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2012.01.23
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 桃剣幻想記17

 ~珠~


蒼い剣の持ち手は、一人の剣士でした。
鍛冶師の目から見ても、心根が優しく清く清廉潔白に
思えました。
剣もしぶしぶながら、彼ならかまいませんと自ら
剣士に仕えました。

剣士と心を通わし、剣は以前のように凄まじい強さを
みせました。
剣士も剣を頼もしく思い、何かと相談をもちかけ、
まるで無二の親友のように接していました。

しかし、荒れ果てた戦乱の世の中で、次第に剣士と剣との
意識がずれていきました。
剣は剣士を守ろうと暴走するようになったのです。

「私の意志に逆らうな」

何度も何度も剣と剣士は喧嘩をするようになりました。
剣は、純粋でした。持ち手の心に魔が差し込み、
穢れていくのを察知して、持ち手の穢れを吸うようになったのです。

どういう状況だったのか、混乱のさなかで剣士ははっきりと覚えていません。
しかし、敵味方関係なく力を振るい始めた自分に恐れをなしました。

次第に、穢れていく自分の心には気づかず、剣が悪いのだと
感じるようになりました。

持ち手を守ろうとして暴走する龍と、振り回される自分を
断ち切るかのように、剣を自らの手で折ってしまったのです。


「剣は、教えてくれようとしていたのです」

鍛冶師の前で、涙をこぼし、剣士は肩を震わせます。
剣を折ってしまってから正気に戻った剣士は、如何に自分が
驕り高ぶり、戦乱の世に自身の心が穢れていたのかということに
気づきました。

「剣の手入れもしていなかったことに、その時気づいたのです」

剣士は、剣はもう暴れないと言いましたが、まわりのものは
信じませんでした。
剣を厳重に封印して、鍛冶師の元に送り返せと剣士に命じます。

剣士は、戦の場から離れてそのまま除隊を申し出ました。
無二の親友を自らの手で殺めてしまったような感覚が
残り、剣を折った感触もずっと残っています。

剣の封印を解き、鍛冶師に渡した後、剣士は
僧の道に入ると告げました。

「戦乱の場で、己がどれほど残酷な者かがわかったのです」

状況が状況なだけに、鍛冶師は何も言えませんでした。
ただ、まだ若い剣士が己の道を見出せることを願って、
ひとつの袱紗を手渡しました。

「これは?」

紫色の小さな袱紗の包みを開くと、なかから小さな珊瑚の珠が
手の中に転がり込んできました。

「どうぞ、お持ちになってください、高時様」

いずれ役に立ちましょうと、ほっこり笑って送り出します。
鳩が豆鉄砲食らったような顔つきをしていましたが、
悲しげに微笑んで懐へとしまいました。

「ありがたく、ちょうだいしよう」

少し気持ちが明るくなったのか、背筋を伸ばして
鍛冶師の家をでていきます。
剣士の背中が小さくなっていくのを見届けてから、
鍛冶師は蒼い剣を眺めました。

「さて、これが最後の大仕事かな」

老人とは思えぬほどの気迫をみなぎらせて、
鍛冶師は微笑みました。


つづく





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Last updated  2012.01.23 18:19:52
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