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2006.11.18
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テーマ:お勧めの本(7263)

(ネタばれあります。ご注意ください。)

■ぼくが読んだ2冊目の小池真理子。
瑞紀さん(尊敬する読書家の友人)推薦の本で、
満を持して登場(^-^)。

■いろんなことを感じながら、考えながら、
ほぼ一気に読み終えてしまった。
そして一度文庫本を閉じて、
いくつか気になる点はあるけれど、
いい小説だったな、と思った。

■続いて作者のあとがき(?)を読むと、付記として、
そのあとに付されている阿刀田隆の解説のことが
次のように触れられている。

   本書における阿刀田さんの解説文の中で、
  鳥飼が布美子に秘密を守ると約束していながら、
  この本が書かれたのはおかしいのではないか、
  といったご指摘をいただいた。
〔後略〕

以下文章は続くが、これを読んで、
阿刀田隆の頭のわるさに気分が悪くなった。
当然、そのあとの阿刀田隆の解説は読んでいない。

■この小説は、作者も書いているように、
あくまでも鳥飼の胸の内で反芻された物語であり、
その「物語の語り手」はそのまま「鳥飼」であるわけがない。
そんなことは、文章をちゃんと読めばわかることだ。

■にも関わらず、そのような物語の構造を、
それなりに有名な作家が勘違い・誤解することに
心底呆れ果ててしまい、また少し胸糞悪くなり、
充実した読後感に水を差されてしまった。

■──と、それはさておき(^_^;)。
主人公・布美子の視点で描かれた、
殺人に至る経緯の物語と彼女の内面の物語は、
こういう感情があるのか、と新鮮に感じつつ、
非常に説得力があった。

最後、彼女が散弾銃をぶっ放す場面での、
彼女の心理の動きも実にリアリティがある。
自分が同じ立場なら同じことをするだろう、と思う。

■それだけ、彼女についつい感情移入してしまった、
とも言えるわけだけど(^_^;)、それだけでなく、
殺されることになる大久保勝也が
人間的に好きになれないタイプだから、
ということもある(^_^;)。

もちろんそれは、布美子の視点で描かれているから、
そのような人物描写にもなるだろう。

だから片瀬夫妻の妻・雛子がその勝也に
惹かれる理由が分からないことにもなる。

■そしてぼくが気になる点は、
そんな雛子に片瀬信太郎が惹かれたことだった。
彼が彼女に出会ったときの経緯はのちに語られるが、
そこを読んでも、信太郎のような男性が、
雛子のような女性に惹かれるかなあ、と
少し首を傾げてしまったのである。

ともあれ優れた小説だと思う。





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最終更新日  2006.11.19 10:19:45
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同感です   R.Ss さん
遅ればせながら、私も最近、この本を読みました。
すごく面白くて、電車の中、休憩時間、睡眠前、果ては風呂の中にまで持ち込んで読みました。

どうしたら鳥飼の書いた小説、という解釈になるのか、私にもさっぱりわかりませんでした。
本当に最後の解説でがっかりさせられました。
私は気になって嫌な気持ちになりつつ解説も読みました。
なんだか、他の小説は斜め読み、だとか失礼なこと書いてるんですよ。
解説、っていったいなんなんだろう?って思いました。

同じように、ちょっと嫌な気分になったかたがいるんじゃないかと思ったら、やっぱりいらっしゃいましたね(笑)。

小説はとても面白かったです。
私は布美子の気持ちもわかるし、片桐夫妻も魅力あるし、同時に大久保の「まともさ」「強さ」も魅力を感じました。
そんな一人一人を生き生きと描ける作家って、本当にすごいですね!


(2007.01.25 09:11:55)

Re:同感です(11/18)   friedmund さん
R.Ssさん
ご訪問&コメントをありがとうございます。
同じ小説を読んだ方の書き込みはほんとにうれしいです(^-^)。

>解説、っていったいなんなんだろう?って思いました。

そうですね(^_^;)。
その意味で解説のもつ役割は大きいですよね。
もちろん解説の解釈が自分と違ってもいいんですが、
阿刀田隆の場合は違う、というか、見事にとんちんかんですから(^_^;)。


>私は布美子の気持ちもわかるし、片桐夫妻も魅力あるし、同時に大久保の「まともさ」「強さ」も魅力を感じました。

ほお(^-^)。大久保の存在にも共感をもたれた、とのことで、
それは小説が成功している証拠ですね。
多分ぼくは、布美子に感情移入しすぎたかもしれません(^_^;)。 (2007.01.25 20:17:18)

阿刀田さんの解説   東圭吾 さん
今秋(2013秋)ドラマ化されるとの情報を聞きつけ、
2013/5中旬から読み始め、1ヶ月かけて読み終えました。

阿刀田さんの解説に「???」だったので、
「小池真理子 恋 阿刀田」で検索し、
このページにヒットしました。

私は、あとがきを最後に読むのではなく、
途中で読む派で、「恋」の場合は序章を読み終えた辞典で読みました。

布美子には、「書かない」と言っておきながら鳥飼は出版したんだ、しかも、直木賞まで受賞したんだ。
と、阿刀田氏の解説をそのように解釈していました。

最後まで読み終え、鳥飼は、出版していないよな?
と、良く良く解説を読み返すと、
鳥飼は、布美子に、書かないと約束したのに、
(小池さんが)この本を書いたのはあんまりだ
と書いていたのだと分かりました。

でも、布美子は鳥飼に
「後のことは全ておまかせします。先生のいいようになさってください。」と言っています。
鳥飼が書かなかったけど、小池さんは書いた。
ということで、私は納得しています。 (2013.06.11 08:42:01)

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