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[読書] カテゴリの記事

全38件 (38件中 1-38件目)

読書『挿絵画家・中一弥』中一弥

昨日、古書店で購入して即読了。明治四十四年生まれの挿絵画家が自身の人生を語る。背表紙をみた時にはその名にぴんとこなかったが、ぱらぱらと中をみると、そうそうたる時代小説家の名が。副題が「日本の時代小説を描いた男」なのだが、この方、直木三十五、山手樹一郎、野村胡堂、海音寺潮五郎、池波正太郎、村上元三、司馬遼太郎などそうそうたる作家と仕事をしている。自分は雑誌ではなく、文庫が主なのでそんなに挿絵と接しているわけではないけれども、池波正太郎『剣客商売』の文庫表紙の絵がこの人。となると高校生時代から名は覚えてなくとも作品は目にしていたことになります。三男が作家・逢坂剛とも初めて知る。明治生まれの方の話ということで、随所にへー、という点が。子供の頃は尾上松之助ファンでその似顔ばかり書いていて、映画館ではちゃんばらのシーンでそこ斬れとか突いてしまえと怒鳴って、姉たちが映画館へ連れていくのを嫌がったなんて、松之助映画の大流行なんて映画史の知識としては頭にあってもそれを実際に楽しんだ体験談なんてそうは読めない。そして最初は映画館の看板屋になりたいと看板屋で十五歳で働きはじめるも、映画館の看板が日本画風から油絵風に変わり、これまでは日本画家になれなかった人が転身したのが、洋画家になれなかった人が転身するようになったというのも初耳でした。そして看板屋に見切りをつけて挿絵画家・小田富弥に入門。この人の師が北野恒富、その師が稲野年恒、さらにその師が月岡芳年、その師匠が歌川国芳というのにもびっくり。どうしても江戸と明治、大正って頭の中できっちり、時代区分しちゃうけど、当然、人と人のつながりは途絶えぬわけで、浮世絵の直系が時代小説の挿絵に流れ込んでいるとは思わなんだ。もちろん、作家達とのちょっとしたエピソード、作画上のあれこれなども興味深く拝読。中にはちょっとした味のある怪談話まで三つほどあったりで実話怪談好きとしても収穫でした。そして何よりびっくりしたのがこの方の最新の仕事。新書に収録された数々の絵を眺めるうちに、あれ、最近もこの人の作品、観てない？と確認すると、現在、朝日新聞朝刊に連載中の乙川優三郎『麗しき花実』の画がこの中一弥さんなのでした！御年九十八歳で新聞連載に挿絵。脱帽であります。集英社新書。

2009年03月01日

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文庫自動販売機

JR西日暮里駅ホームで飲み物を買おうと自販機に歩み寄ったらなんと文庫本の自販機でした。仕組みはよくあるパンの自販機と同じ模様。写真のように新刊ばかりでなく、『半落ち』なども売っていたので、このラインナップが一般向けの売れ筋と判断されているということか。

2007年06月09日

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『八甲田山から還ってきた男』

最近再読した一冊。映画ともなった明治三十五年の八甲田山雪中行軍。一泊二日の行程だった青森歩兵第五連隊第二大隊は210人中199人が凍死。一方、ほぼ同時期に弘前から十日余りの行軍を行なった福島泰蔵大尉率いる弘前歩兵第三十一連隊の38人は死者を出すことなく八甲田山を踏破して無事帰還する。なぜ、同時期の八甲田山中でかくも明暗が分かれたか。著者は福島大尉の甥にあたり、遺された資料から福島の生涯を紹介し、その問いに答える。福島大尉は薩長閥出身ではないが、地理学を学び、身につけた製図技術(当時は国内の地図も整備されておらず、福島は陸軍参謀本部直属の陸地測量部地形課で全国要地の地図作製に従事した時期も)などで頭角を表し、予想される対ロシア戦へ向けて戦史やさまざまな研究を重ねていた。八甲田山踏破もその目的のために前年には夏期に同ルートを踏破するなど入念に準備されたものだった。行軍にあたっても対ロシア戦時の山岳積雪地での作戦行動を想定していた福島は所持品に至るまで事前に細かな指示を徹底。水筒の水に少量のブランデーを加えて凍結を防ぐことや凍傷防止のために小便は最後の一滴まで十分に絞り、風に向かっての放尿は絶対に避けること、雪に直接腰をおろさぬための桐油紙の所持まで指示していた。また両隊指揮官の指導力にも危地において差が出た。雪中、道に迷い前夜の露営地に戻っていた青森隊は山口少佐が「各自、勝手ニ進退すべし」とぎりぎりの決断で自由行動を各自にとらせ、またその後もさまよう兵卒の指揮官的立場にいた神成大尉は「天は我を見放したか！」と呻き、露営地に引き返し、全員枕を並べて死のうではないかと嘆息。それを聞いた兵卒は一様に気力を失ったと生存者は語る。一方、福島は八甲田山にいよいよ踏み込む段に「これからがいよいよ、われわれの正念場である」と訓示し、雪中露営を止むなく実施することとなっても「吾人若シ天ニ抗スル気力ナクンバ、天ハ必ズ吾人ヲ亡サン。諸子夫レ天ニ勝テヨ」と激励の訓示を行なっていた。この一事をもっても部隊の明暗を何が分けたかが示されている。だが、青森連隊の遭難は軍人の理想像とすべく美化(勅使が派遣され、遭難者は戦死者と同じ扱いで靖国神社に合祀し、遭難について箝口令が出されて新聞紙面から消える)される反面、福島隊の業績は軍の内部資料にとどめて秘匿されてしまう。なお、映画と史実の相違点では両部隊は互いの出発を知らず、雪中行軍のさなかも遭難現場でいきあうことはなかった。福島大尉はのちに日露戦争に従軍。明治三十八年、『坂の上の雲』でも描かれた黒溝台付近の会戦で落命している。日清戦争や台湾守備隊勤務も経ており、まさに日露戦争へ突き進んだ明治日本帝国陸軍を象徴するかのような生涯といえる。文春文庫、1990年刊。

2007年05月17日

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『爆撃聖徳太子』町井登志夫著

図書館で書名のインパクトだけで手に取る。どうせ大戦中に日本が開発した超兵器の重爆撃機に聖徳太子と命名したとかいう架空戦記ものだろう、と思いきや、本当に聖徳太子の話だった。小野妹子が遣隋使として持っていった「日出ずるところの天子、日没するところの天子に書を致す」。当時の大帝国・隋の煬帝に対するこの文面は聖徳太子の宣戦布告だった…。中国を統一したことで、琉球や高句麗と周囲に侵略をしかける隋に対し、高句麗や隋内の反対勢力を支援して戦いを挑んでいたのが聖徳太子だったという斬新な解釈。最近では史上不在の人物説まで出るのも実は大陸で工作にいそしんでいたから。物語は内容を知らずにこの国書を持たされたり、対隋工作や戦闘に太子により、引き回される小野妹子の視点から描かれる。皇帝自身が率いる数十万を相手にしての遼東城の攻防戦などは迫力十分。本書、隋書、日本書記などの記述を踏まえて展開しながら本当に書名どおりのことを太子がやってしまったりする。それでいて当時の世界情勢などをとらえる著者の史的な眼は確か。何よりぶっ飛んでるのは太子のキャラ設定。口癖が「うるさいうるさいうるさぁいよぉぉぉぉおっつ」。耳が聡いので他人の秘密を握り、強請り、自分の思うように操る。決め台詞は「憲法第○条を言え」。でもって、「十七条憲法その三、曰く『詔を承りては必ず謹め』簡単に言うと僕の命令に絶対従え」てなことを相手が隋の人間でも言い放つ。このキャラの立て方はどこかでと思いきや、聖徳太子が「無駄無駄無駄無駄無駄無駄むだぁぁぁぁぁぁぁっ」と絶叫していたり。まさにJOJO風。これはあたりの一冊。ハルキノベルス、2004年刊。この本の前には『諸葛孔明対卑弥呼』なんて作品も。これも読みたいなぁ。

2007年03月29日

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『信玄忍法帖』山田風太郎

大河ドラマにあわせて、そういえば山本勘介が出てくる忍法帖はなかったっけと手持ちの本から再読。上洛の途上、三方が原に家康を破った信玄だが病没。「わが歿後三年間は喪を秘せ」との遺言の通り、七人の影武者を立てる。徳川方は信玄の生死を伊賀忍者九人に探らせる。武田方、この策略の指揮をとるのが川中島の決戦以来、実は姿を隠して生きていた山本勘介。その手足となるのは真田源五郎(昌幸、幸村兄弟の父。まだ幼い二人も登場)と忍者の猿飛天兵衛と霧隠地兵衛。探りを入れ、信玄の命を奪わんとする伊賀忍者との攻防の反復が基本パターンだが、そこへさまざまな人物が絡んでくる。足利義昭の密使。信玄と交友のあった剣聖上泉伊勢守。北条家の使者として風魔一族。武田家金山奉行大蔵藤十郎、忍法帖読者には馴染み深い後の大久保長安も出てくる(後年の怪人ぶりに比べ、本作では伊賀忍者に手玉にとられるのがおかしい)。逆に攻守ところを変え、武田方が忍者を使った策略を徳川に仕掛け、その対象が家康正室築山御前と長男信康、この時の結果が後の信康切腹、築山殿暗殺につながるなんて展開も。忍者の技の数々も奇想あふれる。淫楽の極みで息絶えた男女の血を塗っての「煩悩鐘」。数百条の不可視の糸とその先の銀の鉤で人を操る「鵜飼」など。その他、「春水雛」、「時よどみ」、「陰陽転」などその名も怪しい技ばかり。冒頭の三方が原の戦いにはじまり、最後は武田勝頼があの武田家凋落を決定づける長篠の戦いに出陣していくところで終わる。すでに読者は武田家滅亡という結果を知りながら手にとっているわけだが、書中でも幾度かその最後の様が折り込まれ、基旋律となっている。写真は佐伯俊夫のカバーイラスト。信玄の影武者達とこれは武田方の忍者の技をかけられた家康の侍女。周囲を飛びかうこの蛾の出所は…。かつての角川文庫版はこの人のイラストで統一。忍法帖、辻村ジュサブローによる人形や天野イラスト、最近ではせがわまさきが表紙を飾ったりするが、やはりこのあやしい絵である。

2007年02月10日

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快楽亭ブラックの憲法改正反対！

ここ数日の通勤本は『快楽亭ブラックの放送禁止落語大全2』。実際に寄席で聞いたことはないが、確かに創価学会などの宗教ネタや皇室ネタ、下ネタなどのオンパレードで書名に偽りなし(笑)。放送禁止どころか出入り禁止になってる寄席、会場もあるそうだ。何しろ、収録された新作落語タイトルが本の帯に掲げられているのからして「オマン公社」である(ちなみに財政赤字に悩んだ国が売春を国営化するがお役所仕事で…という話。新作落語「ぜんざい公社」のパロディ)。その他、「聖水番屋」、「朝鮮人の恩返し」「マラなし芳一」…なんかこうしてタイトルを書き写しているだけでもこちらも下ネタ嫌いの方から交際お断りされかねない気がしてくる(苦笑)。その中から比較的穏当な政治ネタ、安倍政権絡みのマクラをちとご紹介。「でも、これだけは声を大にして叫びたい。　憲法改正反対！　マスコミも国家権力と癒着してますから本当のことは言いませんが、憲法を変えたらえらいことになるんですよ。五月三日が憲法記念日じゃなくなっちゃうんですから。五月四日だって国民の祝日じゃなくなっちゃうんですよ。　祝日が四月二十九日と五月五日だけ、日本からゴールデン・ウィークがなくなっちゃうんですよ。　安倍内閣はこんな危ないことを考えているんです。」。洋泉社刊CD付き。

2007年01月26日

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講談社に垂れ幕

前を通ったらでかでかと清涼院流水、西尾維新の名の垂れ幕が。大河ノベル2007なる企画で、前者はパーフェクト・ワールド、後者は刀語というタイトルで「世界出版史上初前代未聞2人同時12カ月連続発行」をするそうです。二人共、どのぐらいストックを持って臨むのか、無事完走なるか(含むセールス面)。二人の本はあまり読んでないんですが、ちと野次馬的には気になります。また西尾維新の幕、名前を知らぬ年配の方など何が講談社に起こったか、誤解しそうです。

2006年12月15日

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『超―1怪コレクション』

加藤一編。実話怪談シリーズの雄「超」怖い話が新たな執筆者発掘のために開催したコンテストの傑作選。ネット上での投稿者の名を伏せての互選と読者評で新たな執筆者が二名誕生したわけだが応募529話の中から82話をセレクト。やはり執筆者の座をめざす真の実話怪談好きが応募しただけあって、シリーズの影響下、語り口も平山さんがかってるなぁというグロ幽霊譚や加藤さん入ってるなぁという妖怪譚あり。話も生き霊、艶笑怪談、神仏関連、不条理系ありと何ともバラエティ豊かで昼過ぎからの歯痛をも忘れさせるほどにぞくぞくさせる。ネットでも読めるが、書籍では配列の妙も楽しめる。特に終盤には「断腸」「クレジットカード」など「甲板」などまがまがしい話が集められ、厄さこのうえなし。十月末には第二集も出るようで怪談ジャンキー的には嬉しいかぎり。竹書房文庫。

2006年10月01日

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『007/ダイヤモンドは永遠に』フレミング

本の整理をしていたら出てきたので久々に再読。ジェームズ・ボンドシリーズ第四作。1956年、今から半世紀前の作品となる。映画版は何かと派手な印象だったが、原作はアメリカのギャング組織スパングルド一味によるダイヤ密輸ルートへの潜入捜査。ボンドはアフリカからロンドンを経由してアメリカへと流れ込むルートに運び屋に偽装して潜入する。組織の報酬の受け渡しはサラトガ競馬での馬の入れ替えやラスウ゛ェガスでのブラックジャックでといかさまギャンブルを利用して行なわれるなどギャングのその他のビジネスも描かれる。お馴染みキャラではフェリックス・レイターがピンカートン探偵社の一員として登場し、ボンドをサポートする。ヒロインは運び屋の監視役からカジノのディーラーまでつとめるティファニー・ケイス。姐御ぶった口調や「いっときますけど、私、あんたといっしょに寝る気はないのよ」と言いながら「そうね、それからもう一回ぐらいは会ってもいいわ」と言い出すなど半世紀前ながらツンデレである。ウ゛ェガスで勢力を誇るギャングの親玉の趣味が西部の街の再現で蒸気機関車まで走らせたりというあたりはフレミングならではのケレン味で機関車との追跡劇まで劇中にある。さらにクイーン・エリザベス号航行中の殺し屋襲撃など。難点は部下に指示をくだすにも電話と録音装置を用いて正体を明かさないABCを名乗る組織のトップの正体に意外性がないことか。井上一夫訳、創元推理文庫。

2006年09月23日

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『怪奇心霊語り埋蔵金発掘の怪奇編』

夏なので引き続き、ホラー路線。今回は蔵書のマンガから。小説家の体験をJETがマンガ化するシリーズの第三弾。朝松健、竹河聖に続き、登場する作家は加門七海。共著の『文芸百物語』、『怪談徒然草』などでも体験談を語ってますが、この人の場合は体験内容もすごいんですが、怪異へのスタンスがまた独特。宿泊した宿坊の部屋の中に怪光が出てきて窓の向こうが気になって夜の神社境内へ歩き出したりと普通なら布団かぶって寝ちゃいそうなところを好奇心のおもむくままに追っ掛けていきます。カッパが出るという河原で夜を過ごし、使ったシートになぜか大量の血痕が付着していてという怪現象への反応も「血は別に何もしないし」。そういう問題じゃないと思います。またお祓いなどはできない加門さんの他人に教えるカンタンな憑きものおとしの方法とは…「繁華街行って他の人にくっつけて来い」だそうです。他にサブタイトル通りの武田の埋蔵金話に関わった時の話や出羽三山での体験談などを収録、恐山の帰りにみた建物の間に詰まった二階部分まである老婆などビジュアル的にも異色。朝日ソノラマほんとにあった怖い話コミックス。

2006年08月12日

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不思議ナックルズ七号

雑誌「不思議ナックルズ」七号を買う。実話系雑誌の増刊号でタイトル通り、心霊系のネタにこの手の雑誌得意の犯罪ネタなど。個人的には実話怪談絡みが読みたくて買う。今号ではあの霧島ケイ、加門七海の体験で知られる三角屋敷の検証や小池壮彦の山の上のホテル追加取材といったあたりの記事が目当て。怪談、心霊写真などもある。この手の雑誌は同じネタが手を変え、品を変えグルグル回っている感があるが、ここでも別誌で読んだ養父母を虐待した娘の一家が養母の「お前ら七代祟ってやる」との今際の際の叫び通り、十一人が次々死亡する事件が漫画化。絵で見せられるとまたぞっとさせられるのは確か。心霊以外の殺人事件ネタでは名古屋妊婦切り裂き事件(88年、妊婦を殺害、胎児を取出し、電話機・キーホルダー・洗剤を腹中に詰めた事件。時効成立…)、04年の加古川七人連続殺人(一夜に親類・隣人を襲い、自宅に放火。芦屋道満伝説の地とは知らなかった)と新潮45などでもルポがあった定番事件。だが、六十年前の女祈祷師妊婦解体殺人事件は知らなかった。女祈祷師が家族と祈祷を重ねるうちに従姉妹を解体という事件。警察が犯人を市中引き回しにしたり、犯人が精神鑑定で半年ほどで釈放され預けられた先で…など事件の後日談も含め、すごい話だ。笑えるのは都市伝説の定番ミミズバーガーに関し、実際に作った記事。ただし、釣りのエサ用が食材で結果は…。ミリオン出版刊。

2006年08月11日

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異形コレクション『闇電話』

井上雅彦監修の新作ホラーアンソロジー。久々に読んだ通算三十五冊目は「電話」をテーマに二十二人の作品をおさめる。電話というのは便利な反面、確かにコワイ道具であり、イタズラ電話やオレオレ詐欺など生者の悪意を伝えるばかりか死者からの電話も実話怪談では定番ネタ。そもそも、かかってきた電話に出た時。相手が声を出すまでの受話器の向こうにいるのが何者なのか、わからない一瞬も改めて考えれば不安な時間だ。収録作品でも電話の相手は様々。死者(草上仁「燃える電話」は短篇のお手本的作品でもある)や人外の怪しい存在もあれば拾った携帯に残された見知らぬ相手あり(中井紀夫「十一台の携帯電話」は拾ったこれだけの数の電話のメモリーにある相手との会話だけで構成)。はたまた電話の通信機能に着目しての発明以前、室町時代や江戸時代に起きる「電話的」怪異あり(朝松健「若狭殿耳始末」、佐々木ゆう「三尸虫」)。異色作は大槻ケンヂの「龍陳伯著『秘伝・バリツ式携帯護身道』」。あのホームズが身につけていた武道バリツの流れを汲むという武道家が携帯を使った護身術を披露する入門書という構成で大槻自ら演じる写真も多数収録。特に格闘技好きならバカ受け。また平山夢明「それでもおまえは俺のハニー」はタイトルからしていっちゃっている。光文社文庫。※えーっと、何で画像ないの楽天ブックスさーん。

2006年07月31日

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『いま、殺りにゆきます』

ようやく刊行の『いま、殺りにゆきます』平山夢明著。この著者の著作では東京伝説系の非心霊恐怖譚。理解不可能な狂人や犯罪者の所業に遭遇してしまった方達の体験談を集める。混んだ車内でカッターナイフ片手に乗客の頭を殴るトンだ目の男など電車や地下鉄駅で遭遇する危険な人間。愛犬の足が何者かに一本ずつ折られていたなど安全なはずの自室への侵入者とその所行。煮えた油など階上から危険なものが投げ落とされる集合住宅など身近な環境の危険…。またこれまでに「地獄ラーメン」など読者にインパクトを与えてきた食物関係ネタもあり。もう串打ちされたモツは食べれそうにないです。食物が使われる話では前著でもあったマヨネーズネタも収録。女性読者にはきつそうだ。最近の新聞を見ても白昼の住宅街で車内に引き込まれ、誘拐されたりと過去ので読んだような話が実際に起きているわけであり、また自分も空き巣に入られたり、居住地での飛び降りに遭遇などの経験があるが、今やそのぐらいの事件では警察や消防が動いても新聞には地方版すら一行も出なかった。おそらくもっとすごいレベルの話でも特に報じられずに埋もれているのだろう。騒音おばさんや庭先糞尿煮詰め男はたまたま浮上した氷山の一角。例えば今でこそ、ストーカーという語はすっかり定着したが、一昔前はそういう事件が多々起きていても世間は全く知らなかった。本書についても、こんな話、日常にはありえない、と否定する気にはならない。なお、収録された話の大半の被害者像は一人暮らしの若い女性。しかも警察に相談しても犯人が見つからず、「引っ越した方が良いね」とポツリと言われたりするのがオチというのが定番というのも今の警察の検挙率を考えるとリアルだ。なお、本書、何度も発売月がずれ、七日発売なのにあとがきの日付が六月二十七日なのもコワイ。英知文庫刊。

2006年07月08日

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『殺戮迷宮』菊地秀行著

菊地秀行は中学時代から読んでいる作家の一人。基本的に自分、読書傾向の方向はその頃にできており、山田風太郎、夢枕獏、栗本薫、朝松健といったあたりは小中学生あたりから読み続けて今にいたる…早熟というか、かつ成長がないというのか(爆)。本作は魔界都市ガイド鬼録(リポート)二作目。ナンバーワンガイド外道棒八が主人公の魔界都市新宿を舞台としたシリーズ。南米の小国エンクレセブのサルリ元大統領の引き渡しを要求し、観光バスをジャックしたテロ組織ラノク。新宿に潜伏している元大統領には各国も注目する、世界の存在にも関する秘密が。娘イザベラの依頼を受け、サルリを探す棒八だが、米軍のテロ専門家と新兵器NUFOエヌ・ユーフォー、寝た者は死ぬ疫病神の女ガイド由衣、棒八に復讐を誓う元ナンバー2ガイドのブレイズ、エンクレセブからの人狼、粘体生物ブロブなどが行く手に入り乱れるうえに魔界都市ものの主要キャラからドクター・メフィストと「凍らせ屋」屍刑四郎刑事（作中ではよくよく絵を考えるとちょっとまぬけな羽目に陥る）も登場と一冊完結にしては豪華な面々が顔を揃え、案外楽しめる。サルリ元大統領の能力設定はマンガ「魔界都市ハンター」をちょっと思い出したりも。

2006年07月03日

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『おまえら行くな。』北野誠著

この時期、点数が増える怪談本。この夏はまずこの一冊から。北野誠が語る幼少の頃からの体験談を「超」怖い話執筆陣の加藤一がまとめる。新耳袋でも紹介された京都の幽霊マンションはじめ、新潟のホワイトハウス、宮崎勤事件の現場で有名になったあきるの市トンネル、定番スポット小坪トンネルなど後半はテレビでの名だたる心霊スポット取材先での数々の出来事。トゥナイト2などでの映像が残っているならばDVDでも出してくれればいいのにと読んでいて思ってしまう。ここで個人的なスタンスの話しを少々。基本的に心霊スポット探索はいきません。実話怪談好きなのも、実はそういう場所にいかないために読んでいる側面が強かったりします。よくあるそういうスポットに肝試しに行ってひどい目にというのも、言ってみればヤクザの事務所にピンポンダッシュしたら追い回されて…というのと同じで当たり前といえば当たり前と思っております。登場人物はすべてイニシャルになっているが、特に後半のテレビ関係の話題はすぐわかるのも愛嬌。だってバウバウのM君ってねぇ…。というわけで先頃引退した女子プロレス最強タッグCGのひとりNさんこと長与千種を座っていたロケバスの「後部座席」から突き飛ばしたシートから出た白い手を見た「若手レスラー」って誰だろう？と気になって考えちゃいます。幽霊マンションなど新耳袋で紹介された話もあり、言ってみれば同じ怪異を新耳と超怖でそれぞれどう料理するかという趣も。やはり本人談という部分で生々しさはこちらが、タイトに整えられた語り口という点では新耳だろうか、って気が印象ではするが、新耳の方と具体的に引き比べていないので今度並べて読んでみよう。マイクロマガジン社。購入はこちらからどうぞ。夏の怪談本、次は平山夢明『いま、殺りにいきます』発売待ち。

2006年07月02日

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『家光謀殺』笹沢左保著

自刃に追い込まれた徳川忠長、改易された加藤光正両家の遺臣が上洛する将軍家光の暗殺を計画。松平信綱、大久保彦左衛門はひそかに暗殺を阻止するために一味を集める。忍びの七郎兵衛ほか集められたのは剣豪・宮本武蔵、吉原を築いた庄司甚右衛門、この任務がきっかけで出会う軍学者・由比正雪と槍の丸橋忠弥（なお、この時点では後に乱を起こすとは本人達も思っていない）、そして天眼通の娘・綾糸。将軍・家光の行列の先に立ち、将軍自身には暗殺の危機を悟らせることもなく、綾糸の予知に従い、火攻めなどの数々の計略を防ぐ一行だが。六百ページを超える大作。一行の取り合わせの妙はあれど、このドリームチームを前に逆に敵が物足りない気もするのは否めない。天眼通もややご都合主義的。敵の首領の正体や一行中に裏切り者がいるとの疑惑の謎解きなどはこの著者らしいミステリ風味。文春文庫。

2006年06月28日

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『コロラド・キッド』

キング「ダーク・タワー」シリーズ刊行中の新潮社が実施していたプレミア・ブック『コロラド・キッド』プレゼントに無事当選。シリーズの文庫本に応募券がついていて、まあ、プレゼントは一万冊だから当選確率はそうは厳しくないでしょうが、くじ運はそうない身を自覚しているゆえに、当たってほっとしました。日本初訳の本作、吉野仁解説によると「契約上の理由で単独での刊行は許されておらず」、同封の新潮文庫編集部の手紙によると「プロモーションにならば使ってもよいし、できればそうして欲しいというキング氏本人の意向もありました」そうで、一度は角川から刊行されているのに「小社から再出発した」シリーズを「支持してくださった多くのファンの方々に感謝の意を表したく、このような形で刊行することといたしました」とのこと。カバーはついてないですが、黒一色の装丁で背表紙の文庫の分類も「キ 3 ?」なんて入ってます。全240ページ。内容は届いたばかりで未読ですが、まずは当たったことをばご報告。

2006年06月04日

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怪談本を買いにいこう

なにぶん、怪談好きなもので…というわけで三月下旬刊行予定だった平山夢明『恐怖伝』（仮）。都内某書店で「英知文庫ならこちらですけど」と言われても見当たらず。並んでいた同社の『２４』の文庫本の奥付を見て、その場で携帯から営業に電話してみると出てきた女性が「申し訳ありません。五月に延期になりまして…」とおわびモード。何となく案の定の展開。竹書房文庫の編集さんの方が平山氏との修羅場を何度もくぐっているだけあって、手綱さばきが達者ということなんだろうか。　　　で、こちらは予定通りの加藤一『「弩」怖い話３』（竹書房文庫）を入手して帰ってくる。それでも、こちらも加藤氏のブログ「さぼり記」を見ると２９日の時点ですでに早売りで手に入れている読者がいるのに、著者御本人は＞いいなー。著者の手元にはまだ見本がきません。＞他の著者さんなどは発売前に見本が届いて「いよいよ発売である！」とほくほくされているのに、なぜいつも発売後に見本がくるハメになるのかというと、そりゃもちろん原稿/校了が遅いからであって、著者が読者より後から完成品を読むのは、これは一種の罰ゲームのようなものではあるまいか(^^;)だそうだ。英知文庫の編集担当者には頑張って頂きたい。もちろん、平山氏本人もね。期待してます。さて、肝心の今回の「弩」怖い話は人が無防備な瞬間に襲い来る怪異！というわけでまさにことの最中にというシチュエーションの怪談ばかりを集めた一冊。「艶笑譚」ならぬ「艶怖譚」といったところか。なお、昔、買った怪談本の中で色絡みの霊についての会ったよな…とネットでうろ覚え検索。『〈恐怖体験〉性霊に犯された夜忍び寄る色情霊の呪い』ホラープレス/編これだったかな？ところで、より無防備な状況というとやはり、トイレで用を足している瞬間ぐらいか。トイレの便器から手が…。という古典的なパターンもあることだし。

2006年03月31日

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『女将軍伝』井上祐美子

中国明朝末期。ちょうど日本でいえば戦国末期から江戸幕府初期にあたる年代。女真族が北から侵攻し、内には地方の内乱が相次ぐ時代。四川の地方を統べる夫の死後もその官職を継ぎ、女将軍となった秦良玉。明史列伝に名を残す実在の巾幗英雄(女性武人)を描く。夫が覚えのない罪で獄死するなど中央権力に翻弄され、天嶮に囲まれ、地自立も可能という四川の地域の事情、反乱を起こす側の心情も理解できながら軍勢を率い続ける。英雄と讃えられはすれども、自ら時代を動かすという立場ではない。それだけに読んでいてつくづく大変だよなと同情してしまう。学研M文庫。

2006年03月21日

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『<映画の見方>がわかる本 80年代アメリカ映画カルト・ムービー篇ブレードランナーの未来世紀』町山智浩

愛読映画雑誌、映画秘宝連載「イエスタデイ・ワンスモア」の単行本化。資料と監督自身の言葉をもとにスタジオ主導による保守的で能天気なハリウッド映画の陰で80年代に異様な映画をつくり続けた映画作家の作品を取り上げる。クローネンバーグ「ビデオドローム」、ジョー・ダンテ「グレムリン」、キャメロン「ターミネーター」、ギリアム「未来世紀ブラジル」、オリヴァー・ストーン「プラトーン」、リンチ「ブルーベルベット」、ヴァーホーヴェン「ロボコップ」、リドリー・スコット「ブレードランナー」について監督の半生、制作事情などを交え、紹介される。ちまたに氾濫する映画ライターや単なる感想書きと異なる映画評論家としての仕事をしている一冊。特に作中からや監督の言葉の引用、エピソード紹介が巧みで何箇所か、読んでいて目頭が熱くなる。「映画を作るとなぜかみんな僕の自伝的な話になってしまう。途方もない夢を語り、それを理解されない男の話にね。それでも夢を見続けずにはいられないんだよ」(ギリアム監督)。もう少し引用。ヴァーホーヴェン監督「ボッシュは売春宿で小便をする旅人を描いた。そんなものを描く画家がフランスやドイツ、イギリスにいただろうか？(略)オランダの芸術家はつねにリアリズムを追い求めてきたと思う。普通の人々が見たくない現実まで見つめようとする。たとえばクソをする行為までね」(なお、ヴァーホーヴェン監督はオランダ出身)。同監督、映画は現実に自分を繋ぎ止めるための錨と述べて…。「だから、私は映画でファックやチンポやクソやドラッグやハッパを執拗なまでに描き続けるのだ。現実の醜さを直視することで、美しい天上の理想に誘惑されそうになる自分の足を大地にしっかりと立たせておくために」。「すべてのマシンは人間の体に入りたがっていると思う。なぜなら、どのマシンも人間の体の延長として作られたのだから」(クローネンバーグ監督)てな珠玉の言葉の数々がちりばめられてます。それだけでもおなかいっぱい。洋泉社刊。（一月読了、別サイト投稿より再録加筆）。参加しております。人気blogランキングへ

2006年03月09日

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『怖い本』五巻

昨日は愛読誌・映画秘宝と『怪談の学校』など数点を購入。本日は昼休みに週刊新潮創刊号復刊と別冊「黒い報告書」を購入。と、読むべき雑誌・本がたまってますが、平山夢明氏の『怖い本』五巻が出ている模様。しかも今巻からは全編書き下ろしになっている！！しとしと雨の降る中、今から書店に買いに行きますわ。ちなみに表紙はこんなだそうです。

2006年02月24日

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キングどか買いとエルリック・サーガ復刊

実は買い物中毒の気がある。ただし、発揮される方面は限定されていて、本、ＤＶＤ、中古ビデオといったあたり。本日はそういえば新潮文庫のキング、未読が多いよな…と思い立ち、一挙にダークタワーシリーズや二分冊の短編集やらと十冊まとめ買い。中国語雑誌とグインサーガ新刊も買って本日は本代一万円突破（笑）。いつ全部読むんだろ。こないだブックオフで１００円棚の文庫本二十冊買い込んだばかりというのに…（爆）。いや、ダークタワーシリーズ買うと一万人にキングのプレミア文庫本があたるというのについつい惹かれてねぇ。で、本題。グインサーガ新刊の折り込みチラシにあの傑作ファンタジー、エルリック・サーガ復刊の案内が！主人公エルリックは帝国の皇子だが、アルビノで虚弱児。斬った相手の魂をすする魔剣ストームブリンガーを手にすることで生命力を得るが、その剣には斬っているうちにハイになり、見境なく斬りまくることになるという副作用がというかなり不健康でぶっそうな人物です。でも好きなんだよなぁ。高校時代に読んでましたね。声のイメージは故・塩沢兼人さんで。作品内の時系列順に並べ、四巻までは既刊分を合本で、五巻からは未訳作品を収録という構成。以下、早川書房のＨＰより。巨匠ムアコックが描く　　　壮大なるヒロイック・ファンタジイ　　　エルリック・サーガ全７巻　刊行開始！3月上旬SF　『メルニボネの皇子』〈永遠の戦士　エルリック１〉　マイクル・ムアコック／井辻　朱美訳　　　メルニボネ帝国の落日と皇帝エルリックの旅　　　立ちを描く表題作と『真珠の砦』の２作収録　　　【刊行スケジュール】　　　２　白き狼の宿命（同時収録：この世の彼方の海）　　2006年５月刊　　　３　暁の女王マイシェラ　（同時収録：薔薇の復讐）　2006年７月刊　　　４　ストームブリンガー（同時収録：黒き剣の呪い）　2006年９月刊　　　５　夢盗人の娘（仮題）THE DREAMTHIEF'S DAUGHTER 　2006年11月刊　　　６　スクレイリングの樹（仮題）THE SKRAYLING TREE　2007年１月刊　　　７　白き狼の息子（仮題）THE WHITE WOLF'S SON　　　2007年３月刊折り込みによると一巻発売日は３月９日。チラシには以下の二氏のコメントも。栗本薫氏　激賞！「エルリックにまた会える。彼は私の偶像の一人だ。」夢枕獏氏　推薦！「エルリック・サーガを私も応援します。」夢枕さんのは選挙のチラシ用みたいですが…。

2006年02月09日

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マンガ『わたし、だまされました。告発！ネットワーク・ビジネス』坂口優美著

ネットワークビジネスに引っかかってしまった著者がその実体験をマンガ化。自分が「代理店」になり、他人を勧誘して販売網を広げることで利益が入ってくるという名目の商法で貯金をはたいて三十万円の化粧品を購入してしまった著者。どのような手口で勧誘されたか。セミナーではどのようなビデオが上映され、どのような講演がなされ、どのような人達がそこに集まっているのか。そこで使われるロジックやレトリックについて、一度はだまされた今だからわかる欺瞞への指摘も加える。例えば勧誘した相手には、まずビジネスをはじめさせるにあたり、そのために高級文具の手帳を購入させる。こうしたちょっとした初期費用を投入させることが、この分の元を取らねばという気を引き出すことになるなど、細かいテクニックや弟をはじめ、周辺の人達を勧誘していた時の自身の心境も描かれる。「代理店」資格を得て、それを維持するためにはノルマとなる人数が課せられるが、それができず、自腹を切り、借金を重ねていく姿や勧誘した人にも借金をさせることが当然であるかの様に語られるのを見聞きして、引き返すことができた著者。購入した化粧品代金の大半も返金してもらうことができた（このクーリングオフのやり方もマンガ中で指南）。よくある作者が登場する身辺雑記的エッセーマンガのゆるい絵柄で読みやすい。ワクチンがわりの一読をおすすめ。なお、本書に対し、某アマゾンでは…自分はネットワークビジネスをしているが、問題の多い事にも憂えている人間だ。（中略）「やっぱり、このような本が出てしまった。ますます誤解されるのではないか？」と読んだ時はショックだったが、これを他山の石として「自分はこのような商売はしていない。」と、この本を片手に、目の前の人の信用を得る事も可能だと思う。やネットワークビジネスとネズミ講はまったく違います。ネットワークビジネス（ＭＬＭ）は世界で広く行われている合法的なビジネスです。（中略）この本は儲けに目がくらんだ騙されやすい人が「騙された恥をさらしている本」といえるでしょう。ナンセンスですね。なんて、ネットワークビジネス真っ最中！な人の声も寄せられていたりする…。闇は深いですね。ランダムハウス講談社刊、定価１，２６０円。

2006年01月24日

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[『七剣下天山』上巻

新年の初読書は梁羽生『七剣下天山』、まずは上巻を読了。金庸・古龍と並ぶ武侠小説の大家だが、本作が映画「セブンソード」にあわせての初邦訳。原作読んでから観に行こうかと思ってたらあっという間に上映終わってしまって…。清代三藩の乱の頃の江湖の侠客達の活躍を描く作品だが、登場人物が多く、その因縁なども錯綜。何しろこの著者の長編は解説によるとシリーズ連作になっており、本書も二十二部ある天山系列の一環とのこと。本作はレスリー、ブリジット・リンで映画化された『白髪魔女伝』の続々編にあたる。何しろ序章で描かれるのが前編『塞外奇侠伝』の主人公の最期であり、その前編からの因縁が今作でも続く。前編から引き続きの登場人物（白髪魔女の弟子飛紅巾や天山派の剣士だが裏切って清についている楚昭南だの)や弟子・子の世代らも登場と反清の戦いという大きな流れはあれども愛憎遺恨の因縁の糸が張られまくり。メインの登場人物が複数いることも拍車をかける。その点、金庸は同様に世代をまたいで話を展開させても主人公ははっきりしていてその人物が江湖を渡っていく中で見聞と活躍を重ねるスタイルが多く、読みやすかったのとは好対照。劇場で見損ねたが、映画版は果たしてこのどの部分を取り上げたのか。下巻へ続く。徳間文庫。本年も参加しております。人気blogランキングへ

2006年01月02日

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『忍法八犬伝』山田風太郎

そういえば風太郎忍法帖にも八犬伝あったよなぁと蔵書の徳間文庫版で久々再読。やはり、一枚上手。藩主が将軍家へ献上すると述べた家宝の八顆の玉が里見家を取り潰すために献上前に本多正純の意を受けた服部半蔵部下の伊賀のくの一、八人に奪われてしまう。しかもすり替えられた玉に浮かぶは淫戯乱盗狂惑悦弄の八字。代々名を継いできた老八犬士は割腹し、玉奪還を甲賀卍谷へ修業にやった息子達へ託す。だが、息子達は堅苦しい父達と違い、とうの昔に見切りを付けて六方者、軍学者、女郎屋者、狂言師、香具師、巾着切、乞食、盗人になっていた。道徳の権化というべき犬士たちの末裔にこんな職ばかりさせるのも著者ならでは。父の割腹、お家の大事にそっぽを向いていた彼らだが、ひそかに思いを寄せていた藩主に腰入れしてきた十七歳の奥方・村雨さまに請われて立ち上がる。プロの忍者に忍法はかじった程度の彼らがそれぞれの職をつかっていかに挑むかがアイデアの見せ所。さらに大坂の陣間近といった時代設定の利用やくの一の名に原作の悪女玉梓や船虫果ては左母なんて名までいるあたりさすが。聖女と崇める女性のために身を投げ出す男達という風太郎作品によく登場する構図もこれまた定番だが好きですね。参加しております。人気blogランキングへ

2005年12月22日

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『乱華八犬伝天の巻』鳴海丈

百二十年前に改易された安房里見家重臣の末裔・出雲京四郎は三百万両の埋蔵金のありかを示す伏姫の数珠を探すことを父から申し付けられる。その宝珠の行方は八人の処女の子宮内。男根に八連黒子を持つ者が彼女達を破瓜して玉を得ることが必要と女性に触れることなく文武を磨いてきた京四郎は女性対策に性技の特訓を受け、探索の旅路へ、という官能系伝奇時代小説。基本設定はいささか強引な上に、玉を宿した八犬女が結局は各章のヒロインにとどまってしまうのが難。要は玉を放出したら出番終了。犬士集結の過程で楽しませた本家・八犬伝の方が勝る。里見家を潰した本多正純の末裔という剣士・真桑利大記との幾度もの対峙、玉を探す奉魔衆の登場と話を面白くする要素は揃えながらも上記の欠点は補えない。トクマノベルズ。参加しております。人気blogランキングへ

2005年12月21日

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三谷幸喜の新刊

『三谷幸喜のありふれた生活4冷や汗の向こう側』を即日読了。朝日新聞連載時に大半は読んでいたつもりだが、結構、読み逃した回もあったりする。おまけに一度読んだ回もああ、この話あったよなと読んで記憶が甦ったりして面白く読めてしまう（のはいかがなものかとも自分の記憶力に対して思うが）。実は三谷作品は芝居は未経験、テレビもかじる程度しか観ていないが、前巻に続く前半の「新選組！」話は珍しく大河ドラマで一年通じて楽しませてもらった作品なので語られるその舞台裏には大いに興味ありで満足。主要キャストのここだけの話もいいですね。映画話ではキューブリック「博士の異常な愛情」を、また中古ビデオで入手という「ブラス・ターゲット」なるサスペンスを取り上げたりも。なお、今巻の副題はゴールディ・ホーンがコメディエンヌ封印で主演したサスペンス映画「幸せの向こう側」からでしょうか。ゴールディファンとしてはちょっと嬉しい。朝日新聞社刊。

2005年12月15日

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『雪山飛狐』金庸

中華ｴﾝﾀﾒには欠かせない武侠小説の大家・金庸長編には珍しくも一巻もの『雪山飛狐』を読了。明末の反乱者李自成とその腹心四人。李自成の死を巡り、投降し、裏切り者とみなされた胡と残りの三人苗、笵、田が対立。胡が三人に殺され、胡の息子と会った後に三人が自決するという謎を残したまま、四家は代々が殺し合うことになる。そして百年以上が経ち、今また雪山飛狐の異名をとる胡家の末裔・胡斐との対決の時が迫り、三家と使い手達が集まる。だが、集まった者達の間にも恋情のもつれや複雑な利害関係があり、互いの秘密や暴露・告白の末に個々の思惑、隠れた行ない、さらには胡斐の父・胡一刀が苗人鳳との対決で落命した二十七年前の抗争の真実とそもそもの李自成の死の謎までが明らかになっていく。以下、内容にふれております。最初から三つ巴の集団戦が始まっているうえに続々と高手が登場し、強さのインフレがかつてない速度で進行。その中で意外な事実が次々判明し、家の対立をこえた運命の恋人達の出会いがあり、胡斐とその父の仇にして恋人の父である苗人鳳との頂上決戦があり…。そしてこの結末は、文字通りのクリフハンギング！いつもながらストーリーテリングとそのスピード感はさすが。そのうえわずか一巻の長さの中で李自成の乱当時、二十七年前の抗争、そして現代と三つの年代が取り上げられることでそれがさらに加速。因縁の中、義侠を貫こうとする者と豪傑や武門の統領・重鎮としての高名を得ながらも醜い思惑や欲をさらす者といった図式もいつもながらだが、本作では特に著しかったりする。

2005年12月04日

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『００７／ゼロ・マイナス・テン』レイモンド・ベンスン

映画次作のボンド役が誰に？というのが最近の００７をめぐる話題でありましたが、ボンド作家の方もフレミング、ガードナーに続き、現在は三代目になっています。そのレイモンド・ベンスンによるシリーズの第一作。１９９７年、返還間際の香港が本作の主舞台。折しもオーストラリアの原野で何者かが原爆を爆発させ、国際世論が騒然とする中、いよいよ近づいてきた香港返還。香港では国際貿易会社ユーラシア・エンタープライズの役員陣が水上レストランで爆殺されるなどの事件が続発。中国・香港国境への中国軍集結など不穏な空気の中、ボンドが派遣される。ボンドは香港返還の取材に来たジャーナリストを装う。これまでの事件を探るうちにユーラシア・エンタープライズの最高経営責任者ガイ・サッカリー、中国のウォン将軍、三合会ドラゴン・ウィングの首領リー・シュナンといった人物が浮上。この作者、もともとボンドの研究が評価されて三代目作家に選ばれたということで本書中、随所にこれまでのシリーズを意識した箇所が登場。ボンドが歴代ボンド・ガール達のことを回想し、ヒロインの名が列挙されたり、自身がタバコの本数を減らした時期をサンダーボール作戦の頃と思い出したり。極めつけは航空機の中でアルビノ中国人殺し屋三兄弟の片割れと対戦。銃を抜く相手にこの一言。「与圧されたキャビンで銃を部ぶっ放すのは危ないからな。きみの仲間の韓国人がいつか…」。なお、行動を共にするボンドガールはストリッパーで功夫使いでもあるスンニー・ベイ。ギャンブルでは麻雀が登場だが、ベンスン氏、やはり詳しくない様で頂けない。相手のいかさまもせこいし、ボンドとその仲間が対抗作として使う通し（サイン）もかなり基礎的である。そもそも、勝負がはじまるやいなや、北家のボンドが親が捨てた北を鳴いてしまうのは如何なものか。相手も元マジシャンならそれこそ天和ツミコミぐらい披露して欲しい。しかし、返還間近の香港が舞台というのは実際には何事もなかったとはいえ、香港映画好きとしては楽しいし、三合会の入会儀式が描かれたり、チョウ・ユンファの名前が出てきたりするくだりはニヤリ。ハヤカワ・ポケミスで読む。

2005年12月01日

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『帝都東京殺しの万華鏡』

映画祭記事、金土日と観続けて終幕。現在、燃え尽き症候群のため、アップは後日にて。というわけで本日は最近読んだ本から。戦前の新潮社発行の雑誌「日の出」から昭和初期に書かれた事件ものノンフィクションを収録。主に元刑事達が自らつづる携わった帝都の猟奇事件の数々。待合へ女が届けた荷が男の片腕だったことに端を発する｢情痴の片腕事件｣。部屋の中央に仰臥する全裸の美女の死体｢湯上がりの死美人｣。血の海の中、腹中の胎児も飛び出した死体として横たわる幾多の愛人を持った女とその殺人を犯した男の奇妙な関係｢屋根裏の殺人鬼｣。などなど凄惨な怪事件に捕り縄一本を懐中に捜査に飛び出す刑事達。犯罪がサイコ化した現代社会とはいいますが、本書収録の事件の数々も結構きてます。捜査の過程で浮かび上がるは複雑な怨恨情痴、人の業は何時の世も変わらぬもの。また事件を解決するも病気で入院中の妻を死なせてしまった刑事が職を辞し、去っていく先が満州だったりするのもその先の時代を思うと感無量です。その他、警官や裁判官座談会や医学博士による法医学解説など盛りだくさん。なお、ちょっと驚いたのが昭和十三年の時点ですでに鉄道での轢死体を「まぐろ」と言っていたんですな。てっきり戦後生まれの比喩表現かと思ってました。新潮文庫刊。

2005年11月02日

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祝！『駿河城御前試合』＜新装版＞発売

本日、たまたまネットで発見。あの山口貴由の超絶残酷時代劇画『シグルイ』の南條範夫による原作が待望の復刊。明日六日発売。以下、徳間書店ＨＰより駿河大納言忠長の御前で行われた十一番の真剣試合。城内が腥風悽愴と荒ぶその日、武芸者のだれもが破滅の淵へと疾走し、血の海に斃れていった。日暮れ、人去った城内は寂として声なく、人心の倦厭の気のみ残されていたという……。（傑作時代小説）現在、マンガ化されてるのは全十一番中の一番分の勝負なんですよね。ファンの足下を見て高値を付けてた古本屋の皆さん、ご愁傷様。アマゾンの中古売買でも最安値で三千円とかつけられていたり。明日以降の値動きが楽しみです。

2005年10月05日

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今日の散財バビル編

帰路、途中下車して駅前のブックオフへ。一冊１０５円の廉価版で横山光輝｢バビル２世｣を購入。この廉価版、通し巻数が振ってないので全巻完結になったのかなどがわからなく放置していたがどうも揃っていそうな分量が並んでいたのと、ISBNｺｰﾄﾞ5から9ケタ目が連番になっていることに気付き、全１２冊を購入(追記＝と、思ったらラス前の一冊抜けてました…シクシク)。さっそく一冊目「バビルの使者」を読む。五千年前に地球に不時着した宇宙人バビルが自らと同じ超能力を持つ子孫のために残したバベルの塔。現代、夜ごとの夢と飛来した三つのしもべの一つ、怪鳥ロプロスに誘われ、塔を継承した少年山野浩一だが、やはり超能力を持ち、世界征服をたくらむヨミと熾烈な戦いとなる。久々に読み返して意外だったのはヨミとの最初の出会い。塔のコンピュータが将来良き友となるか強力な敵となるかどちらかだと示したためにヒマラヤ山脈高山地帯にバビル２世の方から足を運んだんですね。そしてバビル２世の目からヨミが｢わしを友としては選ばず敵として選んだ｣ことに気付き、二人の敵対関係が開始するわけです。ヨミが差し向ける岩の巨人ゴーリキがシンプルなデザインながらかっこいいです。岩の固まりが飛来して巨人に組みあがるんですわ。

2005年10月04日

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妖怪大戦争

本屋で荒俣氏による原作がこないだ単行本で出たばかりなのにはやくも文庫版で登場。こんなにも文庫化が早くていいのか？文庫がすぐ出る旨の告知はされていたのか？全国からアリャマタコリャマタ氏(水木御大描く荒俣氏)と角川への怒りの声が機怪を生み出す程届いてないのか心配です。あ、自分は引越前で手控えててセーフでした。

2005年07月27日

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[『華やかな野獣』横溝正史

角川文庫、横溝正史の金田一シリーズを三編収録。成金の父の遺産を相続し、夜ごと乱交パーティを主催する女主人が殺される表題作。中島河太郎解説によると昭和三十年の事件と推察されるとのこと。発見された遺体は絞殺の上、もろ肌脱ぎで胸を刺されていた。同夜、ボーイとして現場に潜入していた金田一の推理は。終戦後の東京ではじめて扱い、等々力警部との出会いとなったキャバレーでの二重殺人事件が｢暗闇の中の猫｣事件(昭和二十二年三月)。七十万円（まあ、戦後すぐですから）の大金が奪われたが、強奪犯同士の仲間割れか、キャバレーでの銃撃の後、存命で逮捕された男は記憶を失っていた。記憶を呼び戻すべく、男をキャバレーへ連れて行った警察だが、男は「あっ暗闇の中に何かいる。おお。猫だ！猫だ！猫がこっちを狙っている！」との声をあげて、電気が消され、暗転した店内で射殺されてしまう。さらにもう一つの殺人事件も発生。男の言葉の意味は？暗闇で男を正確に撃てたのは？こちらでも金田一は易者に化けて最初から現場に潜入している。別件での捜査とはいえ、この人、いつも殺されるべき人が皆殺されてから捜査をはじめる探偵。確か「本の雑誌」算出によると探偵の防御率ワースト１だったはず。最後の一編は結核で亡くなった妻の遺体を屍姦した画家が出所。病院から若い女の死体を盗み、やがては若い女性を殺害して欲望を満たすという猟奇事件が発生する昭和二十七年一月発生の｢睡れる花嫁｣事件。金田一耕助というと八つ墓村や獄門島と自分の世代には映画化の印象からへんぴな田舎での事件が多い気がしますがこうしてみるとそうでもないんですよね。

2005年07月27日

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今日の怪談本

夏といえば怪談。本日も実話怪談の新作を二冊入手。ホラー映画や怖い話は好きですが、実際に体験したいとは思いません。基本的にはそういう目には遭いたくないからこの手の本を読んでる部分も多々あります。おかげ様で八甲田山だのそこには行くまいと心に堅く決めてる場所もいくつか。肝試しや深夜のドライブも行きません。そんなわけで本日はこのハルキホラー文庫の二冊。百物語（第4夜）平谷氏、昨年で次はないと言明していたのに、まさかの「第４夜」。まえがきによると版元の要望を断り切れず…ということらしいです。これで本当に最後といってますが、どうだろう。百物語シリーズ、正直、あまり怖い話はないんですが、現役教師ならではの学校の怪談蒐集、釣りなどのアウトドア怪談や岩手出身という地域性といったあたりが特徴でしょうか。もう一冊は平山夢明『ふりむいてはいけない』。ふりむいてはいけない雑誌Ｐｏｐｔｅｅｎ連載に新作を加えての一冊。掲載誌が掲載誌だけに若いカップルが怪異に遭遇するパターンが多いですね。平山氏にしてはおとなしめというか、どぎつい話が出てないです。まあ、『超怖い話』も今月はあるから前哨戦ということで。書店でこの二冊を手にもう一冊、怪奇スポットもののムックをぱらぱらしていたら突然、ちょうど自分の頭の上の蛍光灯のみ消灯。結構、照明の本数が多い店なんでカウンターのレジ番のお姉さんも気づかない、ちょっと薄暗くなった程度でしたが、手にしてる本が本だけにどきりとしました。なお、店員の立ち読み対策ではないと思う。

2005年07月14日

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夢の時代伝奇対抗戦

最近買ったマンガから。「ジェノサイド」小林拓巳、中島かずき（アクションコミックス）大坂落城後、奪われた千姫をめぐり、真田十勇士と甦った里見八犬士が激突！と聞いただけで時代伝奇小説版夢の団体対抗戦と血が騒ぐ。八犬士、十勇士共に特殊能力だのキャラが美女になったりだのとかなり奔放なアレンジが施されているが、残念ながらこの二冊で迎えるのは「非大団円」。もろに昔のジャンプ十週打ち切りパターン「戦いはこれからだ！」でした。でも全二巻完結表記となっていないところを見ると続行への色気はあるのかな。

2005年07月08日

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日本の夏、怪談の夏

結構読むのがいわゆる実話系怪談本。ネットでいつのまにか平山夢明の新刊『日々狂々、怪談日和。』（竹書房文庫）が出ていることを知り、前日まで一冊在庫があったジュンク堂書店池袋店に電話で問い合わせたところ売り切れ。昼休み、会社近くの本屋にもなし。しかし、夏ということでありました。怪談本及び関連書籍。　映画秘宝の別冊「妖怪映画夏の陣」（洋泉社）、　山口敏太郎『ホントにあった呪いの都市伝説』コスミック文庫、　「怪奇巡礼ＤＶＤ」漫画実話ナックルズ特別編（ミリオン出版）と三点を入手。池袋は旭屋書店へ。あら、あるじゃありませんか。平積みで。ついでに買い損ねていた中国情報誌「ＣＨＡＩ」の今月号も入手。今月は「神秘の中国アンチエイジング特集」でした。何だかんだで文庫本一冊買うつもりが結構買っちゃいました。

2005年07月04日

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雑誌「Hotwax 」

昨晩、「Hotwax」vol.1と2を池袋のHMVで入手。新聞の紹介記事で目にして気になっていたがタイトルを失念していた次第。1970年代を中心とした日本の映画、ロック、歌謡曲を紹介する雑誌であり、写真やデータが豊富。創刊号特集は日活ニューアクション、キャロル、深作欣ニの時代劇。創刊号にはCDも付く。「野良猫ロックセックスハンター」「野良猫ロックマシンアニマル」「不良少女魔子」個人的な目玉の「…セックスハンター」での梶さんと安岡力也のデュエット「禁じられた一夜」。「無頼より・大幹部」無頼のテーマと五曲を収録。二号目は梶芽衣子特集。本人インタビューや作品紹介ばかりかディスコグラフィまでカバーする網羅ぶりの90ページ。1992年。レンタルビデオ屋でタイトルにひかれ、何気なしに手に取り、はじめて「女囚さそり第41雑居房」を観て、劇中、二言しか話さないハードヒロインぶりに衝撃を受けて以来の野良猫、さそりの頃中心の70年代芽衣子好きには梶さんの現在までの仕事の全体像を俯瞰できて文句なしの逸品でした。

2005年06月26日

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