「鳩山証言」 佐藤優
「東京新聞 本音のコラム」(11月23日)鳩山由紀夫元首相が21日、次期総選挙には出馬せず、政界を引退すると正式に表明した。この機会に鳩山氏は沖縄を訪問し、真実を証言すべきだと思う。最近上梓された『文芸春秋オピニオン 2013年の論点100』において鳩山氏は普天間問題について、<確かに「最低でも県外」移設を掲げながら、名護市辺野古沖に代わる新たな移設先を決められず、最終的に辺野古移設に回帰したことに対し、大きな批判を呼んだのも事実であり、率直にお詫び申し上げなければならない。しかし、私がお詫びしなければならないのは、「最低でも県外」を掲げたことそれ自体ではなく、それを実現する道筋をつけるに至らなかったことに対してである。辺野古移設を既定路線とする米国側と日本の外務、防衛両省上層部からの反撃に抗しきれなかったこと、かつての橋本・クリントン会談のように、米国オバマ大統領とこの問題について、また核を含む抑止力のあとかたについて、直接十分な時間をとって意見交換をする機会を得られなかったことなど、総理としての自分の力不足に未だに忸怩たる思いである>と書いている。外務・防衛官僚は首相の指揮下にあるにもかかわらず、下剋上を行ったという事実を鳩山氏が沖縄県議会のような公式の場で証言し、記録に残す必要がある。(作家・元外務省主任分析官)