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katu6448@ Re:ティンバルカ(09/15) 正直な所、何を言っているのか? 最後はテ…

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2024.04.27
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視覚とは,眼に入力された光信号を感知し,さらに光信号に含まれる外界の情報を基に外界の構造や事物の性質を推定する機能である。
われわれの眼前には,さまざまな明るさや色をもち多様に動き回る多数の3次元物体が広々とした世界に展開しているように見える。
一方,視覚刺激を受容する器官は眼であり,両眼の網膜に光学的に投影された網膜像を生体信号に変換した情報が計算の出発点となる。
われわれを取り巻く外界構造のあり方に関して,眼からの情報を材料にして最も妥当な推定を行なう作業が視覚情報処理であり,それを担う心的システムが視覚系であり,その推定結果を最も生活に便利な形式で心内に表象したものこそがわれわれの視覚世界である。

 こうして成立した視覚世界があまりに豊かに感じられるので,網膜像そのものを眺めているかのように感じられがちだが,以下の理由から考えて,脳内で視覚情報の解析が行なわれた結果が,われわれの視覚体験の本質であると結論される。

第1に,網膜像として得られる視覚情報は眼の動きに伴いつねに揺れ動き,
視野中心に対応する中心窩付近以外は解像度が低く,
視野の盲点に対応する視神経円板や網膜血管系の影の部分においては情報が欠損しているにもかかわらず,われわれの意識する世界は安定的で連続的にくっきりと感じられる。

第2に,網膜像を直に意識化しているなら生じないはずの神経心理学的症状として,
眼に異常がなくても対象が歪む,二重に見える,距離感がない,など特定の視機能だけが損なわれることがある。

第3に,もし心内で網膜像がそのまま映っているなら,いったいだれがそれを解析するのかという哲学的問題があり,心内の映像を心の中の小人的存在であるホムンクルスが見て解析すると考えると,そのホムンクルスの心内で同じ問題が生じ,無限後退に陥ってしまう。

 視覚世界がいかに構築されるかに関しては諸説あり,解明が待たれる。

「世界に関する知識」および「現在までに得られている網膜像の入力データ」から考えられる最も妥当な世界のあり方に関して,ある種の信念 あるいは「外界に関する予測」が形作られ,時々刻々入力される新しいデータと突き合わせてつねに検証され,予測誤差が生じれば新しい信念へと更新される。フ

神経科学者や認識哲学者が提唱するこのような大枠のもとで,いかなる形式のモデルが脳内のどこに表象され,われわれの視覚的意識にいかに対応するのかということは,意識の神経相関を探究するうえで大きな問題である。

【不良設定問題と自然制約条件】
 網膜像に含まれる情報は,外界構造を計算するのにまったく不十分である。

典型例を挙げれば,網膜像は2次元投影像であるため奥行き次元が失われており,同じ網膜像をもたらしうる3次元外界構造には無限の可能性がある。

たとえば正方形の網膜像があったとき,その原因となる外界の物体は前額平行面上の正方形かもしれないし,奥行き方向に傾いた長方形かもしれないし,あるいは直方体や四角錐が特定の角度に置かれているのかもしれない。

また,ある物体からの表面反射光が得られた場合,その原因となる外界の照明光の分光分布,光量と物体の分光反射率と入射角度の関係は特定できない。

ある光強度の物体反射光は,暗い照明が白い表面に当たった結果かもしれないし,明るい照明が薄暗い表面に当たった結果かもしれないし,明るい照明が白い表面に対して斜めに当たったために反射光量が少ないのかもしれない。

与えられた情報だけでは解が一意に定まらない計算問題を不良設定問題といい,最適な解を推定するという作業が必要になる。

視覚情報処理系はつねに不良設定問題にさらされ,外界に関する仮定である自然制約条件をさまざまにおいて解を絞っている。

その重要な2例として,事物の性質は簡単に変わらないはずだとする知覚の恒常性と,自然画像の統計量は特定の分布に従うはずだとする事前確率が挙げられる。

【視覚の下位区分】 
視覚という感覚モダリティは膨大な情報処理を含む大きな概念なので,細分化して理解することが重要な場合がある。

異なる感覚属性は独立した装置で処理されるという機能的モジュール性が,多くの研究者によって提唱されたこともあり,明るさ・色・肌理・運動・奥行きなどの感覚属性で区分することが理解の助けになって,各々独立に研究が進んできた。

また,空間視と形態視の区分や,行為と認識の区分など,異なる処理経路を介すると考えられる計算内容によっても分けられる。

 このような並列的区分とは別に,研究分野の違いによる階層的区分も可能である。まず網膜に結像するまでを主に記述する眼光学の分野があり,次にフィルターや並列結合素子などの工学的概念を多用して視覚信号の生体情報表現を扱う初期視覚の分野がある。

これらに対して,能動的注意,物体認識,シーン解析,視覚的記憶などの高次機能を扱う分野があり,これを後期視覚とよんで区別することがある。したがって,ひとくちに空間や時間などの諸特性を記述するうえでも,扱う属性や階層によって大きく特性が異なるので統一的な説明は難しい。

【空間特性】 
ヒトやサルなど霊長類では,網膜に中心窩があり視野中心が最も解像度が高く,視野周辺に行くにつれて視力が悪くなる。

視力の評価の一つである縞視力は,解像しうる最も細かい縞をもって指標とする。縞の細かさは視角1°当たり何周期の輝度変調があるかをもって記述し,これを空間周波数という。

ただし空間周波数は,縞模様だけに適用されるのではなく,視野内の特定の方位軸に沿った変調が何周期あるかを記述する一般的な概念である。

 縞視力の測定を拡張し,正弦波の輝度変調が検出されるために必要な最小の輝度コントラストを空間周波数の関数として測定したならば,得られた曲線の高域カットオフ周波数が縞視力に相当し,曲線全体は空間的コントラスト感度関数とよばれる。

平均輝度・刺激サイズ・網膜部位などにより異なるが,明所視ではこの関数は中心視でおおむね3~5cpdをピークとするバンドパス型の逆U字型曲線となり,視野周辺に行くにつれてピーク周波数が低域にシフトする。

暗所視では低周波側で感度の落ちないローパス型となる。空間的コントラスト感度関数をもたらすメカニズムは単一でなく,限られた通過帯域をもち,最適周波数の異なる複数の空間周波数チャンネルが介在すると考えられている。

 信号雑音比が悪く,欠損値も生じる貧しい視覚入力から可能な限り有意味な情報表現を構築するために,視覚系では特徴的な空間処理がさまざま行なわれており,それらを反映したさまざまな視覚現象が報告されている。

その一つが明るさ・色の同時対比であり,同じ輝度の面であっても暗い面に囲まれた場合はより明るく,明るい面に囲まれた場合はより暗く感じられる。

肌理・運動・奥行きの属性においても対比は生じる。この対比作用には,空間変化を強調する働きが関係すると考えられている。

もう一つの例が知覚的充塡であり,輪郭がはっきりしない領域において,領域の周囲にある明るさや色などが領域内部全体に侵蝕するように感じる。

盲点での充塡はその典型例だが,それ以外にもトロクスラー効果という名称でよばれるようにぼやけた輪郭を視野周辺で眺めつづけた場合などにも生じ,視覚系の一般的特性といえる。肌理・運動・奥行きの充塡も報告されている。

 刺激画像の物理的構造とそれを観察したときの見かけが一致しない現象を指して,錯視という。

古来より数多くの幾何学的錯視が報告されており,網膜像とわたしたちの長さ・大きさなどの種々の知覚が一致しない例は枚挙にいとまがない。

錯視図形を観察している際も,われわれの視覚情報処理系では,貧しい入力から可能な限り外界構造を正しく推定しようという計算回路が働いているはずである。

そして,幾何学的錯視をはじめとする数多くの錯視現象は,入力と出力との関係が特異であることから,そのような計算回路の原理にヒントを与えてくれる有効な実験材料である。





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Last updated  2024.04.27 07:43:19



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