今年のF1に起きている事情
とりあえず、ブラウンGPの開幕戦ポールトゥフィニッシュ&ワントゥフィニッシュおめでとうございます・・・・・笑。不振にあえいでいたHONDA-F1を引き継いだロス・ブラウンに心からおめでとうと言いたいと思います。さて、今日の日記の本題ですが、皆さんは、今年の開幕戦オーストラリアGPのグリッド順を見て何か気付くことがあっただろうか?今年は主に空力とコストダウンに関するレギュレーションが変わっていて、その変化のために、空力構造の規則の解釈と言う部分において問題が発生しています。先ず、これまでFIAとFOMはF1からの収益性の確保と言う見地から、F1レースが、見ていてエキサイティングで魅力的で在り続ける必要性を大きく感じていたわけです。彼らは、そのためには、レース中にオーバーテイクがし易いような規則を設けて、レース内容の活性化が不可欠であるという結論に達していました。FIAの技術責任者のチャーリーホワイティングはフェラーリとマクラーレン、ルノーを招いてオーバーテイク・ワーキンググループを構成し、レース中にオーバーテイクをし易すくする為の車両規則の策定を行ったのです。去年までの車両規則では、F1マシンの得るダウンフォースは大きく、その為もあってマシンの後方に大きなタービュランス乱流を作ってしまい、そのことが他車の接近を妨げ、オーバーテイクをより困難にしていることが解っていました。マシン後方の乱流は、追いつき追い越そうとしているマシンのダウンフォースを奪い取り、あたかもWRCでラリー車が砂塵を巻き上げて後続車が先行車を抜くことが出来なくなるような事と同様な事態が起きていて、後続するマシンは例えポテンシャルにおいて上回っていても追い抜くことが出来ず、一度後位に着いてしまうと非常に不利になるという現象が起きていたと言う訳なのです。オーバーテイク・ワーキンググループはそこにメスを入れて、F1の走行で得るダウンフォースを50%にすることを掲げ、結果的にマシン後方のタービュランス乱流の大幅な低減を実現しようとしたわけです。招かれ、ルールの変更がF1の繁栄と存続に意味があるという正論に反意は示せないフェラーリとマクラーレン、ルノーの3チームが揃ってメルボルンのアルバートパークでの2009年の初戦の予選でも下位に甘んじていた訳は、これでなんとなく察しがつくというものではありませんか?要するに、フェラーリとマクラーレン、ルノーはF1からダウンフォースを減らす協議に参加し、自ら決めたルールに束縛されてしまったと考えられる訳です。それに反し、それ以外のチームは、これまでどおり何の躊躇も無く、発表されたルールを精査し、ルールの穴を探し出し、ルール解釈で合法的と考えられる範囲の中で、可能な限りのダウンフォースを得ようと努力し続けたのでしょう。フェラーリもマクラーレンもルノーも、勿論全てのチームが今までFIAのレギュレーションの許す最大限のことを行って、より速いマシンを作って来た訳なのですが、自分達が参加して、「ダウンフォースを小さくして、乱流を減らそうではないか、そうすればオーバーテイクの見られるエキサイティングなF1になるではないか」という趣旨に賛同し、マシンの後方に大きな乱流を作れ無いような空力に配慮した車両規則を作った当事者として、その規則の穴や抜け道を積極的に捜し求め、「裏をかく」といった行為が行い辛くなった結果が、今日のメルボルン、アルバートパークの現実に繋がっていると考えられる訳です。散々自分達がやってきたことでも、ルールの策定に参加すれば、あからさまにその欠陥を突くことも出来なくなったという、人としてのベキ論や節度と言ったメンタリティーに支配された結果が、有力な3チームの低迷の大きな原因の一つになっていると言って差し支えないと私は考えているのです。それでも、去年のHONDAはコンストラクターの9位と言う散々なもので、フェラーリ、マクラーレン、ルノーはさて置き、レッドブル、BMWザウバー、ウイリアムズなどのチームを尻目に、開幕戦でブラウンGPの2台がワンツーフィニッシュを決め、全てのF1マシンを一気に追い越した事実は、何を考慮したとしても、偉業であることに変わりはありません。