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ベトナム見聞録

ベトナム見聞録

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2005年06月03日
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カテゴリ:ベトナム旅雑記
 まずはフエまでバスで向かう。バスターミナルにはフエ方面行きのバスがいくつか停まっている。どのバスにも乗客がすでにちらほら乗っていて、どれが最初に出るのかわからない。ええい、一番乗客の多いバスに乗っておけば間違いはなかろう。他のバスの強引な客引きを振り払い、乗り込む。

 ベトナムのローカルバスの座席は狭い。特に前後の幅が狭い。私はベトナムでは大柄な部類に入るので、うかつに窓際に座り閉じ込められると辛いことになる。足を斜めに伸ばせるように通路側を確保する。

 座席が埋まり、通路のスペースも徐々に埋まりだす。通路といっても立つわけではなく、どこからか出してきた銭湯の腰掛風イスに座る。足の踏み場がもうないぐらいに混雑している中を、売り子が強引に割り込みながらさまざまなものを売る。パン、ビニール袋に入れたジュース、とうもろこし、果物、ゆで卵、たばこ、ガム、宝くじ、サングラス・・・。乗客は各々食料をひろげ、ゴミを床に散らかしながら食べる。 エンジンがかかった。ようやく出発だ。売り子はあわててバスから降りる。

 乗客のすべてがフエまで行くわけではなく、途中で降りる人もいれば、途中で乗る人もいる。ベトナムにバスターミナルはあるが、バス停はない。降りたいときは降りたい場所で降りると叫び、乗りたいときは乗りたい場所で手を上げてバスを止めればいい。

 街を抜け、田舎の道に差し掛かったころに、ひとりのおじさんが前に進み出て、大きな声で演説をはじめる。手に何かを持っていて、その品をしきりとアピールしている。最初は何を言っているのかよく解らなかったが、次第に飲み込めてきた。おじさんは手に持っている怪しげな小さい物体を乗客に売りつけようとしているのだ。といっても、おじさんも乗客なのだが。

 おじさんは長い前口上を中断し、通路に腰掛けている人々を掻き分けながら乗客全員に商品を配りだした。いや、配るというより無理やり手に押し付けていった。私の手元にも来た。それは干した一対のタツノオトシゴだった。

 おじさんは再び前に戻り、仕上げの口上をのたまう。

 「高級なタツノオトシゴだよ。オスメス一対のタツノオトシゴ。焼酎に漬けてごらん、おそろしいほど精が付くから。どこでも買えるモノじゃないよ。それもたったの6万ドン。さあ買った買った。買う人は手を挙げて!」

 だれが買うねん。6万ドンといったら400円ちょい。日本の物価で例えると、5千円札を一枚出すぐらいの覚悟がいるのだ。おいそれとポンと出せる額ではない。そもそも安くとも干したタツノオトシゴなんて欲しいか?要らないね。売れないよ、売れるわけがない。寂しくうなだれるおじさん、となるはずが・・・

 「ムア!!(買う)」

 えっ!?

 なんとけっこうな数の人が手を挙げてムア宣言を高らかに表明しているではないか。私の小賢しい常識、通じず。おじさんは当然といった面で買う人からは代金を、買わぬ人からはオトシゴを回収してまわる。やるなあ、おじさん。

 まだフエにつかない。中部高原はまだまだ遠い。バス旅はつづくのだ。





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最終更新日  2005年06月04日 04時03分49秒
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