが破損して、切れ端がポロリと出てくる始末。取付時に破損したとしか思えませんね。エアクリーナーは、紙製のエレメントが触るとボロポロと崩れ、、(-_-;)ここは後回しにして、キャブレターをば・・キャブレター内部は腐ったガソリンの残留物が無いものの、怪しい白錆部分あり。ガラスビーズ#320ブラストで処理すると、アルミの腐食部分が除去されて窪みが複数。浅いので問題なし、白錆というゴミを掃除できました。おっとよくみりゃ、、キャブレター本体は PW26 で、CL77用。本来 CL72 は PW22 のはず。CB72 の場合ならば 77のキャブレターに交換して、それなりのセッティングを施せば、高回転域の伸びが良くなる等の利点があるらしいのですが、低中速寄りの72の場合は、どれだけ御利益があるのか?そしてどれだけ損をするのか?今までに自身でCL72 での実証経験はありませんが、あまり良いとは言えない気がします。しかし、旧車ゆえ、やむを得ない事情があったのか?とも思えます。フロートチャンバーのパッキン、フロート、フロートバルブも交換済の様で、ピカピカなのはよろしいのですが、パイロットジェットとスロットルバルブが番数違い。左右で違う、よくないっしょ・・(-_-;)パイロットジェット単品を探すのも簡単ではなかったので、リペアキットを使用。さらに、油面を規定値に調整できない、、はて? ひょっとしてフロートが異部品か?メジャーな旧車だけあって社外品のパーツがかなり出回っているのはありがたいけれど、その精度などには多少の覚悟が必要とも感じます。案の定、今回はキット内のフロートチャンバーパッキンの材質が不良で、一度ガソリンに浸っただけでフヤケて伸びてしまい取付かない。これじゃセッティングでフロートチャンバーの脱着を繰り返せません。繊維の入っていないゴムのみの材質であることが大きな原因でしょう。ここは、交換済みだったと思われる既存のパッキン(繊維入)を使用。ガス関係の掃除が終わったところで、次は電気系統の修理。ブスンバスン、ポコンパコンと鳴っていた原因はいわゆるポイントの不良。スパークプラグの交換は言うまでも無く、まずコンタクトブレーカーの接点の修正。接点がかなり荒れているので分解して研摩し、取付てギャップとタイミングを調整。これで、とりあえずエンジン始動するも、規定値のギャップとタイミングの両立が、何故か上手くいかない・・ハテベースの地金等にかなり弄りまくった痕跡があり、怪しさいっぱい。どうやら、もともと調整仕切れなかったものらしい、、と思うしだい。教科書通りにはいかないってケースですが、そこを何とかするのが修理の醍醐味。よく見りゃ僅かな歪やら曲がりやらが段々と判明してまいりまして、プライヤーやらドライバーやらで、コジコジやりまして、なんとか調整完了。コンタクトブレーカーは社外品が販売されていることもあり、この際注文。入荷後に再度交換調整とします。そして、ちと手間のかかりそうなエアクリーナーの修理です。後々面倒と思われる紙製はやめて、この際、ウレタンスポンジに変更します。接着剤で結合されていたのは紙だけ、と思いきや金属同士も同じく接着剤が使われ、結果的にバラバラ~w錆びも出てるし、ブラストかけてユニクロの再メッキを施しまして、金属部分はハンダ付けで形にします。これで扱いやすくなったところへ、フィルター用ウレタンスポンジを加工して、筒形のエアエレメントを製作。燃料系統の一応の処置が終わったところで、電気系統はコンタクトブレーカーと、スパークプラグを交換し、点火時期調整。エンジンがかり、詰めは殆ど規定通りの調整が出来ない油面の正解を探して、キャブの分解と走行の繰り返し・・(-_-;)正直言って根気が必要な仕事となり、何処まで妥協せずに追及できるか?我ながらシツコイ性格も技の一つと日ごろから感じるしだい、、と自画自賛カw途中でトラブル発生。走行中にカチャカチャとタペット音が異常に大きくなったので点検すると、まず、点検プラグが4カ所全て緩んでいるじゃ~あ~りましぇんか、しかも、なんと!右側吸気ロッカーアームのアジャストスクリューのロックナットが脱落。運よく周辺に留まっていてくれたので拾い上げることができたものの、、クワバラクワバラ・・ついでに他の3カ所もバルブクリアランス調整して落着。また何か他に出るのか・・キットには付属のメインジェットは、#120 と#125 で、これは PW22 用なので、現行の PW24 には、キャブサイズだけに基づいて言うなら不十分ということになる。PW24は本来 CL77 の排気量 305CC の場合で、メインジェットが#320以上らしい。妥協が必要なセッティングになるわけですが、最高速 80Km/h までならば良好でした。左右のカッタウエイが番数違いなので厳密には同調されていないけれど、殆ど気にならない、いや、気にしないでいられる? そんなレベル。差し当たり、大人しく乗るには十分な仕上がりとなったところで作業は一段落。他に部品調達を加え、更に詰めて行くかどうか、オーナー様に試乗して頂いたところ、「ブレーキ甘いし、おっかなくて80キロもだせないから、これで充分、調子いい!さいこう!」これで充分という中低速限定走行型のオーナー様の意向により、、これにて終了。小生、不完全燃焼ぎみ、、プスプス・・