江戸東京博物館
先週、「誰ガタメノ剣」の劇場公演を見に東京へ行った時、両国にある江戸東京博物館にも行ってきました。ご一緒したのは、 ゆうあいママさん と親しくして頂いている高知の方々、そして、この日初めてご一緒させて頂いた千葉のKさん。私を含め、総勢5名です。公演に間に合うようにと、限られた時間の中ではありましたが、皆でワイワイと、楽しく江戸情緒を味わうことが出来ました。江戸東京博物館は、初めて来たのですが、とても大きな博物館です。そのスケールの大きさには圧倒されました。展示の順序は、6階からということで、まず、エレベーターで6階へと上がりました。6階の受付では、無料のボランティアガイドが申し込めるということで、早速、ガイドさんをお願いしました。担当してもらったのは、女性のガイドさん。このガイドさんに、案内してもらいながら、館内の展示を見ていきます。この博物館に入って、まず、最初に目につくのが、大きな「日本橋」の模型。 日本橋は、慶長8年(1603年)に架けられた橋で、五街道の起点であり、また、様々な都市機能が集中していた場所でもありました。この模型は、全長約51メートルある実際の日本橋の北半分を再現したものなのだそうです。そして、この橋のすぐ横には、大きな建物がありました。江戸を代表する芝居小屋のひとつ「中村座」です。 江戸の庶民にとって、芝居見物は、最大の楽しみのひとつでありました。中村座は、全部で三座あったという幕府公認の芝居小屋のひとつでこれは、そうした中村座の正面部分を原寸大で復元したものだということです。江戸東京博物館には、こうした大型模型が随所にあって、その迫力と臨場感が、一番の見どころですね。続いて、テーマごとに分けられた、展示ゾーンへと進んでいきます。(江戸城と町割り)家康が、関東に入部して以来行ってきた江戸の町づくり。身分ごとに地区割りを決め、街道により区画するなど、江戸は家康によって基礎が築かれた計画都市でありました。このブロックには、江戸城内部の様子を説明した模型や大名屋敷のミニチュア模型等がありました。 大名屋敷の御成門越前福井藩主・松平忠昌の上屋敷です。明暦の大火により焼失したそうで、以後このように華麗な大名屋敷は、江戸から姿を消してしまったそうです。それにしてもこの模型、精巧に作られていますよねぇ。(町人のくらし)江戸の町民は、下町の長屋に、ひしめきあうようにして暮らしていました。町かどには、木戸と呼ばれる門があって、夜には閉められます。町民には、門限が決められていたのですね。 江戸の長屋の模型です。木戸番屋には、町が雇った番人が詰め、夜間は木戸の開閉を行い、昼間は、生活の足しにするために小間物などを売っていたそうです。ただ、そうした制限の中で暮らしていた江戸庶民ではありますが、その中で暮らしていくための、生活の知恵や工夫が随所にありました。暑さ寒さをしのぐための工夫や、災難や争いごとがあった時の助け合いとか、なるほど、と、教えられる部分が多くありました。(江戸の商売)日本橋にあった呉服店、三井越後屋の模型です。 伊勢松阪の商人、三井高利は、店頭販売・現金売りという商売の形を打ち出し、江戸で大成功をおさめました。今では当たり前になっている商売の形ですが、この当時の江戸では画期的だったんですね。ちなみに、この三井越後屋が、今の三越百貨店の前身となりました。ところで、今回、案内をして頂いたガイドさんですが、気さくで、楽しい方だったので、とても良かったです。その説明も、すごくわかりやすく、やはり、ただ見ているだけの場合とは、入ってくる情報の質が違いますし、展示を通してコミュニケーションが生まれるという点も面白かったです。さらに、このガイドさんのお話の中には、勉強になる、ちょっとしたミニ知識もありました。例えば、町の火消しが使う纏(まとい)です。上の丸と、下の四角は、何を意味しているかわかりますか? 上の丸いものは、植物の芥子(けし)の実で、下の四角は、お酒を飲む時などに使う枡(ます)を形どったものです。つまり、両方あわせて”けします”を意味している、江戸っ子の洒落なんですね。また、いなり寿司と巻き寿司がセットになった寿司を「助六」といいますが、この由来。歌舞伎の人気演目のひとつ「助六」からきているそうです。助六の愛人が「揚巻(あげまき)」という名前で、そこで、揚げと巻きの組み合わせというところから、助六と呼ばれるようになったのだそうです。こうしたガイドさんのお話により、江戸の生活や文化が、より身近に感じられたように思いました。今回の、江戸東京博物館は、見てまわる時間があまりなく、この大きな博物館の中の江戸ゾーンの部分を、2時間ほどで駆け足でまわったというような感じでした。実際には、この江戸ゾーンと、もうひとつ、明治以降の東京の様子を展示した東京ゾーンがあります。江戸と東京、それぞれの時代風景を楽しむことが出来る、江戸東京博物館。ぜひこの続きを、この博物館には、また来てみたいと思いました。