【本】感想『御伽の国のみくる』小説
メイド喫茶のお話だと思って読みましたが、実際にはそれだけではありませんでした。「劣等感を持ち心が不安定な主人公が、人に傷つけられ、人に救われるお話」かな、と思います。 『御伽の国のみくる』 モモコグミカンパニー 河出書房新社 2022年御伽の国のみくる [ モモコグミカンパニー ] 著者は、BiSHというパンクバンドのメンバーである、モモコグミカンパニーさん。グループの名前は聞いたことがある程度、確かすごく人気があるグループだよなぁ、といった認識。恥ずかしながら詳しいことは存じ上げないまま、メイド喫茶でバイトする女の子のお話、という小説の内容が気になって読んでみました。 事前にネットで調べ、明るいお話ではないと把握していたため、臆病な私は読めるところまで読んでみようという気持ちで、おそるおそるページをめくったのですが……結果的には、物語に引き込まれ最後まで読んでしまいました。 主人公は、25歳の女性。一度は就職したものの、アイドルになりたいという夢を捨てきれず退社し、22歳の時に茨城から上京することを決意します。ところがオーディションはうまくいかず、秋葉原のメイド喫茶でバイトする日々。 私はメイド喫茶の店員としてのお話が読みたくてこの本を読んだので、その部分がもっとあれば嬉しかったのですが、途中からメイド喫茶自体はあまり関係のない展開に……。しかも重い。最後は希望のある終わり方だったので、なんとか救われました。 全般的に暗いお話でしたが、読み終わってしばらくしてから思うのは「でもなんか、これが人間だよなぁ」ということです。このお話の中には、人間のいいところも悪いところも、複雑な感情もあって、これが人間の姿だよなぁと、しみじみと感じています。御伽の国のみくる【電子書籍】[ モモコグミカンパニー ]