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ジゼル@ きれー 光と影と緑のコントラストがきれい(^^)
2012.01.24
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 桃剣幻想記 18

 ~意志~


「ああ、思い出した」

リンは記憶の底から目を覚まし、ゆっくりと顔をあげて蒼い龍の瞳を
みつめます。
龍はそのまま顔をリンの額にこすりつけて、喉の奥を鳴らしました。

 
 あいたかったです


ふわりと届く声に、リンは笑みを浮かべます。

「私は、ずっと記憶を封じられていたからな」

その後、鍛冶師としての生を終えたリンは、多くの
魂の道筋を辿りました。
その繰り返す転生の中で、通鷹とは何度も出会い、
共に学んできました。

「お前が過保護なのは、私を殺めたことを悔いているからか?」

静かに龍のあごを撫でて、頬をくっつけます。
折れた剣を打ち直した後、意識を取り戻した蒼い剣は、
混濁した意識の中で鍛冶師の命を奪ってしまったのです。

信頼していた者に手折られた悲しみが暴走し、
我に返った時は物言わぬ鍛冶師を前に、たたずんでいました。

唯一心許していた鍛冶師を葬って、そのまま自分も転生の道を
辿ることを願い出ました。

「もっと、人の心を学びたいと思います」

人と共に生き、人と共に暮らし、人の世で学んでいきたい。
それが、最期に聞いた鍛冶師の願いでもありました。

鍛冶師が息を引き取る寸前に、剣に伝えます。

「通鷹、お前の名は通鷹だ」

剣じゃない、お前の意志で自身の道を歩め。
どうだ、前より男前になったと思うぞ。

微笑んでこときれた鍛冶師の遺体を抱いて、
蒼き剣、いえ、通鷹は声をあげて泣きました。


つづく







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Last updated  2012.01.24 08:39:54
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