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カテゴリ:【物語】桃花幻想記:秘密の小瓶
桃源郷:秘密の小瓶4 ~再会~ 「何しに来たんですか」 通鷹は渋い顔をしながらも、突如現れた客人を 迎える準備をします。 客人も慣れたように縁側で、靴をぬぎ、なんのためらいもなく 部屋へと入ってきました。 リンににっこり微笑んで、隣にすとん座ります。 女性の堂々とした振る舞いに、呆然としていましたが、 急いで座布団をすすめます。 「どうぞ」 「いいのよ、あなたは気にしなくて」 にこにこと笑いながら、リンをみつめます。 台所で客人のぶんのおそばをゆでているのでしょう。 通鷹が戻ってくる気配がありませんでした。 「あの…」 「何?」 通鷹が戻ってくる前に、女性と通鷹との関係を聞いておきたいと 思いました。 リンは何も知らないのです。 「通鷹とは…どういう関係なんですか?」 自分でも情けないくらい声が震えて、リンは恥ずかしくなりました。 女性の黒い瞳が、きょとんとしたかと思うと、おもむろに くすくす笑い始めました。 「古い知り合い…とでも言っておけばいいかしら?」 「それは…」 「あまりリンを、からかわないでください。」 顔をしかめた通鷹が女性の分の食事を持って現れました。 乱暴に女性の前にどんぶりを置き、苦々しげに言い放ちます。 「リンの知ってる姿で来てくださいと言ったでしょう」 女性とは思えないほどの大きな声で笑って、 女性の体が金色の光にふわりと包まれました。 金の光から現れた見慣れた人物をみて、 リンは体中の力が抜けきってしまったかのように、 間の抜けた声で呟きました。 「高時…」 あたりと、いつものいたずらっ子のような表情をリンに向けます。 大きくため息をつく通鷹と放心しているリンをよそに、 高時はひとりおそばを食べ始めました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.12.18 10:17:33
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