男の勲章
鼡径部に小指大の「しこり」が出来て根治しない。痛くも痒くも腫れた様子もなく直立すればプクリと突出し仰向けになれば触手しても体内に引き込んでしまってどこに隠れたのやら探っても分からない。「ヒョッとしたらガンか?」と悪い予感がすると一層尻込みしてしまう。「決死の覚悟」で大学病院の診断を受けることにした。●診断結果は下記である「鼡径部の腹膜が弱くなり、お腹の中の内容物が突出している状態で鼡径ヘルニアと診断する。放置した場合、最悪の場合、腸が壊死してしまう、自然治癒はなく、手術を勧める」と判定がでた。例えるなら「バケツの底の一部が弱くなって破れかかっている状態です。重いものを長年にわたり取り扱ってきた人に多い症状です。今まで良く働かれた証拠で男の勲章だと思って下さい」とまで付け加えられたには驚き入った。「そんなら、昔の百姓は全部鼡径ヘルニアだ!」とは言えなかった。良かった! 助かった! 闇夜に光明を見た思いであった手術は緊急性を要しないが野良仕事も近くなったので早急にお願いする事にした。術前の検査(胸部、腹部レントゲン、心電図、血液、、尿)を受けて手術日を決定する由とのことで種々説明をうけ病院を後にした。病院の玄関からは伯耆大山がはっきりと見えて我家に帰ってからも今日ばかりの大山は守護神のように見えてならなかった