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カテゴリ:風の詩
 三重県から熊野川を渡り、和歌山県に引っ越した。県を跨いでの引越しで、如何にも遠く離れた土地への引越しのようだが、紀南地方内の、過疎地から加須地への引越しだ。引越しは3月28日だった。


 窓から見える海、小さな島、島の上に朝日が顔を見せ始める。小さな島を茜が包み込む。丸い輪郭が見え始める朝の風景。刻一刻と、変わる朝の風景から茜色が消えると、一日が始った感じで、何処からとも無く人の声が聞こえ、車のエンジン音が聞こえてくる。そして、ヒュールル、ヒュールと、小鳥の囀り聴こえる海辺の町に越してきてから一週間が過ぎた。元の住まいは山間部の川辺の高台であったから、風景がまるっきり違う。窓を開ける山があり、眼下には川があり、川縁には桜並木があった。桜の時期の今頃は、川は桜の川に変わる。そんな窓からの風景が、海と朝日が見える風景になった。


 3月11日の東北沖地震の発生の頃から始まった引越しの準備だった。あれからの日々は、日本にとっては、未曾有の天災への戦いの日々であった。毎日更新される被害者の数、津波の映像、そして、町全体が消える信じ難い光景を見せられ、自然の脅威、巨大地震と大津波の無残さ凄惨さを見せられ、挙句の果ては、原発事故だ。


 被災地の映像を見ながらの引越し準備であった。毎日放射線の健康被害に影響ないと言う洗脳的な言葉を聞かされながらの引越し準備であった。そして、3月28日に引越した。それからは、引越し後の新たな生活への準備で、何となく過ぎる日々だった。山間部の川縁の高台から、海岸部の標高3メートルの町への引越しは、東日本大震災発生時の大津波の映像を見た後だけに、何となく、不安も感じながら引越しになるはずだが、そんな不安は微塵も無い。東南海地震が予想される地方だが、地震も津波も何時かは起きるかも知れないが、今すぐとは、誰も思わない。それが、私たち一般人の考えだ。


 巨大地震も大津波も否定はしないが今ではなく、自分たちと無縁のものと思いたい。でも、中には必死に防災に取り組んできた人もいた。そのおかげで何十人もの命が助かった。
他の人から見ると変り者の、偏屈な独りよがりの、道楽的な事に過ぎない防災への取り組みが、多くの人の命を救ったニュースもあった。でも、そんな人は特別で、一般人の防災意識は、災害の後の一時的なものである。防災意識などの緊張感のともなうような意識が、日々の生活で続くわけはない。もし、仮の日常的な防災対策があったにしても、人知をはるかに超えた災害は、そんな備えの有効性さえ嘲笑うかのようだと、窓に海の広がる新しい住まいで考える。何時かは窓に津波が迫ることがあるかも知れないが、そんな何時かのことを考えて、津波に備えるなどは不可能だと、窓に広がる静かな海を見ながら思う。

 
 マグニチュード9.0の巨大地震と大津波の被災地の復興は始っても、あの惨劇の状況を見ると、復旧復興の言葉も霞む。阪神淡路大震災の記憶には、復興不可能の思いが先ずあった。でも、復興した。町は復興したが、犠牲者は帰らず、被災者の心に復興はない。あるのは、忘れて生きる意志だ。忘れて生きる。幸いにも生き残った。幸運にも生き残った。生き残った幸運を心に刻み付けて生きる。復興ではない。心に復興など無い。忘れて生きる。必死に生きて忘れる。それしかないと、窓に広がる海を見つめて、被災者の心を考える。そして、警察官の「山間部へ向かえ」の必死の誘導で助かった、若い女性の会見を思いだす。


 仙台若林地区海岸部の県道を保育園へ子供と迎えに行くため走っていた女性の車は、内陸部に避難するように誘導された。子供を迎えに行く女性が抵抗しても警察官の必死の誘導に従う他なかった。そして、山間部に向かって走った何分か後に、背後に迫った津波を感じ、車から降り、高い場所の道路に逃げて助かった。子供も助かり、自らも助かった26才の女性はテレビ報道で警察官の死を知った。命を助けられた警察官への感謝のための記者会見だ。その霊前に花を手向け記者会見だ。今生きているのは警察官の必死の誘導と記者会見だった。様々な奇跡と、様々な偶然がつくる被災地の命が関わるドラマ。私たちの力の及ばない、想像もつかない、力の不思議を新たに感じる。



 





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最終更新日  2011.04.06 07:51:49
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