■レビュー内容
「そのぶっそうな兄弟喧嘩、やめていただけませんか」
序盤の魂替えの話の解決策は、そうきたかぁ～って感じ。地下迷宮（？）からの脱出、冒険物の定番ですね。一気に読んでしまえるくらい話の展開が早くて面白い。今回はネンゲの話は出て来なかったが、風霊使いへの弟子入り話には進展あり。孫娘ユーホ、楽しみ。パルロの再登場もあるかなぁ？
■あらすじ【ネタバレ注意】■
一人旅を続ける弓香は、ドジな尾行者に気付く。パルロという名の尾行者は、ネンゲの指示で弓香の動向を探っているサッタの宰相の弟だと言う。あまりにもドジなパルロに警戒心が薄れてしまった弓香は、パルロと同行することに。季節は水の季に入り、すっかり道にまよってしまった弓香らは、雨を避け廃屋で一夜を過ごすことに。
パルロは精霊呪術は使えないが生体呪術の反魂が出来ると言い、パルロはユーミの魂を呼び出す。弓香は、ユーミと話し、いくつか情報を得るが、短時間で終わってしまう。パルロにもう一度と迫るが、反魂は同じ魂を何度も呼び出せないと言う。核心的な情報は何も得られず、疑問ばかりが増えた結果となってしまった。
落ち込む弓香の前に、亜空間から顔を出したダガーが現れ、ここはネンゲに併呑された土地だと教える。ダガーは弓香が捕まれば自分の身も危うくなると文句を口にする。食料調達に外へ出ていたパルロが戻って来てダガーを見るなり、ダガーのことをタピール帝と呼ぶ。ダガーは亜空間に消える。弓香は、ダガーとタピールが同一人物なのかとパルロを問い詰めるが、そっくりな別人だと考える方が自然だと思い至る。
弓香らは食事を摂り終えると、床に扉のドアノッカーのような金属の輪があるのに気付き、二人で引っ張ると、突然、床が抜け落ち、二人は地下に閉じ込められてしまった。光の玉を使い辺りを照らす弓香の前に界渡りをしてきたかのように男が現れ、「オーロレイ様はいないか」と問うが、辺りを見回すと、また消えてしまった。弓香はユーミとの会話でオーロレイと言う名を聞いていた。パルロに問いただすと、ネンゲの先代の月の神官で、タピール帝の直系血族で伝説上の大魔道者だと言う。
弓香は、落ちた場所から出ることを考え、モモにロープを上に運ぶよう指示するが床があった辺りで、結界に接触しモモは気を失い落ちてしまう。意識のないモモを光の玉と一緒に毛布でくるみ安静にさせ、弓香は出口を探し地下を彷徨っていると、老人グミとその孫娘ロップに出くわす。二人も同じように地下へ落ちて出られなくなっていて出口を探しているのだと言う。近くに自分たちのキフ村があるから一緒に来いと言われ、パルロと共に村へ行くことにする。
村に着くと弓香らは歓待を受ける。この村はジョーロウにあったが、ジョーロウが魔道の暴走で滅んだ時に地下の結界の中に沈んでしまったという。弓香らはグミに協力し出口を探すことにする。3日ほど出口探しをすると、パルロの体調が悪くなり寝込んでしまう。
そんな折、村の光源であるヒカリキノコを食べるオオモグラが現れ、弓香も加勢することになるが、呪術も剣も使えない弓香にオオモグラグミが迫ると、女戦士が現れ、オオモグラを一蹴する。その女戦士はミズールだった。ミズールは、グルーフ帝の命を受け弓香の護衛の任務に就いたのだと言い、弟ティッチのため女の体に魂替えしたのだった。
ミズールに事情を話すと、ここは霊的にゆがみがあると言い、火球で呪陣を作りパルロと光の玉と共にモモを寝かせる。地下であった風霊使いの男シンガを探して話を聞くことになり、二人は風霊の発生源を目指す。しばらくすると、シンガの方から二人のもとにやって来きて、シンガは地下の結界とキフ村の秘密を話し、結界を消す方法はキフ村の住人を全て殺すしかないと言う。
一概に信じられない話だったが、弓香らはグミの家に戻るとパルロが意識を取り戻していた。状況を話し終えると、ロップがやって来て火球をどかしてほしいと言う。ミズールは防御陣でもないただの呪陣を恐れることを訝り、ロップを呪陣の中に無理やり入れると、ロップの体は砂と化し崩れ落ちる。この村の住人は何十年も前に死んでいるのだというシンガの話は事実だった。
弓香は、事実は理解できても村人を殺すことをためらう。ミズールはさらに情報を得るため村人から話を聞くと言い出て行く。しばらくすると、呪陣の中でモモの意識が戻り、喜ぶ弓香だったが、ロップを探しに来た少年に対してモモが威嚇を始め少年をかみ殺してしまう。少年はロップの様に砂と化す。弓香とモモ、パルロはグミの家を出て解決策を考えるが、いい案が浮かぶはずもない。ミズールと合流し、最後はグミと話すことにした弓香らだったが、その道中に村人に取り囲まれる。これがグミと村人の答えだった。
ミズールとパルロが次々と村人を倒していく。弓香は、どうしても殺すことが出来ず、グミの家へ行く。弓香はグミの本意を聞き、涙ながらにグミの胸にナイフを突き刺す。結界が解け地上との行き来が出来るようになると弓香は、村人と結界で死んだ地上の人の埋葬をする。
弓香は元の風霊使い探しの旅に戻る。シンガを探そうとミズールと相談していると、そのシンガが現れる。シンガに界渡りの魔道の教えを請うが、シンガは出来ないと言う。だが、自分が出来なかったキフ村のことを解決してくれたお礼だと言い、銀の腕輪を渡す。シンガの孫娘ユーホが風霊使いの修業をしており、界渡りの魔道も使えるはずだと言う。その腕輪を見せれば協力してくれると言い残しシンガは消えてしまう。弓香とミズールの二人旅が始まる。
