カテゴリ:読書:文芸批評・評論
![]() 若い読者のための短編小説案内 ■村上春樹がいわゆる「第三の新人」を中心に、 短編小説を読み解いていく本(文春文庫)。 今、ドストエフスキーのような、 正統的な長編小説に惹かれる自分と、 しみじみ文章を味わえるような短編小説を 猛烈に読みたい自分が激しくぶつかっていて、 いつもどちらを読もうか迷ってしまう(^_^;)。 ともあれ、本書を読んで改めて思うのは、 小説というのは読者それぞれの読み方を 許容するものであって、 村上春樹だって彼なりの読み方をしており、 それに納得するかどうかもまた、 われわれ個人的なものだ、ということだ。 ■で、本書の村上春樹の小説の読み方は とても面白かった。とりわけ本書の肝は、 作者の創作の立場を図式化していることである。 作家によっては、主人公そのもので場合もあるので、 主人公のあり方を分析するには有効かもしれない。 ■まず作者の「セルフ(self)」を示す大きな円がある。 そのなかに「エゴ(ego)」を示す小さな円があって、 その小さな円では、内から外に向かって 発散しようとする力が「→」で示されている。 その一方で、大きな円の外側からは、 外界からの力が内側に向かって加わってくる。 ■つまり、自分というのは、 内から外に出ようとする力(ego)と 外から内に加わろうとする力が等圧のとき、 バランスが取れている、というわけである。 で、本書で選ばれた作家たちはどうか、 あるいは、作品の主人公たちはどうか、 ということだが、それは本書を読んでもらうとして、 ともあれ村上春樹もまた小説を、 ぺろりぺろりと読んでいることがうかがえて とてもうれしくなった(^-^)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.02 17:53:16
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