わからないけど、確かなこと
隣県でシュタイナーの12感覚論の講座があると知ったのは、クリスマス前のこと。うわー行きたいぞーと思ったけれど、隣県。距離にして120キロほど先。電車で行くと、片道4000円近く。ううううう。心動かされつつも、思い切れないでいた。ところがどっこい、クリスマスに出かけた先で、またこの講座のチラシに出会った。それも、ちょいと意外な場所で。そして日ごとに、ああ、気になる。行きたいよー、行きたいよー、行きたいよー。調べてみると、高速道路もETCを上手に使えばあまり高くない。そのETCをつけるのにお金がかかるんだけど、自治体の助成もあるし、ETCは条件次第で割引がきくから自己負担分も4,5回往復すればチャラになる計算。いや、今回の講座は1度だけだけど、また次があるかも、だし、なんてったって定期的にオイリュトミーがあるんだよう。オイリュトミーしたくてしたくてたまらないから、いざとなったらここまで通うぞ、とは前から言ってたのだ。悩みに悩みに悩んだ挙句、結局行くことにした。でももひとつ悩みの種、講座は9時から受付の10時開始。日曜日なんだよなぁ。幸いなことに近くに教会があるんだけれど、ここのごミサは朝の9時から。日曜日のミサはどこの教会でも1時間くらいはかかるはず。教会から会場までは車なら5分か10分。惜しいところで間に合わない。悩んだ挙句神父様に相談したら、場合によっては聖体拝領後に抜け出すのも致し方ないですかね、というお返事で、あ、やっぱり行かなきゃダメですか、なんて頭こりこりかいてしまった。……まあそりゃ、神父様が日曜日にごミササボっていいですよとは、おっしゃいませんわなぁ、当然ながら^^;講座の窓口のかたに相談したら、遅れても入っていいですよとのお返事。そうはいってもご迷惑だし、私だって遅れた分お話聴き損ねるのは大変うれしくない。まして、とっかかり部分だもの。だから、お行儀悪いけれど聖体拝領後抜け出し大作戦に出ることにした。とはいえなにやら冬の嵐が吹き荒れていて、さて、行けるかな?私は高速道路走ったことないんだけどなぁ。そんなこと考えつつ布団にもぐったけれど、風の音はずいぶん大きいし多分緊張して気が立ってるんだろう、眠れやしない。何度も目を覚ましているうちに、朝の6時になってしまった。うううー、普段でもこんな時間に起きないよー。眠いよー。でも起きないと、行けないよー。ネットで調べてみたけれど、高速はどうやら走行可能なもよう(便利な世の中だ)。強風で速度規制はされてるようだけれど、雪の類はないみたい。よし、ゴーサイン。今日はまだETCは取り付けてないから、高速を使うのは最小限。ということで、1時間少々走った先で乗ることにした。このあたりまでなら、いつぞや来たことがあったのだ。この先は未知の領域。出発が予定より20分近く後ろへずれてしまったのだけれど(またやってる)、朝早いおかげで道はガラガラ、順調に走って1時間で高速へ。やっぱり速度規制は解除されてないけれど、初めての私にはそれくらいのほうがラッキーだったかもしれない。風自体はほぼ追い風で、ハンドルをとられるというほどのこともなかった。たまにゆれたけど、まあ一般道と同レベル。二車線だし、やっぱり車も少ないしで、おお、無事無事。走れる走れる。……なんていいつつ、笑ってしまった。いや、高速入ってからというもの、首がちがち、歯カタカタ。私自身はそう緊張してないつもりなのだけれど、実はすごーく怖いのだと体が思いきり主張している。そうかいそうかい、まあ初めてだからねぇ、と人事みたいに苦笑しながらぶいぶい。しっかり追い越しもかけたりして^^;県境を越えるころには震えもおさまり、ちゃんとジャンクションで乗り換え(?)もして、無事に目的のインターで降りた。そこから教会までの道筋はネットの地図で調べておいたけれど、しょっぱなから違う道へ行ってしまう(^^;)でもまあ、慌てず騒がず、だいたいこっちだろうと目星をつけて走ったらちゃんと到着。めでたし。ちなみに教会に着いたのはミサの始まる5分前^^;125キロ先の、初めて行く目的地だってぇのに、よくもこうかっちりに行けるもんだ^^;入って目をぱちくり、わー、きれいな教会だな。まだ新しいみたい。きれいでない教会を見たことがあるかというと否だけれども、なんだか本当に、場所によっていろいろだ。設計なさったかたや信者さんたちの、どんな思いが込められているんだろうとしみじみ。さて、聖体拝領後にこそこそ抜け出てみたら、あちゃー、駐車場ぎっしり。出ようと思うと都合3台車を飛び越えなきゃいけない状況。車の主はというと、当然ながらお聖堂の中。出てきて動かしてくださいとは、言えないよなぁ、これまた当然ながら。やれやれ、そーですか、最後までいなさい、と。苦笑交じりにお聖堂へ戻る。お聖堂の扉を開けたら、ちょうど神父様がお顔を上げてらして、ばっちり目が合ってしまった。いやーん。首をすくめてちょっぴりぺこり、ちょっとお手洗いにいってましたという顔して席に戻った。(^^;)でもやっぱり、ご聖体をいただいた後は静かにお祈りしたいし、ごミサの終わる前、神父様が、救い主のご降誕を告げ知らせた星のようにわたしたちも、と言ってくださって、ちょっと特別な祝福をしてくださった。やっぱりこっちが正解だったわねーと思いつつ、ごミサが終わったらやっぱりダッシュ^^;ちなみに聖体拝領後抜け出した時点で10時だったので、どのみち遅刻は確定。肚括って、慌てず走る。これも幸い、そう入り組んでいない道だったので、無事到着。もひとつ幸い、入り口にいちばん近い駐車スペースがぽつんとあいていて、ありがとうございますー、とそこへ車を預けてダッシュ。こそーっと扉を開けてみると、前置きのお話が終わって参加者の自己紹介が始まるところだった。かろうじて許容範囲の遅刻だったもよう。知っている顔もいくつかあって、ちょっと安心しながら空いた席へ。お題はシュタイナーの12感覚論、講師の先生はシュタイナー幼児教育の大ベテランのお方だそうで。知っているお方はご存知だろうけれども、シュタイナーの教育者のかたはなんとなく、独特の雰囲気をまとっていらっしゃる。もちろんいろいろ個性はあるけど(というほどたくさん存じ上げてもいないけど^^;)おだやかで、あたたかで、開かれていて、でも芯が1本、ぴしっと通っていて。一見して、ああ、この方もそうなんだな、というのがわかる感じ。すごいなー。12感覚って何じゃらほい、という、問題以前の問題がいまいちよくわかってないのだけれども、えーっと、つまりこれ、五感の拡張版…というのだろうか、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚以外に7つ、感覚がある…という話で、その……(だああああ。まだ私がよくわかってないので、説明できませんー)まあとりあえず、今回の話の内容は、幼児教育系のアプローチと思われる。内容をここに書けるほど私の中で整理がついてないんだけれども、とってもおもしろくて、興味深くて、それからなんだかうれしかった。最後のほうになるとお疲れ頭痛がしてたんだけど(頭使いすぎると痛くなる奴^^;)、それでも、もっともっと聴いていたかったくらい。不思議なのだ。先生のお声は決して大きくない。むしろささやくような感じの、穏やかで静かな声。でも、ちゃんと後ろの端っこまで聞こえる。大きな部屋じゃないんだけど、それでも40人やそこらはいたはずなんだけど。歌の講座のときも同じことを感じるんだけれども、決して大きな声じゃないのに、近くにいても離れていても、耳元でささやいてくださっているような感じがする。これ1つ取っても、すっごくすっごく不思議だ。シュタイナーのことを、よく知っているわけじゃない。ご本人の著作なんて、1ページ読まないうちに脳みそが寝付くことが多いし。ただ、とにかく、この上なくあったかくてやさしい。自分の存在をまるごと受け入れてもらっているという安心感がある。それから、信じて大切にしてもらっている、という感じがする。それは、とても元気のもとになる。叱られるからとか良心が責めるからとか、つまり何らかの力に強いられてではなく、自分の中から元気がわいてきて、明るいほうへ、たいせつにするほうへ、ともにあるほうへ、進みたくなる。そんな感じ。向かい合っている方が大切にしてくださっている、私の中の尊いもの(すべての人と同じように私のうちにもあるもの)が、強くなって動き出す、といえばいいんだろうか。人生の基となる幼い時期を、こんな雰囲気の中で過ごせる子どもたちはどんなに幸せだろう。あああああ。できることなら子どもに戻って私も行きたいーーー(をい^^;)実際に子どもにできる、ちょっとした手遊び(というのかどうか)を教えていただいた。やさしくやさしく、頭からほっぺをなでたり、ほっぺやお鼻の先をちょんちょんと触ったり。だから本来の対象はちっちゃい子どもなんだけれども、このやたらででかい子どもも、ほっぺ触ってもらって、すっごくうれしかった。説明を聞きながら思い出した、以前とある神父様に『どうしたの、元気出してくださいよー』ってほっぺたぽんぽんしてもらって、びっくりしたけど、えらくうれしかったことがある。(視覚的にはかなーりすごい情景だったのじゃ、と思ってしまうけれども^^;)もちろん、ほっぺたなんて、この歳になってれば誰にでもは触られたくないけれど、でもなんだか本当に、とってもうれしくて元気になるのだ。不思議。なぁんて、シュタイナー教育、してもらう側はこの上なく幸せなんだけれども、する側は(特にプロとしての場合は)、すごーく修行が必要だよなーと思う。苦になってるかどうかは謎…というより苦にしてたらできないだろうけど、これも聖職だなと思う。とかとか、でもでも、私もあんなふうになりたいなー、なんて思ってしまう。すごいなー、あんなふうに、なれるといいなー、と。ちなみに、帰り道は最初から最後まで一般道。1時間余分にかかった。本当は途中から高速に上がるつもりだったけれど、どうしようかなと思いつつ県境を越えてしまったので、結局最後まで地べたを走った。そうはいってもかなり番号の若い国道で、場所によっては高速と変わらないくらい立派な道だったりする。さて、信号で時々止まるのと高速で走るのと、ガソリンどっちが使うかしら、と首を傾げつつ。ほんとは、1人のときは特に、車では動きたくない。CO2の排出量、公共交通機関のざっと10倍らしいから。まして高速だもんなー。でも、電車で通うんだったら、お財布様は絶対NOという。なかなかに、苦しい選択なんだけど。普段いろいろえらそうな口たたいといてこれだよなーと思いつつも、結局車に運んでもらった。何とかいい方法ないかなー。へろへろに疲れたけれど、とてもありがたい1日だったな。先生や、こんな機会を設けてくださった方々に、とっても感謝なのだ。またこんな機会があるといいなーと、切に願っておりますとさ。