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貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

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2024.03.24
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カテゴリ:作家


あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。そして友人高橋の結婚披露宴も無事終了。その後新婦の友人の唐橋由美子と親しくなったが、あまりに積極的な彼女に右往左往する悠介であった。別れたいが別れさせてくれないので困っている。一方、美枝子は玉の輿と言える結婚する事になった。3月末、悠介は就職の為、神田川辺のアパートから引っ越しする。実習中に由美子が自殺未遂をしたと言う連絡を受けて真っ青になった。大内人事課長と由美子の父親に会い、慰謝料も支払い由美子の心の問題を除けば問題は解決した。悠介は希望の鹿沼工場に配属され社会人生活が始まった。
悠介は女性問題からタイのシラチャへの出張が決まった。



写真はネットより借用

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「それにしても、日本人でなくて、タイ人の友達も沢山いるのじゃーないの?」
「友達はいるけど、恋人にしたい友達はいない。」
「えー? じゃぁさ、僕とは恋人になって良いの?」
「だから誘ったのよ。勿論、恋人になりたい。」
悠介は驚いた。会社でも親しそうな態度で接してくれると思っていたが、それは同僚としての親しさと思っていた。まさか、こんなにあからさまに恋を告白されるとは思っても居なかった。これまでも付き合った人はいるが、先方から告白された事はない。自然とこちらから誘うようになったと言うかさせられたような気がする。

「ここでは、貴方が恋人だからね。」ハンサはそう言って悠介の腕に自分の腕を絡ませて来た。他の人を見ると、悠介たちに気を使ってはいない。自分のパートナーと親しそうに話をしながら飲んでいる。悠介ももう気にしない事にした。流れに身を任せて、ハンサと深い仲になっても構わないと思った。アルコールの力かもしれない。色白のハンサを見ているとタイ人のように思えない。日本人に見える。
「ハンサ、貴女はタイ人なの?」
「え? タイ人よ。どうして?」
「だって、タイ人にしては色が白いしタイ人に見えないよ。」
「あぁ、良く言われるわ。実はお婆さんが中国人なの。私はお婆さん似と言われているから、中国人に似ているのかも知れないね。」
悠介は、そうなのか、と思った。中国人ならば日本人に似ているはずである。
「お婆さんは元気?」
「もう死んじゃった。2年前よ。最後に中国に行きたいと言っていたけど、結局、行けないで死んじゃった。」
「中国のどこ?」
「福建省と言っていた。」
「ハンサは行った事ある?」
「ない。お父さん、お母さんは一度行った事がある見たい。お婆さんの親せきの家で歓待されたと言っていたから。」
悠介は機会があれば、ハンサを福建省に連れて行ってあげたいと思った。しかし悠介は中国に行った事はない。何せ海外は今回の出張が初めてなのである。

「ねぇ、ワイン飲む? ビールの方が良い?」
「そうだなー、ワインにしようか。」
ワインは白と赤が置いてあった。余り経験はないが、悠介は白の方が好きだ。
「白を貰うかな。」
ハンサがワイングラスを2個持って来た。
「はい、どうぞ。」
「ハンサは、お酒は強いの?」
「そんなに強くないけど、ビールとワイン位なら大丈夫。」

「ところで、このパーティは誰が企画したの?」
「始めに挨拶したチャクリよ。」
「彼は幾つ位?」
「う~ん、確か25歳かなー? 私達の中では一番年上。早く彼女を作って結婚したいのだって。」
「そうか。僕は結婚は考えていないな。結婚はしたくない。良いかい?」
「良いわよ。私はまだ21歳だし、私もまだ結婚したくない。色々と遊びたい。」
「そうか、そんなら、恋人になっても良いね。」
「色んな所へ行きましょう。」
ハンサと悠介は意気投合した。1歳違いと言う事も分かった。
悠介とハンサの距離は急速に近づいた。

「ねぇ、ここの後、どこかへ行く?」 ハンサが聞いて来た。悠介は一瞬考えた。この後どこかへ行ったら、最後まで行きそうである。それは、早過ぎる。考える暇もない。これだけ積極的に来られるとちょっと引いてしまう。
「明日、仕事だし今夜はここだけにしようよ。」
「そうか、分かった。じゃー、正月休みはパタヤに行こうよ。」
「パタヤ?」
「そう、パタヤの方がお店が多いし、こことは比べ物にならないよ。アメリカの軍隊が来ているから。もうベトナム戦争も終わったから安全でしょう。」
そう言えば、今年の4月、北ベトナム軍が南ベトナムの首都サイゴンを陥落させて戦争が終わったと聞いている。
「パタヤかー。行って見る?」
「お正月は4日間休みでしょう?」
「そうらしい。」
「じゃー、泊まりで行きましょうよ。」
泊まりで行けばどうなるか、ハンサも分かって言っているのだろうと、推測する。真面目そうであるが意外と進んでいる、経験豊富なのかも知れないと思った。それならそれで好都合である。処女だったりしたら気が重い。
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Last updated  2024.03.24 08:27:21
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