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天鳥そら

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ジゼル@ きれー 光と影と緑のコントラストがきれい(^^)
2012.06.20
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祈りの人:癒し人 8


 ~家族~


リィと信は、仕事を通してとても仲良くなりました。
信のさりげない優しさと、リィの素直さが二人の距離を
近づけたようです。
リィ自身、最初は休むことが多く、仕事らしいことは何も
できませんでしたが、信の言葉を素直に受け入れてきました。
そのおかげか、今ではすっかり薬草園で動き回ることが
できるようになりました。

「リィさんは、何か欲しいものありますか?」

いつものように、二人で仲良く作業をしていると、
信が問いかけました。
もうすぐ、リィの誕生日でしたので、何かプレゼントを
したいと考えたのです。

「そうね、家族かしら」

「か、家族?」

リィは、信の言葉の意図をまるで理解していませんでした。
夢や希望のような気持ちから、するりと言葉が飛び出したのです。
ぽかんとしている信に、慌てて弁解します。

「私、孤児だから」

リィは、幼い頃から、家族というものを知らずに育ちました。
願っても手に入らないとはわかっていても、家族で仲良く笑っている
風景を羨望のまなざしで、眺めていたものです。

「そ、そうね、今、欲しいものっていったら、タオルかしら」

肌触りのいい、タオルやシーツ、衣類のようなものが欲しいと
慌てて言い直しました。
この時も、リィは信が、なぜ突然ほしいものを聞いたのか、
さっぱりわかっていませんでした。




その夜のこと、リィは自分の部屋のベッドの中で、
信との会話を思い出していました。
信は、リィの突拍子もない発言に、驚いてはいたものの、
あまり深く突っ込んで聞かなかったので、ほっとしました。

「なんで、あんなことを言ってしまったのかしら」

疑問に思いながらも、ふと、信と二人で暮らせたら、
どんなに幸せだろうかと胸の奥からあたたかい気持ちが
わきおこりました。

しかし、リィはすぐに頭を振って打ち消します。

「無理よ、私は孤児だもの」

いつもの口癖を繰り返して、リィはぐっすりと
眠り込んでしまいました。


つづく






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Last updated  2012.06.20 08:22:57
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