|
はじまりのひと ~朝~ ある島の崖の上に、鮮やかに緑香る森林がありました。 その森林にそっと見守られるかのように、小さなお屋敷がたっていました。 そのお屋敷には、屋敷の主人と一組の夫婦が住んでいます。屋敷の主人を助けてくれるものが数人おりましたが、屋敷の主人がほとんどひとりで切り盛りしていました。 毎朝屋敷の隅々までチェックして、家が傷んでいないか確かめます。 屋敷の修理や補強は手伝いを頼みますが、采配をふるうのは屋敷の主人でした。 「僕の大切なパートナーさ」 若くして最愛の妻を亡くした主人は笑います。 それから外にでて、庭をまわり、作物や木戸や玄関のまわりも自分の目で確かめます。 家の見回りが終わったところで、その日咲いた庭の花をつみとります。 朝露にぬれて、咲いたばかりの花びらが優しく微笑みます。 「ありがとう」 咲いたばかりの花をつみとることに、目を細めて微笑みながらお礼を言います。 朝露に陽の光がはじいて、きらりと光ります。 海から吹く潮風に、花びらが揺れて、いいのよと屋敷の主人にこたえてくれているようでした。 つんだ花を大切そうに、腕に抱いて庭の片隅へと向かいます。 穏やかなひだまりのなかで、墓石がひとつひっそりとたっていました。 つづく はじまりの番外編です。 楽しんでもらえたら、嬉しいです(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.08 09:28:12
[【物語】はじまり:はじまりのひと(番外編)] カテゴリの最新記事
|