日比野琴ノヒビノコト

　楽しみで楽しみで、仕方なかった「かもめ食堂」。小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりと、まさに役者が揃ってて「面白くねぇワケがねえ！」って見得をきりたくなるくらい（真夜中の弥次さん喜多さん、WOWOWで今月放送♪）せっかくならいつもの「指定席」で観たいけど、舞台挨拶じゃ徹夜組が出たという尋常じゃない人気だし、どうしたもんだか…とグズグズしていたら、高校時代の友人aiちゃんも気になっていると言うので「じゃあ一緒に行こう」と弾みをつけた。
　上映館では整理券が出る。早めに行って手に入れるつもりだったけど、まあ普通の時間（＾＾；）前を歩くそれらしい人々を見たら、つい小走りに。着物着てるのにアヤシイ～。でもその甲斐あってなんとか立ち見は免れた。悠長に歩いていたら６時台になっていたかも。
　aiちゃんと落ち合って、時間までずっとお喋り（笑）私たちが観る４時台の回にも立ち見が出ていた。整理券は30番。もう「指定席」はムリね、と思っていたけど、あろうことか一列まるまる空いていた。やっぱりこの映画館には滅多に来ない人が大半を占めているらしい。ラッキー！　映画によっては10番目に入ってもその席が埋まっていることもあるんだから、ありがたい偶然に感謝しつつも「みんなシロウトね、ふふふ」と言ってしまうのだった（鬼）

　しつこいようだけど、ストーリーはシンプルでひたすらロケーションと役者頼み。なのに場内はやたらにウケる。「ここまで来たからには、この映画を味わい尽くして帰ったるでえ」という気迫すら感じられる笑い声…。
　フィンランド語をサラリと喋り、合気道をこなすという役どころをきっぱり演じるマダム小林。かっこいー。でも今回はもたいさんの演技にヤラレタ。フィンランド語を聞いて日本語で返す、という会話をマダムがやったら「いくらなんでも」って感じになるけど、もたいさんがやると妙に納得させられてしまうの。魂のレベルで人の話が聞けるようになりたいって思ってしまったわ。じっと立っているだけで大爆笑を巻き起こすあの存在感。世間の評判に流されて、ケーブルでヘビロー放映されていた「バーバー吉野」をことごとく無視してごめんなさい。今度放送されたらちゃんと見ます～。
　さっきはウケ過ぎて怖いというようなことを書いたけど、この映画を観て「ほんわか、じんわり」した気持ちを家に持って帰って、たまに思い出したりしたら、この世知辛い世の中を生きる大きな救いになるような気がした。DVDが出るまではパンフを眺めて「ほんわか、じんわり」した気持ちを思い出そうっと。腰に浮きをつけてプカプカ浮くのも気持ち良さそうだったなあ（私、立ち泳ぎができるけど）。
　そして最後の最後に聴かせてくれる井上陽水の「クレイジーラブ」。私、この曲が入ってるアルバムが好きでねえ～。夏になると聴きたくなる。暗闇の中、大音量のステレオで改めて聴いて感動してしまった。「探し物はなんですかぁ～♪」の「夢の中で」じゃないところにセンスの良さを感じたことよ。
　惜しむらくは、安く観ることばかりに執着してピンバッジ付き前売り券を買いそびれたこと。欲しいピンバッジ…もちろんオークションはチェック中よ♪