全て
| カテゴリ未分類
| 植樹 クリック募金
| 詩
| 行き先不明の物語
| ごあいさつ
| 物語 老女の昔話
| 物語 鬼果
| 物語 青い翼の吟遊詩人
| 猫風物語
| 猫森計画 しっぽの巻
| 神戸新聞文芸入選作 ガシャ・ポン
| 恋詩
| 光のベール
| 猫森計画 マタタビの巻
| ING入賞作品 夢屋
| 神戸新聞文芸入選作 猫の夜
| 神戸新聞文芸入選作 バトン
| 神戸新聞文芸入選作 父へ三部作
| ING入賞作品 鬼羅の歌
| ガシャ・ポン 天狗編
| 薔薇物語
| 君へ
| 本
| 蛙伝説
| 著書
| ひとりごと
| 自由帳
カテゴリ:ガシャ・ポン 天狗編
木の上にいた。 水音に下を向けば 川。 川の流れに目を沿わせて 遠くに橋をみつけた。 あの橋 知っている・・・下を流れる川はカクシ川。 ならば 今 ぼくがいるのはカミ山だ。 なんで? なんで ぼくはこんなところにいる? とにかく・・・ とりあえず・・・ 帰ろう・・・どこへ? え? 変なの 家に帰るに決まってる。 問題は どこへ じゃなくて どうやって だ。 さっき 下を見た。 木を降りるどころか もう一度下を向くのも やだ。 見たら泣いちゃうかも だ。 だから 遠くの橋を 見た。 橋に向かって 叫んだ。 「おーい おーい 助けてー」 ぼくの目の前の 枝が揺れた。 その隣の枝も揺れた。 その隣も。 ドミノ倒しみたいに 揺れが山の奥へ伝わっていく。 と その返事のように 山の奥から風が吹いた。 風だけじゃない ばさっばささっ と 風をうつ音が 近づいて来た。 羽ばたきの音だった。 人に似た けれど 人でないもの。 翼 くちばし 突き出た鼻に 鋭い目。 老木のようにひび割れた肌 銀色の髪。 体が動かなかった。 叫ぶことも出来ないほど 恐ろしかった。 それは ぼくがしがみついている同じ枝に 大きな体に似合わず ふわりと着地した。 翼をたたみ 骨ばった指で ぼくの頬をつついた。 「さんぺぇにぃ」 写真byげこる「げこるでつくる」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.25 07:30:58
[ガシャ・ポン 天狗編] カテゴリの最新記事
|