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テーマ:ニュース(99716)
カテゴリ:ラテンアメリカ・スペイン・スペイン語
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20101007-OYT1T01098.htm
ノーベル文学賞にペルーのバルガス・リョサ氏 スウェーデン・アカデミーは7日、2010年のノーベル文学賞を、スペイン語圏を代表するペルー出身の作家、マリオ・バルガス・リョサ氏(74)に授与すると発表した。 「権力の構造を地図を作るようにして浮き彫りにし、個人の抵抗と反逆、敗北のイメージを鋭く描いた」のが授賞理由。賞金は1000万スウェーデン・クローナ。授賞式は12月10日にストックホルムで行われる。 リョサ氏は1936年ペルーのアレキパ生まれ。リマのサンマルコス大学で文学を専攻。マドリード・コンプルテンセ大学院で博士号を取得した後、パリで仏AFP通信の記者や語学教師として働いた。 63年、士官学校での自分の体験をもとにした小説「都会と犬ども」を発表。軍の将校らが焼却処分するなどして反発し、国際的に話題を呼んだ。 66年の長編「緑の家」は、アマゾンの密林などを舞台に娼婦や先住民、軍、僧院の物語を同時進行で描き、代表作となった。74年にペルーに帰国。76年から79年にかけて国際ペン協会会長。 87年には、銀行国有化を進める当時のガルシア政権に対し、「祖国が共産主義に侵される」として反対。90年には右派連合「民主戦線」から大統領選に出馬したが、日系のアルベルト・フジモリ氏に決選投票で敗れた。92~95年には読売新聞の「地球を読む」の執筆陣にも加わった。 ------------------- マリオ・バルガス・リョサという小説家を(政治的立ち位置という意味で)一言で説明すれば「ペルーの石原慎太郎」です。ごく若い頃には左翼、すぐに右翼に転じ、小説家として名を成し、その知名度を武器に、「右翼界のスター」として政界に打って出たけれど、結局国のトップにはなれませんでした、と書けば、この2人の経歴をおおむね説明できます。 石原慎太郎ほどには国家主義的イメージを前面に出してはいませんが、ガチガチの新自由主義者です。石原は筋金入り反中国主義者、バルガス・リョサは筋金入り反キューバ(反カストロ)主義者。 違いを言えば、石原慎太郎は今でも日本で政治家として頑張っているけれど、マリオ・バルガス・リョサは1990年大統領選でフジモリに敗れると、ペルーを離れてスペインに移住し、スペイン国籍を取得してしまった。Wikipediaの「マリオ・バルガス・リョサ」の項目に、国籍が「ペルー」となっていますが、これは正確ではありません。正しくはスペインとペルーの二重国籍です(スペイン語版と英語版の記事ではそうなっています)。本人はすっかりスペイン人になったつもりのようです。 ま、彼のライバルとなったフジモリは、最後は日本で参議院選に出馬していますから、それに比べればたいしたことはないかも知れませんけれど。 ちなみに、1990年の選挙で勝ったのはフジモリでしたけれど、彼は政権に就いたとたんに選挙中の主張を全部反古にして、対立候補マリオ・バルガス・リョサの主張を丸呑みして新自由主義政策を実行しました。 そういう意味では、私はこの人の政治的立ち位置にはあまり好感を抱くことが出来ません。 で、肝心の著作の中身は、実は読んだことがないのです。 代表作の一つ、「都会と犬ども」は確か映画化されたのではなかったかと思います。どこかで見た記憶があります。ただ、詳細な記憶がありません。 私はノーベル文学賞という賞にあまり高い期待を抱いてはいませんが、最も高く評価されるべきと思っているラテンアメリカの文学者はチリ出身(現在米国在住)のイサベル・アジェンデですね。多分、いつかはノーベル文学賞を取るでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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