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カテゴリ:【物語】祈りの人:癒し人
祈りの人:癒し人 12 ~教会~ お地蔵様に手を合わせた後、リィと信は笑いながら軽やかに、 坂を上りきり、 教会の前の広場に出ました。 白樺の林が教会をぐるりと囲み、ところどころに白い柵と 色とりどりの小さな花を素焼きのレンガで囲った花壇がありました。 広場の真ん中には、レンガとタイルで不思議な模様が描かれています。 白いタイルがぐるりと円を描き、真ん中には人魚が星を 見上げ、歌っている絵柄となっていました。 桃色の尾に、ウェーブがかった青い髪、夢見るような瞳と その視線の先には、大きな船が描かれています。 この島には、こういった不思議で、御伽噺の一片を かたどったモニュメントや彫像が、数多く残されています。 「綺麗ですね」 信は、人魚の模様を眺めて、それから古い教会をじっと 眺めました。 白い鳩が数羽、教会の屋根にとまり、リィと信を興味深げに 眺めています。 「それでね、信さん、こっちの道の先にはカフェがあるのよ」 信が自分の故郷に来てくれたことが嬉しく、信の腕をひいて、 案内しようとします。 リィの嬉しそうな顔を見ながら、信は穏やかに微笑みました。 「その前に、教会に行きませんか?」 「信さん?」 リィの瞳をじっと眺める信を、きょとんとした顔で眺めます。 信は、リィの左手を取ってそっと口付けました。 「渡したいものがあるんです」 リィの左手の薬指には、まだ何もはめられていません。 リィは、信の言わんとしていることを悟って、さっと顔を赤らめます。 小さくうなづいたリィと手をつなぎ、二人は教会へと歩いていきました。 おわり **************************** ご愛読ありがとうございました(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.06.24 08:55:43
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