観てよかったDVD 藤原竜也主演の舞台『エレファントマン』
今回は『エレファント・マン』。私の世代だとディヴィッド・リンチ監督の白黒映画を思い出す人が多いのではないでしょうか?私も数回、鑑賞にトライしましたが数分で断念。。(涙)(このDVDを観た後でもう一度、どこかでレンタルしようと思い立ち探しましたが見つかりませんでした。近々デジタルリマスター版が出るようなので、その後なら入荷されるのでしょうか。)リンチ監督の作品は「興味はあるけど、観にいくと大変な思いをする」印象が強いです。『イレーザーヘッド』も気分が悪くなって、途中で映画館を出ようと思ったら腰が立たなかった経験あり。 19世紀末、実在した不遇の人物ジョン・メリックの半生を描いた作品。演劇作品、映画もあるので有名なお話ですね。 生まれつき、外見に著しい特徴を持ち、見せ物小屋に入れられていた主人公ジョン・メリック。その彼をたまたま見た外科医が研究のため引き取るのですが。。。 情報弱者の私は鑑賞前、藤原竜也が特殊メイクでもしたのかと勘違いしていたのですが、さにあらず。演出方法で、藤原竜也の外見は、ジョン・メリックの内面の美しさ、無垢な魂を具現化したものとされています。 見ていて最初は戸惑うのですが、演技が上手い役者さんばかりなので段々本当に彼が「エレファント・マン」に見えてきます。 周囲の人間は彼を見ると悲鳴を上げたり、逃げ出したり、おもしろがったり。新聞への投稿がきっかけで同情を受けるようになると一躍「名士」に。高貴な方々の来訪も増え、周囲には欲得ずくの人間も集まってきます。 聖書を熱心に読み、芸術作品にも理解を示し、不自由な手を酷使して教会の模型を造る主人公。彼の周囲に集まる「健常者」の俗臭。心がふれあえる相手が見つかったかと思いきや引き離される悲運。とてもかなしい作品ですが、美しい音楽、シンプルな舞台装置、照明の微妙なバランスで心に迫る佳作となっています。 心に残った台詞は「神様がこの世界をお造りになったのなら、両手を使ってくれたらよかったのに」(うろ覚えですみません。ジョン・メリックの台詞です)確かに世界は哀しいほどに不完全。