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カテゴリ:【物語】祈りの人:癒し人
祈りの人:癒し人 3
~挨拶~ 礼拝堂をでて、リィと信は食堂に向かいます。 渡り廊下を渡って、外の景色を眺めると、広い薬草園が 広がっているのが見えました。 鮮やかな緑と、さんさんと降りそそぐ朝日を浴びて、 リィは思わず笑顔になります。 「和食と洋食選べるよ」 食堂に入ると、配膳の手伝いをしている男性にお盆を 渡されました。 他にもリィと同じように、お盆を持っている人が並んで 立っています。 「セルフサービスなんだ、好きなものを取ってね」 とはいっても、ここにないものは出せないけど、と 冗談の好きな男性らしく、楽しそうに笑います。 リィは、少し迷ってから和食を選ぶことにしました。 「洋食じゃなくていいんですか?」 同じように、和食を選んだ信が、リィに聞きます。 「普段、洋食だから」 たまには、違うものを食べてみようと思ったのと、 三角型のおにぎりがのっているお皿を選びます。 くるりと黒い海苔をはったものと、じゃこと梅干を混ぜ込んだ、 薄紅の色をしたおにぎりでした。 「日によって、具も違うんですよ」 信に説明してもらいながら、食堂の片隅にあるテーブルに 歩いていきました。 ほかほかと白い湯気がたちのぼるお味噌汁には、 ネギと白い豆腐がぽっかり浮かんでいます。 席についてから食べようとすると、信が手を合わせて 小さく呟きました。 「いただきます」 「え…?いた…だ…?」 きょとんとしているリィに、信は照れたように笑います。 「食事をする前の言葉です」 自分の住んでる国では、感謝の気持ちを捧げてから、 食事をするのが習慣だからと言いました。 これは、自分のところの風習なので、あまり気にしないで ほしいという信に、リィは小さく笑って、信と同じように 手を合わせました。 「いただきます」 食堂の片隅に、陽の光が差し込みます。 さわさわと流れる風の音に耳をすませながら、朝食をとりました。 つづく *********************** じゃこは、ちりめんじゃこのことです。 ちりめんじゃこは、しらす干しです。 もう一つのおにぎりは、ご想像にお任せします(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.06.15 08:45:05
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