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カテゴリ:【物語】はじまり
はじまり 56 ~双子~ 満月の夜の船出は、順調に進みました。 キール王子がよほどしっかり指揮を取ってくれていたのでしょう。 海の沖にでて、他国へと近づくまで兵の船に遭うことはありませんでした。 他の大陸や島に何度か停泊し、しばらくの間滞在します。 最初に停泊した島で、シキとクローディアは結婚式をあげました。 どこから調達したのか、白いウェディングドレスに身を包んだ クローディアは、とても幸せそうに見えました。 互いにリングを交換し、誓いのキスを交わします。 お城のように派手ではないけれど、すっかり打ち解けた 乗組員たちに祝福されて、優しい式となりました。 航海を続ける内に、クローディアがシキとの子を身ごもりました。 「どかで、落ち着いた方がいいですね」 乗組員のなかに、医学の心得のある者がいましたので、 彼の助言にしたがって、近くにある小さな島に落ち着くことにしました。 小さな島に着き、クローディアは双子の男女を産みました。 男の子をノエル、女の子をルエラと名づけます。 シキとクローディアは喜び、しばらくの間落ち着く家を 探すことにしました。 「長く滞在するのはどうでしょうか」 「うん」 キール王子から、王が血眼になってクローディアを探していると 知らせが届きました。 国からはずいぶんと離れたものの、どこで素性がばれるかわかりません。 それでも、お産を終えたばかりのクローディアを、生まれたばかりの 赤ん坊を、海に連れ出すわけにはいきませんでした。 良い案が浮かばぬまま、数日が過ぎて、季節外れの嵐がこの島を 襲いました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.13 09:52:43
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