就職したばかりの頃、独身寮に入っていた。
2階から上は女子で、1階は野郎ばかり16人。それでも、全員個室。ケータイもなかったし、個室に電話を引くことも禁止されていたから、ピンク電話(エッチな電話とは違う)がロビーに1台設置されていた。
管理人がいない寮だった。小生は、そのピンク電話に一番近い部屋だったから、電話に出る確率が高かった。
「○夫君、お願いします。」ってかわいらしい女性の声。○○のやつ、彼女できたのかよぉ!って嫉妬。
しばらくして、その彼女の声が、職場の×子の声ということに気づいた。
そのうち、×子からの電話が途絶えるようになった。へへん、ザマ-ミロ、お前たち別れたんだろ、なんてほくそ笑む心の狭い小生でした。
その独身寮には比較的長くいたから、そのうち古参としての位置を確保した。そんな時、後輩が「いいビデオありますよ!僕の部屋で見ませんか?」と誘われた。
独身の男子にとっていいビデオとはアレしかない。
後輩の部屋に入ると(俺の部屋よりきちんと片付いているじゃん)なんて思いながら、期待に胸を膨らませていた。
後輩がビデオを入れたら、「あれっ、巻き戻ししてなかった。」ということで、テープの巻き戻し。
今ほど高速巻き戻しができない機種だった。巻き戻ししている間、後輩が言うには、「やっぱり腰の使い方が一番大切なんですよ」(そうだよなぁ、深く入れたり、浅く抜いたり、ってよく言うからな)、「回数を積んで、励むしかないと思います。」(確かに、経験が大事だ。ただ、どこで回数を積むのかが問題だよな)、「ストックの使い方が大事で、腰とのバランスが大切みたいですよ。使うタイミングを身体で覚えないと。」(アレをストックにたとえるなんて、詩心あるじゃん。いきなり使うと、痛いっていうからなぁ)などと夢想する小生の横で熱弁をふるう後輩であった。
「巻き戻し終わりましたので、見せますよ。」(わくわく)「3回分まとめて入れてありますから、時間かかりますよ。」(3回分ということは、からみは何回あるんだ?)などと、期待に胸が高鳴る。
ところが、出てきたのは一面の銀世界。「?」と小生。後輩は、「いいですねぇ、こんなところで滑ってみたいですよねぇ。」「?」
続いて「スキー教室」の文字が。NHK教育でやっていたスキー教室のビデオ、3回分とりためただけだった。
その後輩は、その頃、スキーのインストラクターの資格を取ることに熱中して、週末になると一人でスキーに行っていたのだった。
大事な会議がある日にも、当日の朝に電話で「すみません、今日休暇いただきたいのですが…。」上司が「大事な会議、お前が仕切るんだろ!出て来い!」と注意しても、「今、もう白馬にきているから、無理です。」と確信犯で休暇取得していた。
その頃の彼が一番興奮したのは「スキー」のビデオだったのだ。
その後、彼は職場を去り、どこかの雪山でへたくそなインストラクターをしているってことを、風の便りに聞いた。
トリノオリンピックのスキー競技を見て、思い出したエピソードだ。
関係ないけど、禁パチ20日
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Last updated
2006.02.18 01:34:40
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