今日の充填治療59(隣接面CRの作り方)
20代男性、左上4、遠心隣接面カリエス、外傷性のカリエス他院で神経を取って被せるしかないと言われたとか。この神経を取って被せるというのが歯科業界のビジネスモデルとなって久しい。100年以上はやっていると思う。僕も駆け出しの頃、先輩歯科医師に神経を取って型取りができるようになれば、この業界で食べていけるという指導を受けた。このビジネスモデルから抜け出すのは経済的にはもちろん心理的にも非常にハードルが高い。しかも技術的にも難しい、チェアタイムも長いとなるとやってみようと思う歯科医師は少ない。僕でも小1時間かかる。首都圏ではCR充填を趣味にしている歯科医師もいるようだが治療費も安くはない。10年前で@65,000円〜が相場だった。少なくとも虫歯は細菌感染症なのでCR充填にもラバーダムが必要だと考えている歯科医師にはできないだろう。クランプで歯質を壊してしまうか、治療の邪魔になるだけだ。僕が使用している材料器具はここのfreepage listに挙げている。ニューアパタイトライナー2はディスコンになってしまったが、主成分のα-TCPは入手可能だ。ググればトップに出てくる。液は50%クエン酸水で硬化する。必要な情報は全て公開している。探してみてほしい。この手技を手取り足取り指導することは横で見学しても僕の頭が邪魔で見えないので困難なのだが、ここの画像を見ると、少なくともできるんだ。ということは分かるはずだ。切削バーを当てると天井にポンと穴が開く当然深いCR充填直前、内部はスカスカだ。3MIX+α-TCPがみえる薄く残ったエナメル質を壊さずに接着マージン付近だけは1mm幅で新鮮歯質を確保しなければならない。漏洩は即失敗につながる。これを見ても酸で歯が溶けたのではないということが分かると思う。隣接面以外のエナメル質は全く溶けていない。エナメル質と象牙質のイオン化傾向の違いによって起こる異種金属接触腐食、ガルバニック腐食だということが分かるはずだ。酸で溶けるのなら全くエナメル質が溶けないということはない。1次CRが重要で、歯肉側のマージンに過不足なくCRを流さねばならない。1次CR後2次CR後隣接面の調整法はこれもフリーページに惜しみなく公開している咬合性外傷によるクラックから虫歯になった可能性が高い。5番が低位なので4番が強く当たっているのが分かると思う。