今が生死
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ハナニラ○○市医師会報に小生の書いた「リハビリテーション医療に従事して」が掲載された。医師になったばかりの時は2年間6か月づつ内科、小児科、皮膚科、病理検査科をローテートして、その後郷里の○○市の国立病院で循環器系を中心に内科全般の入院患者さんの診療で5年間勤め、その後神奈川県の大学病院に移ってからは胃カメラなどの消化器系検査などを主に担当して5年間働いて博士号を頂き、その頃郷里の山梨に医大ができたので草創期の消化器内科に入局した。大学に4年間務めた後厚生連健康管理センターに出向して検診業務に20年間従事して退職し、求めに応じてxx市の急性期病院に勤めることになり、内科全般の患者さん達の診療に12年間従事した。このような経過を見てくると、ある医師の専門科は大学卒業時までに決まっている訳ではなく、大学を卒業してから入局する医局や自分の希望で好きな科目を選んで専門にしていく経過がお分かり頂けたと思う。xx市の急性期病院を退職したあと、しばらく家にいたが誘ってくださる人がいて今のリハビリテーション病院に勤めることになり、4年が経過した。今まで循環器科、消化器科、検診科、総合科などで働いてきたが今度はリハビリテーション科という新しい分野で、骨折、脳卒中、パーキンソン病、その他の指定難病のリハビリを行う病院で、理学療法士その他が、機能回復のために専門的治療を行っている所である。毎月、理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士、看護師、医師、ケースワーカー達がリハビリの進行状況について話し合い(カンファレンス)を行い、その結果を医師が家族との面談で伝えている。一般病院だと診断から治療、退院後の入居先など殆ど全て医師の責任で行うが、リハビリ病院では多くの職種が関わり、医師の権限や責任が分散されて医師の責任が軽くなった印象だが、飲み込めなくて鼻管から栄養を入れていた人が言語聴覚士や看護師による訓練で飲み込めるようになったり、多発骨折で寝たきりになるかも知れないと思われていた人が、杖を突きながらでも歩けるようになった時の喜びはチーム全体の喜びであり、やりがいのある仕事だと思っていると書かせて頂いた。
2024.04.18
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ピンクの芝桜昨日は日曜日で休みだった。休日ということで気のゆるみもあったのか天気は良かったのに体調はすこぶる悪かった。食欲がなく、気力がなく、何もする気が起こらず、屋内を歩くのもよぼよぼ、よたよたで、いよいよ寿命が尽きる時が来たのかなと思った。そして月曜日の朝が来た。毎朝6時10分に目覚まし時計をかけておくが、起きた時の脱力感、倦怠感、力の無さは今までの日々と同じだった。でも昨日は出勤しなくて良かったが、今日は出勤しなければならない。車に乗った時にギアチェンジされ、病院に着いたら昨日の脱力、絶望状態の人間から別人になっていた。廊下の歩き方から違った。患者さんの回診でも相手の様子を把握し、きちんと激励してやることが出来た。先日の受け持ち検討会議でブログ仲間のだいちゃんの奥さんが褥瘡持ちとのことなので、多発骨折で褥瘡がある85歳女性を私が受け持つと申し出ていたので、本日その患者さんが入院してきた。在宅療養後しばらく経過してからの入院で、骨折は既にほぼ治癒していたが、術後のリハビリが十分行われておらず寝たり起きたりが十分できず、歩行ができない状態だった。これからリハビリで歩行器とか杖を使ってでも歩けるように訓練していくことになるが、褥瘡があるとそのリハビリにもかなり影響を与えるのでその褥瘡を詳しく観察した。2月頃からそれが出来始め、近医受診して軟膏を貰って塗っていたとのことである。今日の診察ではかなりよくなっており、あと数日で治るところまで改善していた。だいちゃんの奥さんは既に半年近く経過しており、治癒に時間がかかっている。基礎疾患とか骨折の部位や状態によって褥瘡の治り方は違うので実際に診察しないと何とも言えないが、だいちゃんには3か月で殆ど治った人もいるので基礎疾患などの違いで治癒が早かったり遅かったりするが希望を持って介護にあたって下さいと激励してやる予定である。昨日と今日を比べてみた。日曜で家の中にいると気が緩んで、だらしない格好でぐうたら生活しているが勤めに出ると周りからの眼もあるので、気持ちでも、能力でも格段に良い状態だったと思った。残り少ない人生、日々、楽しく充実した人生になるよう心掛けて行きたい。
2024.04.08
【中古】 運動脳 新版・一流の頭脳/アンデシュ・ハンセン(著者),御舩由美子(訳者)価格:847円(税込、送料別) (2024/4/7時点)楽天で購入今スエーデン人のアンデシュ・ハンセン氏が書かれた「運動脳」が話題になっている。運動が健康に良いことはほぼ通説になっているが、本書はどのように効果があり、どのくらいの運動をしたらよいかを具体的に示しているので、納得できる。著者は精神科医なので、うつ病や無気力病、学力低下、認知機能障害など全てに効果があるとしている。うつ病だからと言ってどんなに良い薬を飲んでも、家の中でじっとしてしていたら症状は改善しない。運動をすることによって無気力病は改善し、生き生きしてくる。そんなに効果があるというなら運動の方法はさぞかし難しいのではと思われる方もいるかもしれないが至って簡単なものである。それは①1日30分の運動で良い。サイクリングでもジョギングでもウォーキングでもよい。有酸素運動で酸素を取り込む運動なら何でもよい。②その運動によって脈拍数が増加するものが良い。③毎日行うように習慣化することが大切この3つさえ満たされた運動をしていれば、必ず脳は満足し、健康になって幸せになるというのだ。そんな簡単なことで今までの悩みが解消されるとはとても思えないとおっしゃる方は多いと思われるが、運動するとアドレナリンなどのホルモンが分泌され、脳の海馬は成長し、人類がサバンナに住んでいた頃の原始脳に戻ることや改善治癒した具体例なども示してくれるので、興味のある方は一読をお勧めする。
2024.04.07
エンドウの花、妻が昨年11月頃苗を植えてその後雪も降ったりして何度か枯れかけたこともあるが最近暖かくなってきて遂に花を咲かせた。2018年本庶裕先生達がノーベル医学生理学賞を貰った。それは従来の抗がん剤は癌細胞を殺すけれども正常細胞をも傷みつけるので副作用が問題になっていたが、副作用のない抗がん剤の理念を確立したところにある。本庶さん達は癌細胞が出すPD-L1がPD1と結合して人体のT細胞からの攻撃を逃れていることに着目し、抗PD-L1,抗PD1薬が免疫チェックポイント阻害薬として癌治療に使えることを発表した。要するに人体内にある白血球の一つであるT細胞は病原体や癌などの異物が体内に入ってきたり、生じてきたら直ちに攻撃して食べてしまうが、癌は上記PD-L1という物質を出してPD1と結合して膜を作ってT細胞からの攻撃から逃れてぬくぬくと成育してしまっていたので癌が身を護るために出すPD-L1に抗体を結合させて癌を丸裸にしてT細胞に攻撃してもらうようにする治療法を発明したのである。いまやその治療法は癌治療の主役になりつつある。しかしこの免疫チェックポイント阻害薬を用いても良く効く場合とあまり効かない場合があった。そこで近畿大と京都大のグループが、肺がんの多くを占める非小細胞がんの患者に対し治療開始前に患者の血液を採取して調べたら、PD-L1やPD1の濃度が低い場合は効果が大きいが、濃度が高い場合はあまり効果が無いという結果を4/1のアメリカ科学雑誌に発表したとのことである。いまや抗がん剤の主役となりつつある免疫チェックポイント阻害薬について最も効果のある使い方等について役立つ研究と思われた。異物である癌細胞を何故私達の体内にある自衛細胞であるT細胞がやっつけてくれないかがわってきたが、今後は彼らがT細胞から逃れるためにかぶっている保護膜を完全に剥がすにはどうしたらよいか益々の研究を望むものである。
2024.04.03
小林製薬の健康食品紅麹コレステヘルプを摂取した人が腎障害を起こし、血液透析しなければならなくなった人や死者も出ているという。紅麹は真っ赤な麹で酒や味噌等を作る時使用すればコレステロールを下げて、血圧も下げ、活性酸素を抑制して老化予防になるとして小林製薬は発酵食品会社に販売したり自社でサプリメントして販売していた。今回被害報告が出ているのはサプリメントに関するものだがお酒や味噌その他の原料として販売したものも自主回収を行っている。紅麹を作る過程でシトリニンという成分が混入してくることがあり、これが腎障害を起こすことは知られていたが、小林製薬の調査ではシトリニンは含まれていないとのことでそれとは別の有毒物質が産生されたか混入された可能性があるとして調査している。健康志向の高まりで健康食品(サプリメント)を摂取している人は極めて多い。健康になりたくて高いお金を出してサプリメントを買って飲んでいるが、健康どころか腎障害を起こして透析したり死んだ人も出ているとは大事件である。現在サプリメントの有害性についての審査はあまり厳密に行われていないので、今回の事件を機に、あらゆるサプリメント製品について有害物質の有無について事前に厳密な調査をするシステムを導入するべきだと考える。
2024.03.26
ビオラポーリング博士は二つのノーベル賞(化学及び平和)受賞でも有名だがビタミンC の研究でも有名である。ビタミンCを食品やサプリメントから多く摂取することによって癌の予防や免疫力を高め風邪などにかかりずらくなると説明している。医師たちは野菜などの食品から必要摂取量を摂取すれば十分としているがポーリング博士はサプリメントなどからもっと多量に摂取することによって多くの病気を予防することが出来ると対談書「生命の世紀への探求」の中で述べていた。
2024.03.15
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本日撮影したレンギョウ,家内が20年位前に友人から頂いたもの「生涯健康脳」を読み終えた。従来は青年期までに脳は出来上がってその後は次第に脳細胞や神経線維は減少していくだけであると信じられてきた。しかし最近の研究では次第に脳細胞が減少していくことは事実だが左右の側脳室の中にある海馬という部分は生活状況によっては高齢になっても成長することが分かってきた。そこで脳に栄養を与える良い生活習慣と脳を委縮させてしまう悪い生活習慣について説明してあった。〇脳に良いことでは有酸素運動が脳を活性化させるとのことである。有酸素運動というのはサッカーやラグビーのように激しい運動でなくウォーキングのような軽い運動でしっかり呼吸をしながら継続的に酸素を体の中に取り込む運動で、これが脳に対して最もよいとのことであった。1日30分の歩行で十分とのことである。次に良いのはウォーキングしながらしりとりしながら歩くのである。有酸素運動をしながら頭を使うことになり脳を活性化させることが出来る。次は睡眠で十分な質の良い睡眠は認知症の原因になるアミロイドβを洗い流してくれてストレスを取り除き記憶力も高めてくれる。7時間は睡眠時間を確保したいが、よく眠れるように昼間日光にあたるとか寝る時間や起きる時間をいつも一定にすることも大切である。脳を活性化させるために運動と並んで大切なことが知的好奇心で、見たい、聞きたい、知りたい、してみたい、行きたいなど様々なことに興味を持ちいつもワクワクときめいている状態は脳にとても良い。趣味を持つことは脳にとって素晴らしい効果が期待できる。人との交流、コミュニケーションは脳を健康にして認知症予防になる。音楽を聴いたり演奏したりすることは脳にとって大変良い。■反対に脳に良くないことでは飲酒が上げられる。アルコールの摂取量が多い人ほど脳の萎縮が見られるので飲まないにこしたことはないが飲む人は控えめにすることが重要である。肥満は脳が委縮して認知症のリスクを高めるので、肥満度24(体重㎏/身長m2乗)未満を保つようにしたい。糖尿病、動脈硬化、高血圧は認知症リスクを高めるのでしっかり治療する必要がある。ストレスは海馬を委縮させるので、ストレスに耐えられるように自分をコントロールする力をつける必要がある。以上脳に良いことと悪いことを具体的に例を上げて説明してくれてあった。酒については私は毎晩飲んでいるので認知症になりたくなかったら止めた方がいいかなと思い始めている。
2024.03.03
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【中古】【全品3倍!3/1限定】生涯健康脳 / 滝靖之価格:218円(税込、送料無料) (2024/2/28時点)楽天で購入瀧康之さんの生涯健康脳を読んでいる。表紙カバーの裏に「幸せに生きるということは脳を健康に保つということと同じです。そして嬉しいことに生涯健康脳を保つ方法は日常生活の中で簡単に出来ることがいっぱいあります」と書いてあり、本文の中で生涯健康脳を保つ方法を目次の形で列挙していた。脳の最高の栄養素は知的好奇心楽しい、嬉しいが脳を元気にする知的好奇心を刺激する趣味を持つ新しいことをすると脳が活性化するコミュニケーションが脳を健康にする有酸素運動が脳を活性化させる反対に脳を不健康にする事はストレスは海馬を委縮させる大きな心の傷は海馬も帯状回も委縮させる(海馬は側頭葉の後方部組織で記憶に重要な関りをもており、齢とってからでも成長を続けていると言われている組織である)おっしゃりたいことは、ストレスとか心の傷は脳を委縮させるので、失敗してもくよくよしないで早めに気持ちを切り替えて、知的好奇心を刺激する趣味などに没頭するのがいいみたいだ。
2024.02.28
遂に認知症の薬レケンビが2023/12/20にエイザイから売り出された。製薬会社の人がその薬を使って下さいと病院に説明に来た。治療法はレケンビを2週間に一回点滴で投与する方法だがプラセボ(偽薬)との比較では明らかに効果はあるみたいだが、点滴したら認知症がケロリと治るには程遠いようだ。対象は軽度の認知症で認知症の進行をある程度抑えるが元の様な正常脳になるというところまではいかないようだ。治療の原理は脳内に老廃物であるβ蛋白が蓄積することによって発病するという考えから、それが蓄積しないように抗体を注射して異常たんぱくに抗体を結合させて老廃物の蓄積を防ぐというものだが、最初からそんなにうまくいくものではないと思った。これから改良を繰り返したり、使用法を変えてみたりして認知症が治る薬になってくれることを願っている。
2024.02.26
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縁側に置いて避寒していたゼラニウムが咲き始めた現在65歳以上の高齢者の内、認知症の方は602万人おり、65歳以上の人口の約6人に一人が認知症になっている。年齢別に見ると60歳代だと30人に一人、70歳代だと5人に一人、80歳代だと3人に一人、90歳代だと二人に一人以上と年齢が上がるにつれて増えている。長命化して80歳以上、90歳以上まで生きる人も増えてきたが、3人に一人とか二人に一人は認知症では長命化しても幸せではない。そこで日頃からの認知症にならない心がけが必要になってくる。その大切な要点を脳科学者の瀧康之さん達は5つのポイントとしてアドバイスしている。その5つとは1.糖尿病、高血圧、動脈硬化症などの生活習慣病について予防に努め、既に病気にかかっている場合は治療を行う。2.適度の運動を習慣化して体力弱化を防ぎ、酸素を体や脳に取り込む。3.何事にも真剣に取り組んで達成感を味わう。やり遂げた喜びを感じながら生活する。4.地域や同好仲間やSNS等で多くの人と楽しく交流する。5.旅行とかガーデニングとか囲碁や将棋、音楽やダンス、習字など自分が好きなことに没頭して絶えず好奇心を持ちながら暮らす。口で言うのは簡単だがこれらを習慣化して実行していくのは大変だと思うが、要点は好きなことに没頭することだと言われているので、何でもいいので好きなことを見つけて打ち込んでいけば5つのポイントを満たしていくことになるのではないかと思われる。私も心がけて行こうと思う。
2024.02.23
昨日の新聞に東北大学加齢医学研究所の瀧靖之先生が子どもの能力を効率的に伸ばすには脳の発達の順番に合わせて習いごとをしていくのが良いと述べていた。視覚や聴覚が発達る0歳児は図鑑や絵本や音楽に触れさせ始めるのに適しており、運動野が発達のピークを迎える3~5歳頃はスポーツや音楽演奏、バレエ等に良い時期ではないかと述べていた。語学の獲得は早ければ早い方がよいとは必ずしも言えず10歳頃までに始めるのが効率的という報告があるとのことだった。将来の可能性を広げていくのに欠かせないのは「知的好奇心」を育てることだと強調していた。知的好奇心とは、「これはなんだろう?」「どうなっているの?」「どうしてこうなるの?」と自ら興味を持ち、それについて「深く知りたい!」と主体的に探索したり、没頭したりできる力で、もっと簡単にいえば、ものごとに興味を持って、ワクワクする気持ちを味わわせてやることで、わくわくした気持ちが記憶と密接に結びついて忘れられないこととなるとのことだ。伸びる子に育てるには早くから子供の好奇心を育て上げることが重要で山野や公園などに行って自然にふれることも重要だと述べていた。好奇心を育て、適齢期に合わせて習いごとや情操感を育て、しなやかでたくましい子供を育ててもらいたいものだと思った。瀧靖之先生は脳科学の成果を実用化させるために多くの著書を書かれている。その中に「生涯健康脳」という著書がある。今までは脳はいったん成長が終わった後は脳細胞は減少するばかりで抜け殻のようになって生涯を終えていくと信じられていたが、最近の研究で脳内にある海馬という部は高齢になっても神経細胞を増やしていることが分かったとのことである。従ってその気になれば、生涯成長を続ける健康な脳でいられるのだ。その具体的生活法は、近年の脳科学研究により、脳の活性化を促し、将来的な認知症のリスクを下げる方法が明らかになってきており、その中でも特に有効な3つの生活習慣があり、それはすなわち、「好奇心」「有酸素運動」「コミュニケーション」を心がけることとのことだ。その具体的方法については大体推察できるが詳しい内容については本日早速この本を買って読んでみようと思っている。
2024.02.22
土曜日に久しぶりに山梨大学医師会講座を聴きに行ってきた。長期にわたってコロナが猛威を振るっておりウェブサイトを介して在宅参加の学会や講演会はあっても会場に集まって講演を聴く機会は殆どなかったので今回県医師会館で直接講演が聴けるということで参加してきた。医大の専門の先生が3つの演題について講演して下さった。1)肝細胞癌の治療、2)頭頸部癌治療の実際、3)肺がん診療の実際と展望の3題であった。1)の肝細胞癌については私も消化器内科医なので長く携わってきた癌で、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによって肝炎になり、一定の期間経過後肝硬変になり、その肝硬変に癌が出来てくると理解していた。ところが第一線からしばらく離れていたらその様態が随分様変わりしていたのに驚いた。ウイルス性肝炎→肝硬変→肝癌はむしろ少なく、アルコール性肝炎、脂肪肝性肝炎などが肝硬変になり、そこから肝がんが発生してくる方が多いとのことで晴天の霹靂であった。その治療法も免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療が主体になっており、2)3)の講演でも免疫チェックポイント阻害剤による治療が行われていて治療成績が向上しているとのことだった。今まで抗がん剤というと癌細胞をやっつけると同時に正常の細胞もやっつけるので副作用が大きく、あまり大きな成果はあがっていなかった。ところが免疫チェックポイント阻害剤(オブジーボ等)は副作用が少なく、かなりの成果を上げているとのことだった。癌が出来ると我々の体内にある白血球(T細胞)が異物だとして攻撃して殺してくれるはずなのに癌が生き残ってどんどん大きくなっていく。何故なのかを研究して日本の本庶裕博士が癌が白血球から攻撃されないようにチェックポイントと結合してしまうからでその結合を阻害する薬を注射すると癌は丸裸にされてしまい白血球に殺されてしまうことを発見してノーベル賞をもらった。その原理を応用した薬が免疫チェックポイント阻害剤であるが、理屈は分かっていたが実際面ではそれ程成果は上がっていないと思っていたが、今ではかなり成果を上げつつあるとのことで癌治療に光明がさし始めていることが実感できた。講演会に出席しなければ時代から遅れてしまうものだなとしみじみ思った。
2024.02.20
ヒガンバナの葉の時期、周囲は寒さで全て枯れているがこのヒガンバナだけは瑞々しい葉を茂らせている。今患者さん家族への病状説明が終わったところである。病気になる前は80歳の患者さんと70歳代の奥さんの二人で暮らしていた。娘さんは遠くに嫁いでいる。近々に退院期限が迫っていて自宅に帰るか施設を探すかで話し合った。患者さんは白血球が減ってしまう骨髄の病気で感染に罹りやすくなり、腸炎になったり肺炎になったり腎盂炎になったりして高熱を繰り返していた。今度も重い肺炎で40度の熱が続き、回復は難しいと思われていたが、メロペンという抗生物質が奏功して熱が下がり、酸素吸入もしないで済むようになり、食事も食べられるようになって車いすで色々なところにも移動できるようになった。トイレにも行けるが自分で大小便をすることはできない。おむつで対応するのがいいだろうということになっていた。看護師が「奥さんおむつ交換できますか」「お風呂に入れてやれますか」と聞いていた。奥さんも糖尿病や心不全があり、体が弱いとのことで介護で奥さんも倒れてしまうことを心配して施設入所を勧めていた。しかしご主人は絶対家に帰ることを主張しており、施設入所はまず受け入れてくれないとのことだった。それなら自宅退院して入浴などはデイサービスに行って入れてもらうようにしたらいいと思ってそのように話したら今までもそういうことがあったがデーサービスは絶対行かないと言って入浴やトイレ、体の清拭は奥さんの仕事で大変だったとのことである。そこで私に役割が回ってきた。ご主人が絶対家に帰ると言っているなら、私(医師)が患者さんに「どうしても自宅に帰りたいなら、デーサービスとかヘルパーさんを活用するようにしなさい。そうでないと自宅には帰れません」と何度もかなり強い口調で言って下さいと頼まれた。お安い御用だが、ご主人はそれを了解したふりをして、実際にはどこにも行かず奥さんにそっくり面倒を見てもらうことになったら奥さんの健康が心配だ。毎日の回診の中で、そこだけは必ず守ってくれるように話していくつもりである。
2024.01.19
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高齢になると次第に目や聴力が悪くなってくるが案外気づかれていないものに嗅覚がある。私も数年前から漠然とは感じていたが、秋に松茸を食べた時に妻がいい香りと言っていたのに自分には全く匂わなかったので嗅覚が無くなってしまったのだなと思った。視力や聴力と違ってそれが無くなったからといって別に日常生活には大きな影響はない。ご高齢者ではとっくに無くなっているがそれに気づいてもいない人が相当数いるのではないかと思う。先日耳鼻科を受診した時に嗅覚がなくなったことを話したら、「最近匂いの復活に匂いのトレーニングが有効との報告があるので試してみますか」と言われたので「お願いします」と言ったら匂いを綿に染みさせたユーカリ、レモン、バラ、クローブの4本の試験官を渡された。朝夕10秒ずつ嗅いで下さいとのことだった。今日で5日目だが最初は全く匂わなかったが少しずつ分かるようになり、今日はかなり分かるようになった。最初から失われた嗅覚は戻らないだろうと思っていたが、もしかしたら戻ってくるかもしれないという期待が湧いてきた。嗅覚なんてあってもなくてもいいと思っていたが、松茸を食べる時匂いも分かった方がいいし、ガス漏れの時気づくこともできると思い、治るものなら治したいと思っている。
2024.01.14
やっと1月6日に左下一番奥の2本インプラントの歯が入った。歯を抜いてからだと11か月、土台を埋め込む工事(ねじくぎを骨に埋め込む)からだと8か月かかり随分長い期間がかかった。その間その部分には歯が無い状態なので随分辛い思いをしてきた。こんなことならインプラントなどしなければよかったと何度も思った。数か月前に仮歯を入れてもらった時はやっとここまで来たかと喜んで噛んでみたら噛めることは噛めるが今まで歯がなかったところに歯が入ったので唇や口腔粘膜をかんでしまい痛くて仕方なかった。本当の歯が入っても同じ状態なのかと心配したが一昨日それを入れて貰ったら多少粘膜を噛むが仮歯の時よりずっと良い状態でほぼ正常に噛めるので満足である。長い長い辛い期間があったことも忘れてインプラントにして良かったと思った。医学同様歯学も進歩したものだと思う。でも私より遅く別の歯科医院で工事を始めた人が私よりかなり早く仕上がって費用も安かったとの話を聞いて、費用のことや完成期間などを前もって調べて治療してもらえばよかったなと思った。今インプラントにしようかどうしようか迷っておられる方は、歯科医院によって多少の工事期間の長短はあるがいずれにしても長期の忍耐期間が必要で、費用もかかるが、完成した暁にはかなり具合がよいので、予算が許すなら造ってもらったらいいと思う。自費診療なので治療費や工事期間を良く調べて比較検討してお願いするのが良いと思う。
2024.01.08
ポトス医学の歴史を紐解くと最初は腹痛や怪我など病気になった人たちを分業的、専門的に診療する役割を担う人が現れそれが次第に内科、外科などに分化され、それがさらに細分化され、今ではおびただしい数の診療科に分かれている。内科は循環器、消化器、腎臓、神経、糖尿病内科、内分泌内科など限りなく細分化されている。外科も同様に細分化され、さらに内科、外科以外に、眼科、耳鼻科、皮膚科、産婦人科、精神科など数えきれないように細かく分かれている。ある人が病気になっても何科を受診していいのか分からない。そこでそれらを統括する総合診療科というのも出てきた。現在はストレス社会で精神を病んでいる人が多い。そこで日本内科学会雑誌の12月号は「内科医が支えるメンタルヘルス(精神の健康)」を特集に組んでいた。このストレス社会にあって、うつ病やその予備軍が増えている。それらの人はまず精神科受診を考えるが、精神科と聞いただけで怖気づいて受診を諦めてしまうことが多い。そこで内科医等が精神症状を拾い上げて、適切な対応をしていくことが必要になってくるという内容であった。精神科と言えばうつ病やパニック障害、不安神経症、統合失調症などが思い浮かぶが、その診断のきっかけは不眠や食欲不振、疲労感などが手掛かりになることが多い。現在心療内科や心のクリニックなど心の悩みを聞いてくれそうな科もあるが、一般内科でもいいと思う。患者さん側からみたら自分の悩みをよく聞いてくれる医院を選ぶことが大切だと思う。医師側からみたら、それが今月号の特集だが、患者さんの話をよく聞き、目には見えない病態の深みを探り、患者さんの苦しみを取り除くにはどうしたらよいか糸口を見つけ出してやることが大切だと述べていた。それには常に自分自身が体験し学んでいく必要があり、病気を治すのは患者と医師の共同作業であり、患者の苦しみの源まで降りてゆく基本姿勢がある人が良医なのだろうなと思われた。
2023.12.21
三重県の友人から送ってもらった最高においしいマコトミカンサンショウアルツハイマー型認知症はアミロイドβという物質が脳内にたまることによって発症するということが分かってきた。その蓄積を防ぐには青魚に含まれるDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸や緑茶に含まれるカテキンなどの摂取が効果的と考えられていたが今度日本のエイザイとアメリカのバイオジェン社が共同開発した認知症の薬レカネマブは免疫学的方法である物質をアミロイドβに結合させてアミロイドβを取り除く画期的な薬である。認知症者は120万人位いると言われているがそれを治す薬は今までなかった。基本的治療法は2週間に一回1時間かけて点滴して1年半治療する方法である。年間298万円かかるとのことだが保険が効くので年収に応じて1割負担乃至3割負担になる。高額療養制費度の対象にもなっており、その制度も使えば一割負担の高齢者の場合、年間14万4千円位になる。月にすると1万2千円で認知症の治療が出来ることになる。副作用も報告されており、そう簡単にこの薬で認知症が治るのかまだ分からないが、これを契機に認知症の薬が次から次に改良されて認知症が治る時代に早くなってもらいたいと願っている。
2023.12.14
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庭で咲いているガーベラ(今朝撮影、寒さで葉が枯れかけてきた)10年ぶりに健康日本21の第三次案が厚労省から11月27日に発表された。運動、食事、休息、環境など各部門について来年度(令和6年度)からの詳細な目標設定がなされた。ここでは運動部門について紹介する。運動を習慣化している人はそうでない人に比べ有意に長命であり、健康寿命が長いことから、運動について3つの目標が設定された。1. 日常生活における歩数の増加。目標は8000歩だが65歳以上の高齢者は6000歩と定められた。今ではスマホで簡単に歩数が計測できるので目標値に向かって努力して貰いたいとのことである。2. 運動習慣を持ってる者を増やす。現在運動習慣を持っている人は少ないので、現役世代は30%、65歳以上は50%を目標にする。運動の内容についても言及され、筋肉を増やす筋トレにも触れていた。筋トレについてはスポーツジムなどで行う場合は週2~3回、もしくは隔日行うことで筋肉を休ませながら行うのが良いらしいが、自宅で行えるスクワットとか腕立て伏せなどは自分で強度を変えながら行えるので、毎日でも良いとのことだ。スクワットはお尻や大腿部、下肢の筋肉が鍛えられ、誰にでも簡単にできて10回x3セット位が理想だが体力に応じて1セットでも2セットでもいいらしい。また座る時間が長ければ長いほど健康に良くない。座る時間を短くすることも健康日本21の主目標である。3.運動やスポーツを習慣的に行っていない子供を減らす。現状では1週間の総運動時間が60分未満の子供が男の子8%、女の子14.4%(小学校5年生)いる。これは男女によっても、学年によっても異なるので男女別、学年別の目標を定めて指導していくとのことだ。高齢になると筋肉量が落ちて、転倒骨折、フレイルやロコモティブシンドローム、認知症、生活習慣病(高血圧、糖尿病、心臓病、脳血管障害等)等になる人が多くなる。筋肉量を増やすことによってそれらの病気にかかる率が減少することは統計学的に示されている。スクワットは金もかからないし、容易に筋肉量を増やせるよい方法なので高齢者は習慣化するとよいと思う。ルーマニアのクルジュ・ナポカ市では、バス停に専用発券機が置いてあってその前で20回スクワットをすると無料の乗車券が出てくるとのことで、健康と旅行の一石二鳥で市民に喜ばれているとのことだが、その費用は民間企業が出しているとのことだ。市民の健康の為なので市で予算化してもいいと思った。厚労省は細かな字や図表で健康日本21を提言したが読む人は稀で、実効は少ないと思われる。スクワット何回、歩数何千歩など週単位もしくは月単位でスマホで記録してそれを役所に持参すればクーポンとか商品券を配布してくれるようにすれば、歩数を増やしたり、スクワットをする人が増えると思われる。空念仏を難しい言葉で何万語も連ねるより、実効性のある政策で示してもらいたいと思った。
2023.12.06
長い長い物語である。本年2月4日に左下の奥歯を抜いた。以前から抜けていた歯と合わせて2本インプラント歯を入れてもらうことにした。抜いてしばらく置いた5/8に歯肉の下にモクネジをねじ込む手術を受けた。ねじ込んだ後そのネジを隠すように歯肉を縫い合わせるのに何針も縫うので時間がかかり麻酔が切れる頃かなり痛かった。それから4か月後の9/26日に歯肉を切開して先にねじ込んだモクネジの頭に金属を取り付ける手術が行われた。その術後の写真が上図の左側の写真である。それから1か月後の11/4に仮歯の型を取って11/18に仮歯を入れてもらった。それが上図の右の写真である。12/2に本当の歯の型をとってもらえるとのことで、その後歯が入るので抜いてから約11か月かかって歯が出来上がるとのことで、随分時間がかかるものだと思う。抜けた歯に対する対策としては取り外しのできる部分入れ歯の方法がある。私も作ってもらったが中々噛みずらく、食後取り外して洗わなくてはならず面倒だった。私の両親のように総入れ歯にすると噛みやすいみたいだが、まだかなり自分の歯が残っているので、すべてを抜いて総入れ歯にするのは忍びないという気持ちがあった。そこでインプラントを思いつき、年齢制限があるのかと思って聞いてみたらCT写真をとって顎骨がしっかりしていれば年齢には関係ないとのことでインプラントを入れてもらうことにしたが、今にして思えば他の選択の方がよかったかなと思う。歯を抜いてから歯が入るまで長期間歯無しで過ごすのは辛い。良く噛めないので2.5kg位体重が減った。私のように明日をも知れないような高齢者の場合、長い忍耐の時間をかけてやっと歯が出来上がったら、死んでいたということもありうるので、いくら骨がしっかりしていても無謀なことのように思えた。超高齢者は総入れ歯か部分入れ歯の方が良いかもしれない。これから1か月後くらいには仮歯でないインプラント歯が入るのでそれを使ってみて、耐え忍んだ甲斐があったと思えるか否かまだ分からない。しかし、現時点では長期に渡っての歯がない生活は極めて辛かったので、もっと別の選択をした方が良かったなと思っている。
2023.11.22
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義兄から頂いた菊を地植えにしたもの、末広丸?県医師会報告に医の倫理に関する設問形式の問題が連載されている。今月号には66歳男性が腰痛で受診したがPSA値が高く精査の結果脊椎に転移した前立腺がんと判明した。その結果を娘さんに話したら「父がそれを聞いたら気落ちして死期が早まるに違いない。父には進行前立腺がんであることは絶対告げないで欲しいと懇願された。今後の対応で適切なものはどれか」を聞く問題で6つの選択肢から一つを選ぶ問題だった。Aは娘の意見を尊重して病名は告げない。Bは娘に病名を軽率に話したのがいけない。それは医療倫理に反することで今後は家族に最初に知らせることはしない。Cは患者に進行前立腺がんと告げるのは酷だから前立腺肥大症と告げてがんの治療を行う。Dは転移癌であっても治療できる可能性があるので娘さんにその状況をお父さんに話してくれるように説得する。Eは病人は本人であり、娘の意見は無視して進行がんであることを本人に話す。Fは患者本人に正しい病名を伝えないと後で訴えられた時に敗訴するのでまず本人に正しい病名と進行状態を正直に伝える。病名告知については昔は殆ど回答Aのように家族の希望もあり、患者にがん病名は告げないで治療が行われてきた。しかし最近ではほとんどの場合家族にも本人にも正しい病名を告げてがんの治療を行っている。病名を告げなければがんの治療ができないからである。しかし本設問のようなケースもたまにある。この設問の正解はDで娘さんに現実を受け入れてもらってそのことをお父さんに話してもらって本人、家族ともどもに力を合わせてがんに立ち向かっていくようにするのが正解ということであった。私も丁度同じようなケースの患者さんを受け持っている。腎臓がんが骨に転移したために骨折してその後のリハビリで入院したが娘さん達は絶対がんの転移で骨折したとは告げないでもらいたいとのことでそのようにしている。当院に転院してくるまでには、手術してもらった病院でもそれを押し通してきたとのことなので、今更それを明らかにしても得るところは少ないので、普通の骨折と同じように対応している。ケースバイケースで柔軟性があっていいと思う。要は医師や医療従事者が患者さんや家族の状況を良く把握して、患者さんにとってどうしてやるのが一番良いかを考えて対応していくのが良いのではないかと思う。
2023.11.17
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玄関で咲いているくちなしの花今日は昼に用事があって外に出ていて12時半の会議に遅刻しそうになって階段や廊下を息せき切って走っていて会議場に向かう出入口の所に手で開閉する柵があるが、急いでいたので手でしっかり開けないで細く開いているところから急いですり抜けようとしてつまずいて倒れそうになり、弾みで対側の壁に相当な力で突き当たってしまった。頭と手首と胴体がぶっつかったことを感じた。時間ギリギリで会議の席に着いたがその時はどこもそれ程痛くなくてよかったなと思っていた。頭を打ったその時は何でもなくてもしばらくしてじわじわと出血して急性硬膜下血腫で亡くなった中学の同級生がいるが、自分もそうなるかもしれないという不安はあったが、強い頭痛もなくまずまずと思って会議終了後立とうとしたら右の側胸部の激しい痛みに襲われた。衝突した直後はアドレナリンが出ていて痛みを感じないが、少し時間が経ってから痛みを感ずることはよくあることである。以来ずっと痛みが続いている。肋骨骨折しているのかもしれない。あるいは肝臓、腎臓などの内臓が傷ついたのかもしれない。明日仕事に行けないかもしれない。会議に間に合おうと無我夢中で走ったりしなければよかったのにと思った。肋骨骨折ならまだいい。もっと大きな怪我になったかもしれない。会議に遅れても別に死ぬようなことはない。これからはきちんと冷静な状況判断をしようと思った。
2023.11.13
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季節外れだがブルースターが庭でひっそりと咲いていたので思わず日曜日10/22に写真をとった。日本医師会は生涯教育シリーズとして定期的に血液疾患とか精神疾患とか循環器疾患とかを特集して解説の単行本を刊行している。今回は「リハビリテーション診療の最新版」という326ページの豪華な本を送ってきた。最初にリハビリの原点や歴史が概説されており、続いてリハビリの対象疾患、治療法、地域リハビリテーション、災害リハビリテーション、難病やがんのリハビリテーション、など内容は非常に広範囲にわたっていた。1920年頃に肢体不自由児や結核療養所で運動リハビリが開始された。その後は傷痍軍人の骨折、切断後のリハビリが行われ、次第にポリオ、リュウマチ、脳卒中などのリハビリが行われるようになり、次第にその範囲は広がって今では国指定の難病や心疾患、呼吸器疾患、精神科疾患、がんなど、あらゆる分野でリハビリが行われるようになってきた。リハビリの目的は障害者を訓練したり教育したりすることによって能力の可能性の最高レベルに達するようにすることとされているが、一般的には骨折などで入院してきた患者さんについては、骨折以前の能力まで回復することを目標にリハビリを行っている。実際にリハビリを担当するのは国家資格である理学療法士(PT)、作業療法士(OT),言語聴覚士(ST)で一人の障害者にこれらのセラピストと看護師、医師、ソーシャルワーカーなどが加わってチームで治療していくことになる。例えば脳梗塞の患者さんが入院してきたらPTが麻痺側四肢の訓練と歩行練習などを行い、OTが塗り絵とか包丁の持ちかたとかトイレ動作指導などを行う。STは嚥下訓練や発生訓練などを行い、医師や看護師は体調管理を中心に行い、月に一回はスタッフ全員でカンファレンスを行ってリハビリの進行状況を確認しあって、今後の方針を立てていくことになる。私がリハビリ病院に勤務する以前は、リハビリなんて大したことはないと思っていたが、来てみたら大変重要な任務だということに気が付いた。脳卒中や転倒などで骨折した方々が早期に社会復帰できるよう、他のスタッフと協力して最大限の援助をしていきたいと思っている。
2023.10.24
昨年蓄膿の手術(右蝶形骨洞に孔を開ける手術)を受けたが孔が塞がってしまったということで再手術の為10/11に入院して、10/13日に全身麻酔で約2時間かかって手術して、本日10/18に退院してきた。術後しばらく鼻出血があったが今は殆ど出血はなく、明日から通常業務で出勤する予定である。術直後主治医から妻に手術が終わった旨電話があったとのことで妻がその時「また塞がることがあるでしょうか?」と聞いたら「その可能性が全くないわけではない」とのことだったとのことで妻は「もしまた塞がっても手術は大変だから手術しない方がいいね」と言ったので「私もそのつもりだ」と答えた。最初の手術の時も自覚症状は全くなかったが蝶形骨洞は目や脳に近い部だから手術しておいた方が良いかなと思って手術したが今度また同じように塞がってしまっても症状があるわけではないので手術はしないでおこうと思っている。今度は個室に入れてもらえたので手術から退院日まで時間があったので「法華経の智慧」と「自律神経失調症」を読み切り「こころは遺伝子でどこまで決まるのか」を半分読んだところで帰ってきた。いずれの本も益するところが大きかったので読後感をこのブログで紹介しようと思っている。
2023.10.18
今自律神経失調症の治療の所を読んでいたら温泉の効果が書いてあったので紹介する。温泉の効果は三つあり、一つは温熱作用と水圧,浮力による機械的作用で疼痛の緩和や筋肉の緊張弛緩,末梢循環の促進に働く。二つ目は温泉に含まれる化学的作用で末梢自律神経や循環器,内分泌系を刺激する。三つめは自然の中でのストレス緩和作用があり自律神経失調症には特に有効とのことだった。私も温泉に行ってみたくなった。
2023.10.17
最近は西洋の薬に混じって漢方薬を処方する医師が増えてきた。風邪の時の葛根湯、足のつれに対する芍薬甘草湯などは明らかな効果が自覚出来るので患者さんの方から希望されるので処方するがそれ以外では処方することは少ない。自分でも飲んで見たが大量の顆粒で飲みずらい。しかも食前に飲まなくてはならない。処方する側から患者さんを虚と実,陰と陽などと分別しなければならない。しかも効果があるのかすぐは判らない。しかし漢方をよく勉強すると心と体は一体であり病人を全体としてとらえ一部の症状も全体から見た不調和と考えて全体を治療するとのことである。西洋医学とは考え方が違うが必要な人には処方して行こうと思う
2023.10.16
シュウメイギクいよいよ明日午前中仕事をして午後入院になる。本来は入院の前日、つまり本日の12時にコロナ検査を受けに手術する病院に行かなければならなかったが、忘れてしまって3時過ぎに、今から行ってもよいかと電話したら、明日入院時間の1時間前に着いて検査を受ければよいことになった。その分早く行かなければならず、予定が狂ってしまうが仕方ない。アメリカでは蓄膿手術は日帰りだとのことだが、日本では大体1週間入院する。留守中私が勤務している病院の受け持ち患者さんのことが心配だが、在勤の先生方によく頼んで行こうと思う。昨年5月も同じ右蝶形骨洞蓄膿の手術を受けたが、術後すぐに開けた孔がふさがってしまった。今度が再手術だが、無事手術が成功し、孔がまた塞がってしまわないように祈りながら手術を受けようと思う。
2023.10.11
家内が新しい所に植え替えたからか、今の時期に庭の中程に白いアジサイが咲いていた明後日蓄膿の手術のために入院することになった。蓄膿症は副鼻腔炎とも言われ、副鼻腔にはいくつかの洞があり、CT検査を受けたら私の右蝶形骨洞に膿が溜まっていると言われて、症状は何もなかったが膿を貯めている状態は良くないことだろうと思って、昨年5月、骨に孔をあけて膿を出す手術を受けた。ところが2~3か月後CT検査を受けたら開けた孔がふさがってしまっていた。別な所に孔をあける再手術を勧められたが、特別症状もないのでそのままにしていた。しかし今年の7月頃から不眠、食欲不振の症状が出てきたのでもしかしたら関係あるかもしれないと思って2回目の手術を受けることにした。手術を受けてもまた塞がってしまうことはないですか?と聞いたら「絶対ないとは言えないが、今度は別の所に孔をあけるのでその可能性は低い」とのことだった。何はともあれ12日に入院して13日に全身麻酔で手術を受けて18日に退院して19日から勤務する予定である。家内は手術に反対だが、入院が決まったらその準備をしてくれている。
2023.10.10
先週インプラントの2度目の手術を受けて本日糸を抜いてもらいに行ってきた。糸を抜いてもらえば後は木ネジの上に人工歯を取り付けてもらえればいいので長かったけれど約半年で人工歯が入ると期待していたら、これからさらに4か月このままの状態で人工歯をつけるのは4か月先だという。歯を抜いたのは2月4日なのでこれからさらに4か月というと来年の2月4日になり、まるまる1年かかる。それで済めばいいが実際にはもっとかかるかもしれない。高齢者だとインプラントを作り始めて噛めるようになるまでに死んでしまうこともあると思った。今木ねじの頭が歯肉の上に出ている状態だが「こちらで噛んでいいですか?」と聞いたら駄目だという。反対側で噛んでくださいとのことでこれからまた約半年、不自由な生活を送らなければならない。今までも反対側で噛んできたがその反対側もあまり丈夫ではないので、柔らかいものしか食べられず栄養失調気味になり、様々な体調不良をきたしてしまった。こんなに長い期間不自由な生活をしなければならないとは知らなかったのでインプラントを選んだのは考え物だと思った。高齢者なので、部分入れ歯でしっかりしたものを作ってもらえばよかったのにと思った。
2023.10.03
ヒガンバナ最近特に老化を実感するようになった。階段の上り下りは勿論、廊下を歩くのも軽やかに歩けなくて着ている白衣さえ重く感ずるようになった。もういよいよかなと感ずることもある。今、病棟回診を終えてきたところだが、患者の皆さんは、意識のない患者さんを除けば皆さん暖かく迎えてくれた。ある患者さんは「先生のご健康はいかがですか?」と私の身を案じてくれた。入院している患者さんは私と同年代もしくは私よりご高齢の方が多いが、回診ではその人たちに喜びと勇気と希望を与える役割が我々にはあると思っている。それなのに白衣が重い、歩くのが大儀だ、食欲がない、薬がないと眠れないなどという状態では患者さんを激励してやれることもできない。食欲がなくてもきちんと栄養を考えて必要なものは無理してでも摂取し、体力に自信をつけるためにウォーキングをしようと思っている。ウォーキングについては「やらなくてはいけない」と気づいていながらいまだに実行していない。患者さんの前に、よれよれぐたぐたの身をさらすわけにはいかない。アジア大会のテレビも見たいが、それより自身の健康であり、患者さん達の健康である。3日坊主にならないように継続したいと思う。あまり体がだるかったら、リポビタンDも飲もうと思う。体調管理は自分の為だけでなく患者さんのためでもある。意志を強く持とうと思う。
インプラント治療とは抜けた歯の代わりに歯槽骨に木ねじをねじ込んでそれを土台にして人工の歯をとりつけて天然の歯のように噛めるようにすることである。その手術や治療期間について書いてみる。まず最初に歯肉を切り開いて歯槽骨を出してそれにドライバーで木ねじをねじ込む手術が行われる。ねじ込んだらそれを覆い隠すように歯肉を縫い合わせて一回目の手術は終了しその後4か月経ったら歯肉を切り開いて4か月前に埋め込んだ木ねじの内筒を抜いてその内筒の代わりに歯肉から木ねじの頭が見えるくらいの高さの金属を最初埋め込んだ木ねじの中心部にねじ込む2回目の手術が行われる。これはその2回目の手術が終了した直後の写真である。左下の白い歯の奥の方に2本の金属棒がみえると思う。歯肉を切り開いてあるので縫い合わせた糸の一部も黒く内側に垂れているのが見えると思う。来週糸を抜いてもらいその後この金属の上に人工歯をつけるための型をとってやっと歯を入れてもらうことになるが随分長い道のりである。5月20日に一回目の手術を行い9/26日に2回目の手術を受けてきたが何時仕上がるのかまだ分からない。歯を抜いた後その部分に取り外しのできる部分入れ歯を作ってもらったがそれがよく合わなくて外している時の方が多く、ものが良く食べられなくておかゆみたいなものを食べていたので栄養が足りず体重が3~4kgくらい減ってしまい体調が悪い。歯を抜いた後の選択肢は部分入れ歯でずっと過ごすか、総入れ歯にするか、インプラントにするかだが、私の両親は40歳代で総入れ歯にして何でもポリポリ食べていた。部分入れ歯でも何度も調整してもらえばきちんと食べられるようになったかも知れないが私はそれを怠ってしまった。私はあまりよく考えないでインプラントを選択してしまったが、インプラントにもメリットとデメリットがあるのでよく検討して決めるべきだったと今になって思っている。またちゃんとした歯が入るまでには約6か月かかるのでその歯が入るまでのその半年間、きちんと栄養がとれるような体制を整えたあとでインプラント治療を受けるべきだったなとも思っている。
2023.09.28
ムラサキゴテン、花の隣に新芽が備わっていることを先日初めて気付いた一昨日帰宅時車内テレビを聞いていたら順天堂大学の小林弘幸先生が自律神経失調症の治し方について話をしていた。猛暑が続いていること、コロナが相変わらず集団発生していることなどで自律神経失調症の患者さんが多いとのことだった。自律神経失調症というのは上記の環境因子によるストレスや失恋や出世の挫折など内部的ストレスが原因で交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態で頭痛、不眠、食欲不振、動悸、だるい、イライラ、無気力、目がぼやけるなどの様々な体の変調をきたす。そのような自律神経失調状態への対処の仕方について小林先生は3つの対処の仕方と一つの具体的方法を説明していた。神経は脳と脊髄から全身に分布されており、体性神経(動物神経)と自律神経(植物神経)に分けられる。体制神経は痒い所を描いたりする脳の命令を忠実に実行する神経だが、自律神経はこちらの命令によって動いてくれないで暑ければ汗を出し、暗い所では瞳孔を広げるように全て自動調整してくれる神経である。その神経は交感神経と副交感神経があり、反対方向に作用しあって調整している。例えば危険に直面した時などには交感神経は脈拍を早くしたり血圧をあげたりする。副交感神経は反対に脈拍数を減らし、血圧を下げる。その両神経の働きによって体はバランスがとれているが、そのバランスが崩れた状態が失調症で人が苦しむことになる。小林先生のいう解決法の第1は1日の終わりにその日あった最も嫌なことを書きだすとのことである。続いて第2は楽しかったこと良かったことを書き出し、第3は明日は何をするか書き出してから寝るというものであった。なんだ大したことではないなと思ったが実際にしてみたらストレスを貯めない大変良い方法だと思った。そして具体的な方法として顔を両手の指で触るか触らないかくらいの弱い力で何度も叩くとのことだった。顔は人が見ているところでは恥ずかしいという人は手でも大腿部でもよいとのことで、私は大腿部を3分間叩いてみた。効果絶大で血の流れがよくなり今まで食欲不振でだされた食事は必ず残さざるを得なかったが今日の昼食は全部食べられた。体調がよくなり凄いと思った。でも小林先生は2週間以上自律神経失調症状が続く場合は他の病気が隠れていることがあるので病院を受診してくださいとのことだった。
2023.09.27
榊原常緑さんの「脳と食べ物の大切な話」を読んでいたら昔東北大学の近藤正二さんが書かれた「日本の長寿村・短命村」についての記述があった。私も昔読んだことがある本なので本棚を探してみたら出てきた。今でも売っているかと思って楽天で探してみたら中古で14,900円で売っていた。私が買った時は780円だった。近藤先生は昭和10年から40年間日本中の長寿村、短命村について各市町村の労働環境や食生活を調べて歩いた。当時は70歳以上生きる人は少なく、70歳以上の人口は全国平均は男女全体で2.65%で男2.1%、女3.2%だった。短命なのは東北地方で秋田、山形では70歳以上は1%内外と低い部落が多かったが反対に隠岐の島の村では6~7%と高い村が多かった。長寿村、短命村について何日間かそこに留まってその原因を調査していると、様々な要因が考えられたが、最終的には食生活の差が長寿、短命につながっていると思われた。隠岐の島には12ケ町村あり米の足りない村が大部分で何れも長寿村だった。長寿村が多かった隠岐の島の食生活を調べたら、1.魚も大豆も豊富2.野菜(特に人参、カボチャ、長芋等)が豊富3. 米が少ない(麦が主で甘藷も多い)4. 山菜に富む5.胡麻を良く食べる6.海藻(ワカメ)を良く食べている等の項目が上がってきたとのことで、米のご飯はほどほどで、魚や大豆製品を良く食べ、野菜を多く食べることが長寿につながると述べていた。今では70歳以上はざらにいる時代になり、今では80歳、90歳以上まで生きるにはどうしたよいかということになると思われるが基本的には同じだと思う。でんぷん質を少なめにタンパク質や良質の脂質、野菜を多く食べることが長寿につながるのではないかと思う。
2023.09.13
春先に咲いた源平桃(咲分け桃)源平桃を昨日見たら桃の実が成っていた。普通の桃の実より小さい榊原常緑さんの「脳と食べ物の大切な話」の最後の方に、「がんの発生を抑制する食品」の項目があった。がん予防食といえば以前紹介した植物性食品が含んでいる化学物質、ファイトケミカル(カロチノイド、ポリフェノール、硫黄化合物等)がその代表であるが、アメリカのがん研究協会が作成したがん抑制作用ランキング「デザイナーフーズピラミッド」は分かりやすいのでよく引用される。デザイナーフーズ計画は1990年代にアメリカ国立癌研究所 (NCI) によって、2000万ドルの予算を投じて、がんを予防するために、役に立つ可能性のあるフィトケミカルを特定し、それを加工食品に加える目的で開始された計画でそれを重要度順にピラミッド型に図式化したものをデザイナーフーズピラミッドという。1位はニンニクで1日4g(一かけ)で十分とされている。2位は大豆、甘草、セロリ、バースニップ、3位キャベツ、4位ショウガ、人参、5位玉ねぎ、お茶、ターメリック、6位4玄米、全粒小麦、7位オレンジ、レモン、グレープフルーツ、8位トマト、ナス、ピーマン。9位ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、10位マスクメロン、11位ハーブ(バジル、ハッカ、オレガノ、タイム、アサツキ、ローズマリー、セージ、タラゴン、)12位キュウリ、ジャガイモ、13位カラスムギ、大麦、ベリーとなっている。順位を考えなければ殆どの食べ物が13位までに入っており何を食べてもがん予防に有効のようだ。ファイトケミカルの所でも記載したがなるべく多くの野菜を食べるのががん予防には良いみたいだ。この中でトップにランクされたニンニクは一日一かけら(房)でよいとのことなので毎日食べていれば、ニンニクを食べない人より有意にがんにかかりずらくなるとのことである。ニンニクが食べられない人は二位の大豆でも3位のキャベツでもいいのだと思う。
2023.09.08
庭のアメジストセージが咲き始めた榊原常緑さんの「脳と食べ物の大切な話」にケトン体の有益性が書いてあった。ケトン体というのは脂肪が燃焼されるときに生じる物質で糖質制限食にすることによって糖の代わりに脂肪を燃やすことによって体内にケトン体が増えて以下のようなメリットがあるという。抗酸化作用、抗糖化作用、抗炎症作用、抗老化作用、長寿遺伝子(サーチュイン3)の活性化、心筋の保護作用、などがあり、糖尿病治療に有効で、がん治療効果があり、アルツハイマー型認知症、難治性てんかん治療に有効、ダイエットに極めて有効で、生体内で脂肪から簡単に合成できて、副作用や毒性もない。とのことでいいことずくめである。約2週間積極的な糖質制限食を行うとブドウ糖の代わりに、脂肪が燃焼されてケトン体を生ずる体質をケトン体質という。サッカーの長友佑都選手は食生活を改善して自分の体をケトン体質にしたとのことである。マラソン選手やサッカー選手などはスタミナがなければアウトなので、スタミナをつけてくれるケトン体質を目指したのではないかと思う。かっては食事で十分な糖分が取れない時にはケトン体が増えるので悪者のように考えられてきたが、実はいい奴だったのである。ケトン体を増やしてがんや認知症にならないようにしたいと思う。
2023.09.06
ピンクと白のアメリカフヨウ抗加齢医学研究の第一人者である同志社大学生命科学研究科教授米井嘉一さんは日本鋼管病院(川崎市)時代から老化度判定ドッグを行ってきた。まず肉体面では筋肉、血管、神経、ホルモン、骨の5項目について老化度を検査し判定している。さらにストレスについては免疫ストレス、酸化ストレス、心身ストレス、生活習慣ストレス、糖化ストレスの5項目について判定している。酸化ストレスは活性酸素の発生状況を調べ、糖化ストレスは終末糖化産物の産生状態で判定している。肉体の5項目でも、ストレスの5項目でも人によって個人差がある。筋肉や血管の老化度はそれほどでもないが神経やホルモンの老化度は進んでいるとか、ストレスでは免疫ストレスは良好だが活性酸素が多くて酸化ストレス度は高いなど項目によって良い成績と悪い成績があるとのことだ。ほとんどの高齢者は齢とったらすべての項目で低レベルの成績になってしまうと思っているが実際は良い成績と悪い成績の項目があるとのことだ。悪い成績の項目に引っ張られて全体の老化度が進んでしまうので、自分の弱点だと思う項目を見つけ出してそれを改善、強化していくことによって全体をレベルアップすることが出来るとのことだ。弱い部分をレベルアップするのに重要なのは、知育、食育、体育である。知育は知識を深めることであり、食育はサプリメントなどを含めて食事で肉体の若返り(アンチエイジング)を図ることであり、体育は運動である。この3つの中で最も重要なのは知育である。齢とったらすべてが老化して死を待つだけだと思っている人と広く学習して知育を高め、齢とっても若さが保てると思っている人を比較すれば老化度の差は歴然である。知育は知識だけでなく、もっと若く元気になりたいというやる気や意欲も含んでいる。学びがなくて高齢になったら廃人になるとしか認識していなくて老化まっしぐらの人が多い現状だが、知育を高めて有意義な若々しい生活を送ってもらいたいものである。
2023.08.30
ノブドウの花今「健康寿命をのばす脳と食べものの大切な話」という本を読んでいる。その中にファイトケミカルについてちょっといい話が書いてあったので紹介する。私たちの体は食べるものや飲む水によって構成されており、それによって活動もしているので食べるものが私たちの健康ににとって極めて重要である。食べ物には糖質、たんぱく質、脂質の3大栄養素のほかに4番目としてビタミン、5番目にミネラル、6番目に食物繊維も必要とされてきた。最近第7の栄養素としてファイトケミカル(植物由来の化学物質)が注目されている。3大栄養素や6番目までの栄養素が不足するとすぐ病気を引き起こすがこれはすぐ病気にはならないかも知れないが、長期的に見て健康を保つために必要な栄養素である。これは植物からしか得ることができない化学物質でカルチノイド(人参、カボチャ、モロヘイヤ等)ポリフェノール(赤ワイン、ブドウの皮等)硫黄化合物(ニンニク、ニラ、玉ねぎなど)などに分類されているが、通常食べている様々な野菜に含まれている。がんの予防や動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などを予防して老化も防止すると言われている。一種類を多量に摂るより、多種類のファイトケミカルを摂取した方が相乗効果が働き、抗酸化作用や抗がん作用、抗老化作用が強化されるとのことである。できるだけ色々な野菜をたくさん食べるようにしたいと思った。
2023.08.28
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マンデビラ今、榊原常緑(さかきばら ときわ)さんが書かれた「脳と食べものの大切な話」という本を読んでいる。人間の体は飲んだ水や食べたものからできているので体を健康に保つには健康に良いものを食べる必要があるということが書いてある本だが、その中で特に興味があったのは23ページの「脳と健康長寿の関係-脳をうまく使うと健康長寿になる」の章だった。今まで私たちは「いったんできた脳細胞は減ることはあっても増えたり再生されたりすることはない」と教えられ、歳と共に脳細胞がどんどん減っていくと信じてきた。これは1913年にスペインのノーベル賞受賞者サンティアゴが発表した研究結果「成熟した脳の神経経路は固定されており、変更不能である。あらゆる脳の神経経路は死ぬことはあっても再生することはない」に基づいており、100年以上にわたってそう信じられてきた。しかし最近になってCTやMRI等機器の進歩によって上記の説は間違いで歳をとっても脳は成長したり再生したりすることが分かってきたとのことである。「年齢と経験を積み重ねることにより、人間の脳は神経細胞から出る神経線維のネットワークを広げ、高齢者ほど外的刺激に対して適切に反応する傾向があることも分かってきた」とのことである。もしそれが本当に科学的に証明されているなら私たちは大変な間違いを犯してきたことになる。歳とれば脳細胞はどんどん死滅して空っぽになっていくので生きていても老害をまき散らすだけで何の役にも立たなくなってしまうのではないかと思っていた人も多いと思う。しかしそれは間違いだと榊原先生は書いていた。歳とっても脳は成長するし、社会の役にも立つのである。これまではどうせどんどん死滅していく脳細胞なのだから脳に対する栄養学的関心は殆どなかったが、上述のように齢とっても脳は成長するとのことで、脳の働きをよくする栄養学を勉強する必要があると述べていた。榊原さんがおっしゃるように、成人して成長が止まった脳細胞や脳神経でも再生、成長することがあるとするなら、脳の働きを良くする食事や読書などにも心を配っていかなくてはと思った。
2023.08.24
千日紅は長く咲いています日本医師会雑誌8月号には高齢者のかかりやすい病気として認知症について藤田医科大学の武地 一先生が書いていた。加齢とともに発症が増加する認知症は高齢化率の増加につれて年々増えており、2025年には700万人になると推定され、65歳以上の5人に一人が認知症になることになり、それに家族も巻き込まれていくことになる。認知症には二つの症状群があり、一つは記憶や認知機能の障害に伴う一連の症状群でもう一つは行動や心理状態の変化を示す群(BPSD)である。最初の認知機能障害群では、主な症状は新しことを記憶することの障害(昔のことは覚えているが)でその他には段取りをつける能力の低下、視空間認知障害などがある。認知症の進行の目安は長谷川式の簡略なペーパーテストでも評価できるが、生活機能障害の程度でも見極めることができる。初期には買い物や調理、服薬や金銭の管理能力が低下する。中等度以上に進行するとトイレ動作、着衣、入浴動作の低下などが起こってくる。もう一つの群であるBPSDでは必ずしも上記で述べた認知症の進行に伴って出現するものでなく、家族が財布からお金を抜き取ったとかの物盗られ妄想、タンスから服の出し入れを繰り返す行動異常、自宅や行き先を認識できなくなり警察に保護されるケース、レビー小体型認知症の時に現れやすい幻視(ありもしないものがそこにあるように見える)などの症状が現れることがある。認知症には上記二つのタイプがあるのですべての認知症がもの盗られ妄想をもっているとは限らない。治療薬については進行を遅らせる薬がいくつか使われているがケースによっては、良く効くこともあるが、効果があまり見られないことが多い。最近エーザイ製薬とアメリカ企業が共同で開発し第3相試験が終了して間もなく市場に出てくるレカネマブという薬がかなり期待されているが、その効果については未知数だ。家族とかかりつけ医とが連携しながら診療していくことになるが、今では介護保険も充実してきているのでグループホームその他の施設でケアマネなどを介して面倒を見てもらうこともできる。いつかは認知症を治す薬も出現してくると思われるが、それまでは、地域包括支援センターや介護専門職施設などの社会資源を活用しながら患者さんのGOL(生活満足度)を高めていくよう努力していくことが肝要と思われる。
2023.08.21
日本内科学会誌7月号に国立国際医療研究センターの今井健二郎先生と大杉 満先生が療養指導士制度について書いていた。いわゆる生活習慣病と言われる、高血圧、糖尿病、循環器疾患、腎臓病などについて医師だけでなく多くの医療関係者によるチーム医療が重要であるとしていくつかの予防療法指導士制度ができて活動を開始しているとのことである。その資格が取れる対象職種は看護師、薬剤師、管理栄養士、保健師、臨床検査技師、理学療法士、臨床心理士、歯科衛生士、社会福祉士、など幅広い職種の人が経験を積んで専門的知識を深めて勉強し、試験を受けて各疾患の予防療法指導士の資格をとって専門性を生かした指導を行っていく制度である。歴史的には2001年に糖尿病療養指導士の認定が始まり、2012年から肥満症改善指導士、2016年から循環器病療養指導士、2017年から腎臓病療養指導士、2020年から心不全療養指導士制度が始まり、認定試験に合格した人達が専門知識を生かして病気の予防や治療面で活動を開始している。病気予防には食事や運動、生活法などが深く関係しており、それらの認定指導士の活動の場はこれからどんどん広がっていくと思われる。昔は病気を予防したり、治したりするのは医者と考えらえていたが今ではそれはチームで行われ、医師はそのチームの一員であるという意味のことが書かれていた。日本看護協会には認定看護師制度も出来ており、今までは医師でないと出来なかった医療処置も認定看護師にはできるという時代になりつつあり、慢性疾患についても同じようになっていくのだろうなと思った。これからは認定療養指導士を広く世の中に知らしめ、待遇面でも配慮し、医師が自分でしていたことをチーム内の専門の人にお願いしていくなど、体制も少しずつ変えていく必要があると思う。また患者本人の意識も変えていく必要がある。チームがいくら頑張っても自分で予防したり治す意識がなければ治らない。病気はチームで治していく時代になりつつあるが、患者である自分もそのチームの一員として病気と闘っていこうという気持ちを持つことが大切だと思う。日本にも療養指導士制度ができてチームで病気と対峙していく時代になりつつある。医療関係者だけでなく一般の人達も患者さんもそれを理解しながら治療に当たってもらいたいと思う。また厚労省も各学会のそれ等の制度を生かし発展させてもらいたいと思う。
2023.08.20
藤城清治(99歳)の影絵:月の砂漠8/8に4階病棟の廊下に一輪の朝顔が咲いたので、それを写真に撮ってブログに載せたが、その後次々に咲くものと思っていたら、以来一つも咲かないのであの花だけかもしれない。自宅の庭の朝顔は次から次に咲いているのに病院の廊下という特殊環境では花を咲かせるのは難しいのかなと思っている。病院にはいろいろな患者さんが入院している。58歳の男性が屋根作業中屋根が抜けて12メートル下のコンクリートに転落した。左側の肋骨のほとんど全て折れて何本か肺に突き刺さり血気胸の状態になっており、左の骨盤骨折、左の脾臓挫滅、胸椎や腰椎は圧迫骨折の状態で救急病院にドクターヘリで搬送された。その病院で手術などの適切な処置を受けて、ほとんど後遺症を残さない状態で、リハビリ目的で当院に転院してきた人がいた。その方が今では自分で歩行もできるしトイレなどの日常生活もできる状態にまで改善して、本日退院していった。ある88歳の女性は脳梗塞で右の手足が動かないのでリハビリ目的で8月上旬に入院してきた。リハビリによって動かなかった手足が少しづつ動くようになる場合もあるが、多くはマヒのない方の手足でマヒ肢をカバーしたり装具をつけて歩く訓練をしたりするが、それは結構つらい訓練である。その方にはそのつらい訓練以上にもっと、もっとつらいことがあった。それは不眠である。当院に移ってくる前の病院で眠剤が処方されていたがそれが効かないのである。眠れないことほどつらいことはない。羊を数えていれば眠れるとか、腹式呼吸を続けて足先が暖かくなってくれば眠れるとか、宗教の題目を唱えていれば眠れるとか色々言われているが、羊を何千匹数えても眠れずますます焦って苦しくなる場合もある。最初から眠ろうと思わないで「ラジオ深夜便」を聞いていれば眠れても眠れなくても心が落ち着いてそのうちに眠れることがある、など様々なアドバイスや工夫があるが、それでも眠れなくて苦しんでいる人は多い。そういう人たちのために睡眠薬が何種類も製薬されており、それで救われている人が何百万人もいる。しかし今回入院してきた患者さんのように前医が眠剤を処方してくれたのにそれを服用しても眠れないという人の悩みは深刻だ。回診の時「全然眠れませんでした」と打ちひしがれて苦しそうな表情で訴えられた。眠剤にも色々な薬があるので、何種類かの薬を順次試してみたがやはり眠れませんでしたと悲しそうに訴えられた。薬を変えて3回目の薬がよく効いてその後は眠れるようになったので見違えるように元気になり、廊下を車椅子で通る時でも私を見つけると嬉しそうに手を振ってくれる。その人の人生経験や性格、年齢などで心に余裕があり、眠れなくても「ラジオ深夜便」などを聞きながら普通の日常生活を送っている人もいるが、多くの人は苦しみが苦しみを呼び、絶望の淵に立たされることもある。今回のケースでは「自分は眠り薬を飲んでも眠れない」と言う不安に押しつぶされそうになっていたが、眠剤は何十種類以上あるのでそのうちのどれかで必ず眠れるものなので安心してもらいたいと思う。
2023.08.17
オンシジューム本日の新聞に歴史学者の加来耕三さんが長寿だった徳川家康の健康法について書いていた。戦国時代最強と言われた武田信玄は52歳で亡くなり、信長は49歳、秀吉は62歳で亡くなり、家康は75歳まで元気で生きて、今で言うピンピンコロリで健康寿命最長の武将だったと思われる。三方原で家康を木端微塵に打ち破った信玄が生きていれば天下を取っていただろうという人は多いが、死んでしまったら終わりである。戦国武将の中で弱虫、意気地なしと言われていた家康に天下が取れたのはそれなりの理由があったのである。家康は常に己の健康に留意しており、疲労が鬱積すると病気になると考えており、決して無理はしなかった。生水は飲まず、麦飯を食べ、適度の運動が健康に良いということを実感していたみたいだ。70歳を超えても毎日乗馬や射撃、弓を行っており、適度の運動をしていた。鷹狩は彼にとってはあくまでスポーツで獲物がいなくても心身の鍛錬とストレス解消のためにおこなっていたと考えられ、食事についても滋養第一を考え、腹八分目を心がけ食べ過ぎることはなかったとのことで、あらゆる方面から自分の体を護っており、現在にも通ずる健康的生活をしていたとのことで、長命になるべくしてなり、最後の勝者になるべくしてなったのだなと思った。
2023.08.16
クレマチス・ウイタルバ?8月11日が山の日で祝日、12日、13日が土日で3連休であった。お盆は13日~15日で少しずれるが13日がお盆と重なっており、里帰りや行楽に行かれた方も多いと思う。病院関係者は連休は好きではない。その間に患者さんが急変したりすることがあるからである。コロナは依然として流行しており、病院に来てみたら理学療法士、作業療法士各3人ずつ合計6人がコロナ陽性で症状は軽いがいつも誰かがコロナに罹っており、気持ちの休まる時がない。幸い私の受け持ち患者さんはコロナを免れており、急に悪くなった患者さんがいなくて助かった。上記職員6人の感染経路は不明だという。コロナは飛沫感染と言われており、人が唾を飛ばしながら話したりすると感染すると言われているが実際にはそのような場合だけでなく、同じ部屋にいただけでも感染することがあり、私は空気を介して感染する空気感染と思っているが、いまだに公式感染経理は飛沫感染となっている。飛沫感染と空気感染では予防法も治療法も対応の仕方もだいぶ違ってくる。大部分の医師は空気感染と思っているのに、公式感染経路の発表がいまだ飛沫感染のままの理由がわからない。感染経路の違いによって、予防法、治療法、隔離法などが違ってくるので、国際間で密接な連携をとって感染経路の意見を統一して、コロナの早期撲滅を目指してもらいたいと思う。
2023.08.14
沖縄の海今朝の新聞に沖縄のしゅくみね内科院長の祝嶺千明さん(61歳)の健康と病気に関する興味ある記事が掲載されていたので紹介する。沖縄は1985年まで男女とも平均寿命が全国一位だったが、2020年時点では女性が16位、男性が43位まで落ちてしまいました。それまで沖縄では野菜を中心に魚介類や豚肉などをバランスよく食べてきました。戦後アメリカの統治下におかれたこともあって脂質や糖質の多い食事に代わってきたことが影響していると考えられています。また急激な車社会にかわり、運動の機会が減り、アルコールの摂取量が増えたことも平均寿命が低下した原因と分析されています。長生きだけが幸せの条件ではないとよく述べられてきましたが、平均寿命も健康の重要要因として考え、食事内容やアルコール摂取量などに留意してもらいたいと述べていました。祝嶺先生自身が急性進行性糸球体腎炎という国指定の難病に罹患してステロイド剤や免疫抑制剤を服用している状態ですが沖縄の人達の健康のために連日ご健闘なさっておられる姿に感銘を受けました。病気と健康とは一体であるというのが先生の考え方です。体内にがん細胞が出来た時人は癌にかかったと思うかもしれませんが私たちの体内では毎日数千個の単位で癌細胞が発生していますが癌細胞が増殖する前に体内の免疫細胞によってがん細胞は排除されているので問題になりません。がん細胞が増殖するかしないかは体内の免疫細胞の働きのいかんにかかっており、これはその人の生命力の強さに関係すると考えておられました。病気でも生き生きと元気にくらしておられる人がいる一方でどこにも病気がないのにどこかに病気があるのではないかと浮かない顔をしている人もいます。病気か病気でないか微妙で分からない場合もあり、自分で病気と決めないで生命力をつよくしていくことが必要でその生命力の強さで病気を退散させることも出来ると述べていました。人は必ず死ぬし病気にもなる。健康体は病気体でもある。健康は病気と一体であり健病不二で強い心をもって病気と闘うことが必要であると述べていました。無病息災という言葉があるがこの高齢化時代に病気を何も持っていない人はまずいない。何らかの病気を持っているものだが、それをものともせずに健康で生きましょう!一病息災、二病息災、多病息災でいきましょう!とおっしゃっていたがその心意気で頑張りましょう。
2023.08.12
ビジョザクラ我が国には約4000万人の慢性頭痛患者が存在するとされており、840万人いると推定されている片頭痛の患者さんの約74%の患者さんが日常生活に支障を感じており、多くは市販の頭痛薬で対処していると思われる。市販の解熱鎮痛薬は厚生労働省から許可されたアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ロキソニンなどの薬で患者自身で薬剤師と相談しながら自由に買うことができるのでかなり助かっている。これらがなかったら頭痛で苦しむ人は世に溢れていたと思う。しかし市販薬で治らない頭痛もあるので用心が肝要である。クモ膜下出血の典型的な症状は今まで経験したことがないような突然の激しい頭痛である。これは市販薬を飲んでも効かないのですぐ救急車を呼ぶべきである。時には最初に少量の出血による警告症状を呈することがあり、突然の頭痛に悪心、嘔吐、めまい、複視、視力障碍、せん妄(震えなど)を伴うばあいは直ちに救急車を呼ぶべきである。頭痛が市販薬で治るときにはそれでよいが今までにないような激しい頭痛やけいれんが起こるような場合には直ちに救急車を呼んでもらいたいと思う。
2023.08.04
玄関脇にあるマリーゴールド分子標的薬というとあまり親しみがなく、医療関係者ですらよく理解している人は少ない。今までがんに効く薬が色々研究開発されてきたが、確かにがん細胞はやっつけてくれるがそれと同時に正常細胞も同時にやっつけることから、2週間投与して2週間休むなどの投与法の工夫なども行われていたが、抗がん剤を使うと食欲がなくなり、頭髪が抜けたり、眠れなくなったり副作用で苦しむことが多かった。そこでがん細胞だけに結合してやっつけるが正常細胞には悪さをしない薬の開発研究が進んできて、出来上がった薬が分子標的薬である。知らない人が聞くといかがわしい薬のように聞こえるが、実際には悪者細胞だけ見つけ出してやっつける今までにない薬なのである。今まではがんに効く薬、リュウマチに効く薬、パーキンソン病に効く薬、多発性硬化症に効く薬など効果が重要視され、効きさえすればよいとして体の正常細胞に対する影響はあまり考慮されてこなかったので薬の数はそれほど多くなかった。しかしこんどは分子標的薬になると病気になっているそれぞれの細胞や神経を特別に選んでやっつけるので薬の数が病気細胞の種類に応じて作られるので薬の数が膨大な数になる。しかしその中でその患者さんにピタリのものが見つかれば正常細胞を傷つけずに悪い細胞だけをやっつけてその病気を治してくれることになる。近年はそのような分子標的薬の研究開発が進んでいるので難病も治る時代になると思われるが、道のりはまだ遠い。しかし分子標的薬の考え方を基本とした治療薬の研究は、多くの難病を治してくれる手がかりを作ってくれるスタート台で、今後大いに期待できると思う。
2023.08.01
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チロリアンランプ何十年も前に三重県の友人がこの花の枝を送ってくれた。その枝を妻が挿し木して育てて花を咲かせていたが三重県と甲府では冬の寒さが違うので何度か枯れてしまったかなと思ったこともあったが、菰でかこったりしてなんとか生きながらえてきた。昨年の冬は寒かったので今年は花を見かけないと思っていたが昨日の夕方浪速イバラの枝を切っていたらきれいに咲いているのに気が付いた。植物は強いものだと思った。本日で7月が終わりで明日からは8月である。今日は右大腿骨頚部骨折の92歳の女性が入院してきた。先週も98歳女性(第一腰椎圧迫骨折)と82歳女性(右大腿骨転子部骨折)が入院してきたが、いずれも自宅で転倒して骨折したものである。腰椎圧迫骨折の患者さんはコルセットをつけてリハビリしていればそのうちに歩けるようになって退院できる。大腿骨頚部骨折と転子部骨折の二人は90歳以上と高齢だが受傷後すぐ手術して歩行訓練のために当リハビリセンター病院に転院してきた方々である。時代が変わったとしみじみ思う。昔は高齢になると誰でもつまずいて転ぶ。転ぶと大体骨折して動けなくなり寝たきりになり、そのために認知症が進行してお亡くなりになるパターンが多かった。昔も手術したケースもあったが現在のように人工骨頭置換術で即座に歩けるようになる手術ではなかったので年取ってから転んだら人生終わりだと考えられていた。寿命が延びたのは骨折してもすぐ手術して廃人にならないで済むようになったことが大きいと思う。ご高齢の方はほとんどの方が骨折歴を持っているが元気で暮らしている。昔は骨折した段階で寝たきりになり、寿命が決まっていたように思う。がん治療など医学はなかなか進歩していないと思われている面もあるが、この大腿骨頚部骨折手術の進歩は素晴らしく、平均寿命延長の大きな要因と考えられる。
2023.07.31
庭の千日紅リハビリ病院には様々な患者さんが入院してくる。来週入院してくる人は屋根作業中に屋根が抜けて10メートル下の地面に転落した58歳の方だが、今までには自殺目的で7階マンションから飛び降りた人、誤って3階窓から転落した人、屋根職人が足をすべらせて屋根から転落した人、家屋解体作業中に10メートル位の建物4階から転落した人など様々な患者さんがいたが比較的若い人が多かった。肋骨や四肢、脊椎、骨盤など多発骨折が多いが頭をやられていない限りは皆さん3か月くらいで何とか改善して退院していった。もう4年くらい前から入院している30歳代の女性は豊島区のマンションから転落して頭と体をうっており、意識がなく、本人が同定されずに介護されているが下肢も切断されており、ただ生きているだけの人である。毎朝回診しているが意思の疎通はできない。事故当時新聞にも出たと思われるので思い当たる人は申し出たはずなのに身元が分からないということは外国人かもしれないし、自殺なのか誰かに突き落とされたのかも分かっていない。事件があったのが豊島区なので豊島区の生活保護になってたまたまベッドの関係で当院で介護しているが、入院費は豊島区から頂いている。来週入院してくる人は肋骨が折れて肺にブスブス突き刺さって胸腔内に血液が溜まっており、相当重症らしいが頭がやられていないとすれば元気で帰れるかもしれない。高いところから飛び降りる、もしくは転落した場合にはほとんど命がないものと思っていたが、当院にきてから結構助かるものだということを知った。しかも3か月という短期間で退院できており、頭をやられない限り人間は不死身なのだなと思った。
2023.07.28
昨日お見せしたスイカの一つを収穫して冷蔵庫に入れ、今朝食べてみたらすごくおいしかった。自分たちで作ったスイカが赤くなりおいしく食べられたのはうれしかった。今朝病院に行ったら一人のケースワーカーから「体調は大丈夫ですか?」と聞かれた。眠れないし、食事は食べられないし入院患者さん以上に苦しんでいる自分だが、病院では努めて元気に振る舞い、患者さんやスタッフを激励していた。だから殆どの患者さんやスタッフの方からは「先生はいつもお元気でいいですね」と言われていたが今朝のケースワーカーの言葉にはドキッとした。正直に現状をお話しした。睡眠薬を飲んでも2時半頃目を覚ますとその後眠れない。食事は朝昼晩と見ただけで食べる気が起きない。少し食べてみてもなんの味もしない。体重もかなり減った。しかし医者である自分がそんなに具合が悪いと知れたら患者さんの診療にかかわるので「あなただけにしておいてくれ」と口止めしたが、体調不良は続いている。睡眠薬や安定剤を調整したり、行動療法として散歩したり、治ることを祈る実践をしたりしているが良くなったり悪くなったりして一進一退である。しかし今朝は今年は実らないと思っていたスイカが実っており、切ってみたら真っ赤でおいしかった。味が分かったのである。格別うれしかったことが体調にも影響したのかもしれない。体調は良い。外部からみたら眠れない、食欲がないなどは運動不足で気持ちのせいだ。運動をしっかりすれば自然に眠れるし食欲だって出てくるものだと思われがちだが、当事者にとっては心底つらいものだ。ずっと治らないのではないかという不安にも襲われる。しかし今朝のスイカがおいしく食べられたことは大きい。最近ではメロンでも桃でもキュウイでもバナナでも全く味がなくおいしく食べることができなかった。今朝はスイカの味が分かったのである。これをきっかけに真剣な祈りを重ねて以前のような健康体に戻ろうと思っている。
2023.07.27
ベルガモット3連休が明けて出勤してみると入院したばかりの82歳の左上顎洞癌の方と75歳の頸椎脊髄症の方が今日退院したいという。受け入れ側の家族の都合もあり、通常はすぐ退院というのは無理だが、本人の希望が最優先なので、できるだけ本人の希望に沿うようにしてやりたいと思い、左上顎洞癌の方は本日退院を認め、頸椎脊髄症の方は関係者で話し合いをして、退院の日を決めることにしますということで納得してもらった。退院となると紹介状、処方、訪問診療やホームヘルパー派遣依頼、ケアマネとの連携など様々な書類を書いたり手続きをしなければならない。上顎洞癌の方は連休前の木曜日に入院したがその時から「自分は最初から入院するつもりはなかった。家族に無理やり入院させられた」と言っていたのでやむを得ないかなと思った。現在も放射線治療や抗がん剤治療が必要な状態だが、その間に食べる練習や歩行練習などのリハビリを行ってもらいたいとの依頼だったが、家族の希望に対し、本人はそのリハビリは自分にとっては過酷なことで自宅で静かに過ごしたいという希望が強かったのだと思われた。色々な手続きが大変だったが最終的に本人の希望に添える形になりよかったと思う。
2023.07.18
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キキョウ夜眠れないほど辛いことはない。本日近所に住む家内の友達が訪ねてきて玄関口で30分以上ご主人のことを話していったとのことである。ご主人はこの頃夜眠れなくて「もう自分は終わりだ。死ぬしかない」と言ったり、家族に当たり散らすようになったとのことである。病院に行ったが「別に悪い所はない」と言われて却って解決法がないと思い込み苦しんでいるとのことだった。眠ろうと努力すればするほど眠れなくなり翌日は廃人みたいな状態になってしまう人もいるがその程度は個人差があると思われる。夫婦共々すごく悩んでいるとのことだったが私の妻は「実は私の夫も今同じような状態です」と伝えたとのことである。今はいい睡眠剤や安定剤が出ているのでそれで救われている人もいると思われるが、睡眠剤を嫌いな人や薬を飲んでも中々眠れない人もいて、不眠で苦しんでいる人は多い。その人たちは自分だけこのような苦しみに遭っていると思って苦しみを増していることが多く、仲間がいると思っただけでも苦しみが軽減されることが多い。ある友は「不眠は運動不足からかもしれないので散歩したらいい」とアドバイスしてくれた。ある友は「自分も何度もそういうことがあるが気にしないでラジオ深夜便を聞いている」とのことだった。また不眠時に眠ろう眠ろうとあせると、高齢者などは苦しみが高じてもう十分生きたので死期が迫ってきているのかもしれないと思うことがある。食欲が無くなることも多く、苦痛は極限に達してこのまま死んでしまうのかもしれないという恐怖心に襲われたりする。ラジオ深夜便を教えてくれた友は「死は天が決めるもの。このまま死んでしまうかもしれないと思い煩ってもそれから逃れられるわけではない。その時期は天が決めてくれる。その時まで精一杯生きると決めればそういう不安も消えるのではないか」と教えてくれた。不眠時は医師に相談するのもよいが信頼する友に相談するのも効果的だと思った。
2023.07.12