野田政権の官僚・財界依存体質
真っ先に財務官僚に取り込まれマニフェストにない消費増税を言い出した菅直人氏はそれだけでは飽き足らず、「脱官僚依存」の旗まで降ろし、廃止した「事務次官会議」を復活してしまった。官僚の手練手管のコロッとやられたのだ。野田は官僚支配回帰をさらにエスカレートさせている。「政治家だけでは世の中は良くできない」と次官らに頭を下げ、事実上の「敗北宣言」。とうとう、「消費増税に命をかける」とまで言い出した。財界にも媚を売り、菅政治の「脱原発」さえ、あっと言う間にひっくり返し、原発再稼働へまっしぐらだ。自民党政権時代より、はるかにヒドい政治の不在。そのシワ寄せは全部、国民に回されている。東大大学院教授の鈴木宣弘氏が東京新聞(5月5日付)でこう警鐘を鳴らしている。「一部の大企業とその資金に依存する一部の政治家、人事交流等で企業と一体化している一部の官僚、スポンサー料でつながる一部のマスコミが一体となって、さらに規制緩和を徹底し、多数が雇用を失い、食料や医療も十分受けられなくなるような格差社会を拡大することが、これ以上許されるのだろうか」官僚と大マスコミに洗脳され、操られ、マニフェストで約束した子供手当など「国民生活第一」の政策は次々と反故にした。その挙句の大増税だ。小澤一郎というカリスマ政治家を排除した結果が、誰にもナメられる、今の民主党政権のテイタラクなのである。それでもまだ、小澤が増税やTPPに反対しているから、国民は救われているのだ。問題点が見え、国民生活は首の皮一枚でつながっているのである。しかし、野田民主党の足元を見る自民党の谷垣総裁は、消費増税法案への賛成の条件として「小澤切り」を突き付けている。小澤がいないシロウト集団の民主党なら、どうにでもなる、赤子の手をひねるより簡単と、舌なめずりしているのだ。政治評論家の本澤二郎氏が憤慨して言う。「自民党は、自分たちがここまで国の借金を膨らませた事実に頬かむりをし、野田政権にまんまと消費税を上げさせ、責任逃れしようという魂胆なのです。そのためには、小澤氏が元気なままでは困る。だから、小澤切りを要求している。消費増税に命がけの野田首相がそれに乗ってしまえば、その先にあるのは官僚政治、自民党政治の復活です。政官財が癒着して1%のエリートや富裕層だけが甘い汁を吸い、庶民は大増税でむしり取られる。メチャクチャな世の中になってしまいますよ」そんなものが国民のためになるのか。国民が望んでいるのか。どう考えても、小澤を叩き、消費増税を後押しする大マスコミのやっていることは異常だ。小林弥六氏(政治評論家)もこう指摘する。「反小澤の古い政治家や官僚は、小澤氏の能力を恐れている。だからマスコミを利用して潰しにかかっているのです。小澤氏を巨悪だとか、金権だとか言いますが、検察捜査や裁判で逆に小澤氏がクリーンであることは証明されています。むしろ、大増税までやって国民のカネを巻きあげ、私服を肥やそうとしている野田政権や官僚の方がカネに汚いと私は思います。国民生活を良くするために腐心している小澤氏と、一体どちらが『巨悪』なのか。よく考えてみるべきです」(日刊ゲンダイ「官僚と自民党と財界に乗っ取られる野田民主党」)