横浜で唯一の単館映画館となったジャック&ベティで行われている写真展に出かける。黄金町と日ノ出町を結ぶ川沿いに建てられたちょんの間。かつては250軒あったというちょんの間に生きた娼婦達を八木澤高明さんが写している。タイトルは「レクイエム黄金町」。
仕事帰りの始発電車で眠る横顔。カメラに背を向け髪を上げるしぐさ。バスタオルを手に煙草をくわえて俯く姿。ベッドに俯せになり晒す肢体。カメラに向かって微笑みかける胸のタトゥー。仲間と暮らす部屋の明るい蛍光灯。街を背にカメラの向こうを見つめる遠い眼差し。柩の中で眠る安らかな顔。タイ、コロンビア、ベネズエラなどから身一つで出稼ぎに来た彼女達。彼女達の田舎の田園風景。そこに降り注ぐ力に満ちた太陽。彼女達の稼いだ金が田舎の両親のギャンブル代に消える現実。自分の国に帰ってからの彼女達の生活も垣間見せる。2005年1月に黄金町ちょんの間は完全閉鎖。今、川向こうの路上は混沌としている。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
もっと見る