シューマン「交響的練習曲」はどの順番で演奏するか
先日、鈴木弘尚さんの演奏する「交響的練習曲」に浸ったことがきっかけで、気持ちだけはシューマン熱を取り戻した私であるが、なかなか日々の練習にはそれが反映されるにまでは至っていない。時々、復習として「アラベスク」と「ウィーンの謝肉祭の道化~インテルメッツォ」を練習の最後に弾くくらいにとどまっているのだが、シューベルト=リストの「水車屋と小川」が一段落したら、再びシューマンの曲から1,2曲は練習してみたい、という意欲がわいてきている。ところで、シューマンの「交響的練習曲」といえば主題と12曲からなる変奏形式の練習曲、そして遺作である変奏曲が5曲から構成されている。私は、鈴木氏のデビューCD「Etudes symphoniques」のライナーノーツを読んで、その時初めて「遺作である変奏曲5曲は、曲の間に自由に入れることができる」ということを知った。つまり、この遺作たちが曲の何処に入るかによって、全体構成も大きく変わってくる、ということだ。これはとても興味深い。交響的練習曲の演奏順序については、以前CD視聴レポートの時にもサラリと語っているはずなのだが、いかんせん既に膨大な数の日記量となってしまっているため、どこかに埋もれてしまったままだったりする。ということで、今回はきちんと日記の「タイトル」にわかりやすく明記して各演奏家による「演奏順序」について考えてみたい。■鈴木弘尚氏の演奏鈴木氏は、練習曲の合間に遺作変奏曲をふんだんに挿入しているパターンである。そして最後には華麗な練習曲XII(フィナーレ)で終わっている。123456主題練習曲I練習曲II練習曲III変奏曲I(遺作)練習曲IV789101112練習曲V変奏曲IV(遺作)変奏曲II(遺作)変奏曲V(遺作)練習曲VI練習曲VII131415161718練習曲VIII練習曲IX練習曲X変奏曲III(遺作)練習曲XI練習曲XII(Fin)■アンドラーシュ・シフ氏,イョルク・デムス氏の演奏シフとデムスの演奏では、遺作とそうでないものを分けて考えている。というわけで、演奏順序も楽譜どおりといって良い。実は初めて交響的練習曲を聴いたのはシフの演奏だったため、この順序に耳が慣れてしまったせいか、鈴木氏の演奏順序を耳にした時、非常に驚いてしまった記憶がある。123456主題練習曲I練習曲II練習曲III練習曲IV練習曲V789101112練習曲VI練習曲VII練習曲VIII練習曲IX練習曲XI練習曲XI131415161718練習曲XII(Fin)変奏曲I(遺作)変奏曲II(遺作)変奏曲III(遺作)変奏曲IV(遺作)変奏曲V(遺作)■舘野泉氏の演奏舘野氏の演奏では、練習曲I~Vのあとに、遺作である変奏曲を5曲挿入、そして残りの練習曲VI~XIIまで、といった構成になっている。やはり最後に練習曲XIIをもって華々しく終わる、というパターンを好むのか。123456主題練習曲I練習曲II練習曲III練習曲IV練習曲V789101112変奏曲I(遺作)変奏曲II(遺作)変奏曲III(遺作)変奏曲IV(遺作)変奏曲V(遺作)練習曲VI131415161718練習曲VII練習曲VIII練習曲IX練習曲X練習曲XI練習曲XII(Fin)ちなみに楽譜ではどう掲載されているのだろうか、とチェックしてみたら、春秋社版では主題→練習曲12曲→遺作5曲の順番で掲載されており、ブライトコップ社ライセンス版では、なんと遺作は掲載されていなかった。遺作含めた練習をしたい人は要注意である。シューマン集3(春秋社)いやはや、演奏者によって曲の順序が異なる曲というのもなんとも面白い。演奏者自らがシューマンの世界を利用して自分のドラマを形成できるのだから。今回はサンプル数が4人分の演奏とかなり少なかったのだが、実際にはどのような順序で弾かれていることが多いのだろうか。(私自身、もう少し音源を多数持っているつもりになっていたのだが、シューマン熱にうなされていた時分はクライスレリアーナばかり集めていたもので・・・)----------------------------------------------------【本日のピアノ練習メモ】●ブラームス51練習曲 #07~#10,#16abc#07(3度を4-1,5-1指で)#08(アルペジオ)#09(指広げ)#10(5指押さえ指均一)#16a(4指押さえ指均一),#16b(3指押さえ指均一),#16c(2指押さえ指均一)●全24調4オクターブスケール●クラーマー=ビューロー60練習曲 #26,#27#26:手首の上下運動。進行に慣れてきたため、そろそろ強弱を意識して弾くこと。13~16小節についてはもう少し要練習を。#27:両手レガート練習。6小節の左手進行1拍目4-2指遣いであるところを勘違いしていたため、修正。●バッハ フランス組曲第1番 メヌエットI,II,ジーグメヌエットI:弾きこみ段階。メヌエットII:弾きこみ段階。トリルが潰れ気味なので要注意。ジーグ:3月中旬にしてようやく曲に慣れ始めた。あとはじっくり弾きこんでいこう。3月中にある程度形になるところまでもっていけるだろうか。●ショパン 24の前奏曲 Op.28 #16,#17#16:またしても左跳躍が聴くにたえない状況に。手の移動に問題ありか。#17:弾きこみ段階。●シューベルト=リスト「水車屋と小川」今日も29~83小節までを重点的に練習。----------------------------------------------------本日のおさらい●クラーマー=ビューロー60練習曲 #10(両手),#8,#22(左手),#16(3-4-5指強化),#19(右分散音型),#20(左分散音型)●バッハ フランス組曲第1番 アルマンド,クーラント,サラバンド●ショパン 24の前奏曲 Op.28-1,5----------------------------------------------------本日の不意な練習●ダカン「かっこう」