素浪人ブログ

　三重県の過疎地熊野市から、和歌山県の過疎地に東牟婁郡に引っ越した。過疎地から過疎地
への引越しに関係ないが、過疎化という意味で、財政破綻の夕張市が身近に感じる。そんな夕張市の市長選異変のニュースと前置きだ。


炭鉱の町夕張は炭鉱閉鎖以後は、夕張メロンのブランド名として、又、財政破綻市として名を馳せた。古い映画ファンには、高倉健主演の｢幸せの黄色いハンカチ｣を思い出す夕張市だ。奇しくも｢幸せの黄色いハンカチ｣が、昨日テレビ放映されていた。高倉健と武田鉄也に桃井かおりが乗る車から観える風景が映し出される。廃坑の町の寂れ行く風景には、人生の終末的哀愁がある。表現を変えると、人生の生き写しの風景がある。過って、この町で犇めき合った鉱夫の汗の臭いや、鉱夫を支える家族の語らいや、鉱夫目当ての酒場の臭いや、そして、夜の女たちの化粧の臭いや、吐息さえも塗り込められている風景がある。


　その夕張が財政破綻都市となって２度目の市長選は１７日告示で２４日投開票だと言う。２度目の市長選に異変が起きているようだ。最初の市長選は寂しさが滲み出るような選挙であったと記憶するが、２度目の市長選の今回は東京と直結した政治的色彩の強い選挙になりそうだ。東京直結の選挙を象徴するのが石原慎太郎東京都知事の選挙応援だという。東京都職員の派遣は知られるところだが、30才の元東京都職員が立候補するとかで、猪瀬さんも、当然、応援に駆けつけ、そして、石原都知事も応援というから、東京都夕張市的な選挙である。


　そして、異変は他にもあった。46才の前衆院議員陣営には、何と、あの小泉純一郎元首相が応援かと驚いたが、そうではなく、「小泉チルドレン」と呼ばれた国会議員の象徴的な二人、片山さつき、佐藤ゆかり議員が応援に駆けつけるという。前衆議院議員の陣営には、他にも、知名度の高い国会議員が、応援のため夕張入りとかで、夕張の風景が違うものになりそうだ。人生の終末さえ感じた｢幸せの黄色いハンカチ｣の、哀愁に漂う風景からは想像できない風景となりそうだ。


　炭住とも思える家に上げられた黄色いハンカチがを見る高倉健の表情は変わらない。変わらない表情の中に思いが滲み出る。表現を変えると無表情の中に男の哀愁を表現する。無表情が表現する男の思いが伝わる。高倉健の魅力だ。喜びを心に押し込めて動かない無表情の男高倉健の背中を押すのは、若い桃井かおりと武田鉄也だ。


　そんな夕張の町にもう一度｢幸せの黄色いハンカチ｣上がりそうな気もする。東京と直結する夕張が、無表情な男の思いを受け止める町になって欲しいと思う。活気付く夕張の町から、廃坑の町の哀愁が消える時が来たような気もする。でも、東京直結した夕張は想像できない｢幸せの黄色いハンカチ｣ファンである。