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牧内直哉≧仁楽斎の「フリートークは人生の切り売り」

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2009年08月21日
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カテゴリ:映画
『ディア・ドクター』
(8/15~:フォルツァ総曲輪 9/26~:TOHOシネマズファボーレ富山)
公式サイト:http://deardoctor.jp/

これは失礼ながら、映画館の方に本当に言ってしまったことなんですけど、
「フォ○ツァとは思えない大勢のお客さんですね!!」状態でした。

山間の小さな過疎の村から、一人しかいなかった診療所の医師が失踪した。
警察は捜査を始めるが、この医師の素性がよく分からない。
村人たちも実は彼のことをよく知らない。
ただ、彼は村人たちから「神様仏様」以上の存在として崇められていた。

失踪したその医師の名は伊野治。

物語は伊野が村にいたときにさかのぼったり、失踪後に戻ったり…。
時間軸が移動しまくってますが、不思議なくらいに話がややこしくなりません。

伊野が失踪する2ヶ月前、村に研修医の相馬がやってきた。
最初は僻地医療に戸惑う相馬だったが、
腰を落ち着かせて村人を守っている伊野の姿に惹かれていく…。

伊野を鶴瓶師匠が演じていることで、この映画の半分以上は完成しています。
どこがどうハマっているのかなどの説明は不要なハマリ方です。

鳥飼かづ子の病気に関して、伊野はある嘘をつくことになります。
かづ子役の八千草薫さん、いつまでもかわいらしいですハート(手書き)

そしてその嘘が、後に「別の嘘」を明らかにしていくことになります。
実際には、その「別の嘘」の方が物語の根幹といえます。
その「別の嘘」は序盤から雰囲気はあるのですがね。
かづ子の病気がなくても、その嘘は破綻し始めていたような気がします。

嘘はつき続けると「本当」になってしまうことがあります。
伊野の嘘はまさにそうだったようです。そうなると、もう逃げられません。
「あれは嘘でした、すんませんでした」とはとても言えない状況になるのです。

ただ、映画の本質は、その嘘が何であるかということではなく、
その嘘が明らかになったとき、周りの人間がどう感じ、どうしたかにあります。

それと、嘘を最初から知っていた人が何人かいます。
特に看護師の大竹は、ある意味、彼女の方が怖いわショックと思いました。
でも、彼女は彼の嘘を守り通そうとする。何故なんでしょう?
彼女を演じている余貴美子さん、あいかわらず素晴らしい演技と存在感きらきら

あれは嘘だった、騙されていたと知った人の中にも、
伊野を責めない人がたくさんいました。何故なんでしょう?

真実を知らず、自分もこの村で働きたいと言い出す相馬。
それを歓迎しない伊野とのすれ違った会話は見どころの一つであり、
映画が出した答の一つだと思います。

もう一つ印象的だったのは、
伊野を探す刑事と診療所に出入りしていた製薬会社の社員の会話。
このシーンは…、もうこれ以上は書けないなぁ。

松重豊さん演じる刑事の感覚の変化にも、もう一つの答を見い出せます。
ちなみに、同僚刑事は岩松了さん。いつ観ても、僕と雰囲気が似てますあっかんべー

嘘や犯罪は一面的には許されないことだけれど、
その嘘や犯罪で救われている人もいる。でも、それは認められることなのか。
そう思う一方で、客観的な判断は必要だけど、
その嘘をつかれていた当事者がどう思うかも大事なんじゃないのか。

映画の中にも答はあるけど、決してそれが全てじゃないし、
その映画の中の答も、敢えて不完全なまま表現しています。
そして、登場人物たちの真意はどこにあるのか、
彼ら彼女らは今後どうなっていくのか、敢えて描ききらない心地良さ。

西川美和監督は『ゆれる』でも似たようなところがあったなぁ。
人の心なんて、理解できても言葉に出来ない、一言では表現できないものです。

書きたいことや話したいことがたくさん出てくるけど、
こういう場所には書けないことだらけの、僕の好きなタイプの映画でした。





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最終更新日  2009年08月22日 00時39分58秒
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