素浪人ブログ

　11月3日文化の日。何となく文化的な気分が芽生える日。爽やかな晩秋の日。そんな日に相応しくないが、テレビの面白いニュースに思わず笑った。面白いといえば面白く、呆れるといえば呆れる大阪の橋下知事のニュースでもなく、吉本のお笑いのニュースでもない。

　

　テレビニュースの映像に思わず笑ってしまう。映像は大阪市職員の川の清掃作業風景だ。作業船の上で仁王立ちになっての清掃作業は、作業の厳しさよりは、楽しさが感じられる。川を綺麗にするという奉仕的な信念を感じられる川の清掃風景の後は、川から上がったゴミの選別風景のようだが、実は戦利品の選別であり、金目の選別であり、現金収集のための選別であった。集まった金は、後の皆で分配するという解説がなければ、作業員の独り占めかと思うだろう。



　役得という言葉がある。個人的には役得を感じた仕事の経験がある。例えば、サービス業のチップも役得の一つで、タクシーのチップが直ぐ浮かぶ。アルバイトでキャバレーやクラブなど働いた時は、チップを皆で集めて、均等に再分配するところもあった。生肉店で働いた友達は、一週間に一度、1キロの肉が与えられる役得があり、仲間がその恩恵に感謝した。自動車会社の社員への特別割引制度などの話も聞いたし、その他の企業でも社員割引制度があり、役得の一つだろうと考える。



　大阪市職員の作業中の収集品からの現金収集や金目のもの分別などは、一般的な役得の範疇に入ってもいいのではと個人的には思うのだが、でも、カードや、免許証などを捨てるようでは、やはり問題だ。カードや免許証など、落とした人にとっては大事なものだが、落とした人は何らかの処置をしていると、単純に考えることも出来る。それでも、やはり、他人の個人情報の詰まった品々を次々と捨てるような風景を見ると、役得などの言葉も吹き飛ぶ。

　


　たまたま、映像になった職員に罪の意識もなく、長い慣習の当然の行為として悪びれた様子もなかった。そんな映像がテレビに流れるとは夢にも思わないから、堂々とした、現金収集と金目の物の選別風景だった。




　役得だと、現金だけなら、役得だと思いたい。川底からの収集品の中から見つけた現金と、泥だらけのかばんを開けて苦労して見つけた現金だと思いたい。かばんを開けて調べるのが作業が意の行為でも、その中から見つけた現金は、役得でもいいと思うが、でも、市職員なら、問題があるのか。面白いといえば面白い風景で、川を掃除する行政の取り組みの一つがわかるニュースでもあった。




　水に流すという便利な言葉がある。私たちは何でも水に流して綺麗になると考える。小さな品々から、果ては精神模様まで水に流す。悲しみも憎しみも、喧嘩の原因も、男女の愛や恋の物語も水に流す。そんな形のないものが拾われる心配はないが、拾って欲しい思いも捨てられているだろうと、関係ない方に行くのを堰き止めて元の話に戻すと、川には様々なものが投げ入れられ、落とされている。汚い川を掃除して綺麗な流れにする作業員に感謝し、敬意を表したい市民は多いだろう。そんな市民の感謝の気持ちも吹っ飛ぶ映像であった。




　何度も言うが、役得でもいいと思う。でも、個人情報の詰まったもの、免許証とかカードなどは、一応は本人に返すのが当然だ。市職員の清掃作業員に役得があってもいいと思うが、捨ててならないのもがあることを肝に銘じて欲しい。



　ＮＮＮの映像は、ある種の衝撃であった。衝撃ではなったが、作業員を責める気持ちにはならない。役得、習慣と思う。一般的な拾物とは違うと思う。でも、免許証やカードをポンポンと捨てるのは駄目だ。