埋もれ火のアンソロジー

ブラジャー

ぼくのブラジャーエピソードはいくつもある。

最初の出会いは小学生。

おふくろと買い物に伊万里にいったとき

目の前に白い帽子がぶらさがっていたのでかぶった。

すると同じ白い帽子が目の前にあるわけだ。

神童コックンは母親に鋭く質問した。

コックン「なんで帽子がふたつ、つなっがっとると？」

おふくろ「バカ！」

といって俺の頭から白い帽子をはずして

バシッ！と叩かれた！

コックン「なんで叩くと？」

おふくろ「バカ！」

さっさと店を出て行ってしまうおふくろ。



あの白い体操帽子がつながってたものが

ブラジャーだとわかるまでに何年の歳月を要したことだろう・・・



中学２年のとき。

彼女「ねえ、ねえ、いいこと教えようか？」

おれ「なんや～？」

彼女「明日からブラジャーつけてくるけん」

おれ「ブラジャーって何や？」

彼女「知らんと？」

おれ「知らん」

彼女によってブラジャーが何たるものか

女性にとっていかに大事なものかを

懇々と説明されたコックンであった。



中学２年の音楽の時間。

Ｍ先生「今日は鑑賞です」

みんな「うええ～～～～～～～」

音楽の教科書は丸めて戦う武器であり

女子を叩いて遊ぶ道具だったから

すでにボロボロになっていた・・・

退屈な鑑賞の時間になると

女子の後ろに座った。

で、

ここから先を書くと、

コックンは変態！なの！異常性欲者なの！と

誤解されては困るから断っておくけど！！！！！

中学２年生のぼくはブラジャーに対して

偏見差別がないというか、

ブラジャーが性的対象ではまだなりえてなかったのだ。


それを踏まえて事実を書くことにするが

鑑賞に熱中してるふりをしてる女子の後ろにいって

ブラジャーの留め金（ホック）をはずして遊んだのだ。

女子は、「やめてよ～」と嫌がったが

ぼくの指先はその後を暗示するかの如く

４,５人の女子のブラの留め金をはずしたのだ。

名前もおぼえてるが書かない。

同窓会でまたなんて言われるかわからないから・・・



Ｔが俺に堂々と言った。

「はずしたら私達その後が大変なのよ。

トイレにいって制服をぬいで

一回一回とめなおさなくちゃいけんとやけんね！」

怒ったＴは今も昔も堂々と男どもに立ち向かう勇敢な女だった。

（ちなみに今もともだちだ・・・）



Ｔの勇敢なる訴えを受け止め切れなかった俺は

ついにＭ先生に職員室に呼ばれて

ブラジャーの重要性と

女子にとっては必要不可欠なものであることを

懇々と説明注意され、

他の教員にも哂われる様であった・・・



まだ話はつづく。

女どもはＭ先生に訴えたと同時に

俺の彼女にも訴えていたのである。

彼女の方がＭ先生の１００倍怖かった・・・

近づいてきて

目をじっと見て

バシッ！

右のっほっぺたを思い切り張られた！

それから１週間は口をきいてもらえなかった。



エピソードはまだるが

これは身近な歴史シリーズなので本題にはいる。

歴史

女性の胸部を覆うブラジャーのような下着は

古代ギリシャにおいても、

ミノア文明時のクレタ島やスパルタで

着用されていたことが知られており、

ゾナと呼ばれる一枚布の下着であった。

中国・内モンゴル自治区で、

2004年に遼代の墳墓から、

精巧な刺繍が施され、

現代のブラジャーと酷似した形態で

ベルトに相当する部分とストラップに相当する部分のある、

女性が胸部に着用した絹製の下着が発見された。

ここまでは遠い遠い歴史だと思って読みましょう。




現在のブラジャーの原型は、

フランスで

1889年に

エルミニー・カドル（Herminie Cadolle）が

最初のものを発明し、

さらに現在の形に近いものが

1913年2月12日に

アメリカ合衆国で

メアリー・フェルプス・ジェイコブ（Mary Phelps Jacob）によって

発明、特許をとった。


戦中・戦後期において、

専業主婦による裁縫技術の普及していた日本では

自家製されることも多かった。


日本でのブラジャーの事始めは

1951年にさかのぼり、

ワコールがフロントホックタイプのものが

国内にて出回るようになったのは

1975年のこととなっている。


蛇足であるが

ぼくはフロントホックブラジャーに感動して

大学を卒業する際

ワコールに就職してブラジャー開発に従事したいという

趣味と実益を兼ねた人生計画を立てて

履歴書を送ったのだが

履歴書審査で落とされてしまった。

ワコールさん、惜しい人物を３３年前に

貴社は獲得しそこなったのです！


ワコール感じるブラ