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カテゴリ:読書:日本文学&小説
(ネタばれあります。ご注意ください。) ■ぼくが読んだ2冊目の小池真理子。 瑞紀さん(尊敬する読書家の友人)推薦の本で、 満を持して登場(^-^)。 ■いろんなことを感じながら、考えながら、 ほぼ一気に読み終えてしまった。 そして一度文庫本を閉じて、 いくつか気になる点はあるけれど、 いい小説だったな、と思った。 ■続いて作者のあとがき(?)を読むと、付記として、 そのあとに付されている阿刀田隆の解説のことが 次のように触れられている。 本書における阿刀田さんの解説文の中で、 鳥飼が布美子に秘密を守ると約束していながら、 この本が書かれたのはおかしいのではないか、 といったご指摘をいただいた。〔後略〕 以下文章は続くが、これを読んで、 阿刀田隆の頭のわるさに気分が悪くなった。 当然、そのあとの阿刀田隆の解説は読んでいない。 ■この小説は、作者も書いているように、 あくまでも鳥飼の胸の内で反芻された物語であり、 その「物語の語り手」はそのまま「鳥飼」であるわけがない。 そんなことは、文章をちゃんと読めばわかることだ。 ■にも関わらず、そのような物語の構造を、 それなりに有名な作家が勘違い・誤解することに 心底呆れ果ててしまい、また少し胸糞悪くなり、 充実した読後感に水を差されてしまった。 ■──と、それはさておき(^_^;)。 主人公・布美子の視点で描かれた、 殺人に至る経緯の物語と彼女の内面の物語は、 こういう感情があるのか、と新鮮に感じつつ、 非常に説得力があった。 最後、彼女が散弾銃をぶっ放す場面での、 彼女の心理の動きも実にリアリティがある。 自分が同じ立場なら同じことをするだろう、と思う。 ■それだけ、彼女についつい感情移入してしまった、 とも言えるわけだけど(^_^;)、それだけでなく、 殺されることになる大久保勝也が 人間的に好きになれないタイプだから、 ということもある(^_^;)。 もちろんそれは、布美子の視点で描かれているから、 そのような人物描写にもなるだろう。 だから片瀬夫妻の妻・雛子がその勝也に 惹かれる理由が分からないことにもなる。 ■そしてぼくが気になる点は、 そんな雛子に片瀬信太郎が惹かれたことだった。 彼が彼女に出会ったときの経緯はのちに語られるが、 そこを読んでも、信太郎のような男性が、 雛子のような女性に惹かれるかなあ、と 少し首を傾げてしまったのである。 ともあれ優れた小説だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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遅ればせながら、私も最近、この本を読みました。
すごく面白くて、電車の中、休憩時間、睡眠前、果ては風呂の中にまで持ち込んで読みました。 どうしたら鳥飼の書いた小説、という解釈になるのか、私にもさっぱりわかりませんでした。 本当に最後の解説でがっかりさせられました。 私は気になって嫌な気持ちになりつつ解説も読みました。 なんだか、他の小説は斜め読み、だとか失礼なこと書いてるんですよ。 解説、っていったいなんなんだろう?って思いました。 同じように、ちょっと嫌な気分になったかたがいるんじゃないかと思ったら、やっぱりいらっしゃいましたね(笑)。 小説はとても面白かったです。 私は布美子の気持ちもわかるし、片桐夫妻も魅力あるし、同時に大久保の「まともさ」「強さ」も魅力を感じました。 そんな一人一人を生き生きと描ける作家って、本当にすごいですね! (2007.01.25 09:11:55)
R.Ssさん
ご訪問&コメントをありがとうございます。 同じ小説を読んだ方の書き込みはほんとにうれしいです(^-^)。 >解説、っていったいなんなんだろう?って思いました。 そうですね(^_^;)。 その意味で解説のもつ役割は大きいですよね。 もちろん解説の解釈が自分と違ってもいいんですが、 阿刀田隆の場合は違う、というか、見事にとんちんかんですから(^_^;)。 >私は布美子の気持ちもわかるし、片桐夫妻も魅力あるし、同時に大久保の「まともさ」「強さ」も魅力を感じました。 ほお(^-^)。大久保の存在にも共感をもたれた、とのことで、 それは小説が成功している証拠ですね。 多分ぼくは、布美子に感情移入しすぎたかもしれません(^_^;)。 (2007.01.25 20:17:18)
今秋(2013秋)ドラマ化されるとの情報を聞きつけ、
2013/5中旬から読み始め、1ヶ月かけて読み終えました。 阿刀田さんの解説に「???」だったので、 「小池真理子 恋 阿刀田」で検索し、 このページにヒットしました。 私は、あとがきを最後に読むのではなく、 途中で読む派で、「恋」の場合は序章を読み終えた辞典で読みました。 布美子には、「書かない」と言っておきながら鳥飼は出版したんだ、しかも、直木賞まで受賞したんだ。 と、阿刀田氏の解説をそのように解釈していました。 最後まで読み終え、鳥飼は、出版していないよな? と、良く良く解説を読み返すと、 鳥飼は、布美子に、書かないと約束したのに、 (小池さんが)この本を書いたのはあんまりだ と書いていたのだと分かりました。 でも、布美子は鳥飼に 「後のことは全ておまかせします。先生のいいようになさってください。」と言っています。 鳥飼が書かなかったけど、小池さんは書いた。 ということで、私は納得しています。 (2013.06.11 08:42:01) |
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