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Starting Is Beautiful 40 ~後日談~ ルエラとリクが結婚し、広い海に出た後のことです。 ルエラの育ての両親とルエラの実の父親は、 森に囲まれた緑の屋敷で一緒に暮らしていました。 多くの財産を処分した後は、嵐に頻繁にあう港町の復興とその後の嵐にも備えて、 町を大きくつくりかえていくのに、一役買いました。 もともと町一番の資産家です。国内にも海外にも多少のつてがありました。 その上ノエルの両親が他国と始めた商売を、リク、ルエラ、ノエルがさらに 成長させていきました。 その豊かな恵みは、港町の復興にもおおい役立ちました。 「僕は、今でも思うんだよ」 老夫婦を相手に、あたたかな湯気のたちのぼるお茶をカップに注ぎます。 「ルエラとノエルを手放さなかったら、どうなっていただろうって」 遥か昔のことに想いを馳せて、老人が微笑みます。 「何も変わらないよ」 「ええ、変わりませんとも」 カップを受け取って老夫婦は笑います。例え、その時に別の道を歩んだとしても今と同じように一緒にお茶を飲んでいたことでしょうから。 「そうだね。僕は、あの時本当に嬉しかった」 二人に真実を告げた時、もう今までのように一緒にいられなくなってしまうと思いました。 「けれども、こうしてここにいる」 当時のことを語る老人に晴れやかに笑います。 ふと窓の外に目をやれば、カーテンが穏やかに揺れています。 優しい風が吹き込んで、薄紫の花びらが白いテーブルクロスに舞い散ります。 信じてよかった 屋敷の主人の言葉が誰の耳にも届かぬままに、そっと風にとけて消えていきます。 緑の香る優しい風と金の光の木漏れ日が、今も屋敷をあたたかく見守っています。 おわり *********************************** Starting Is Beautiful これで本当に終了です(笑) ご愛読ありがとうございました(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.24 08:37:10
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