【本】感想『人生相談を哲学する』
朝日新聞での人生相談の連載をもとにまとめられた本。 『人生相談を哲学する』 森岡正博 生きのびるブックス 2022年人生相談を哲学する [ 森岡正博 ] 私は新聞を読まないので連載のことは存じ上げず、初めて見る内容ばかりでした。この本に載っている相談者は、11歳から29歳まで。新聞に掲載された回答とは別に、著者による新しい回答が書かれていて、その部分こそがメインとなっています。 著者自身、新聞での回答を今振り返ると、もっとこうしたほうがよかった、という反省も踏まえて新たな回答を丁寧に書いていらっしゃって、真摯な姿勢が伝わってきます。当時相談された方々に、この本での新しい回答が伝わるといいのですが……。 人生相談への回答というと、読んで悩みが解決し、心がスッキリするというイメージがあります。でも、この本の場合はそうではなく、むしろ自分の頭で考え続けることの大切さを学んだような気がしました。 そもそも本のタイトルにもある「哲学」自体に、「「哲学とは何か」という問いにひとつの答えはなく、哲学をする人がそれぞれ自分の答えを見つけなければならない」(p.103)という曖昧さがあるようです。 そのため、相談に対して単純明快なメッセージを出して即解決というタイプの本ではなく、むしろ自分の頭でじっくり考えることに比重が置かれていると感じます。 哲学には堅苦しくて難しいという印象を持っていますが、この本自体は読みやすいように書かれていて、哲学の本を他にも読んでみようかな、という気持ちにさせてくれる本でした。人生相談を哲学する【電子書籍】[ 森岡正博 ]