おかあさん、お疲れさま!
夕暮れ時の大通りの交差点で、青の信号を合図にとっとこ走り出した2歳くらいの男の子。右手で自転車を押しながら、手を振り払いそうな子を左手で懸命につかまえ追いかけているお母さん。「ああ、危ないっ」と遠目にもハラハラするのに、当の若いお母さんは、どれだけの恐怖と焦り、不安で必死だったことでしょう。 通りの向こうから、背広姿の男性が駆け寄り、倒れそうな自転車をサポートしてあげたのが救い・・・惨事にならず、よかった。 元気いっぱいで、聞き分けのない子を育てるのは本当に大変。危険から守るというだけでなく、何かと周囲の目や批判にもさらされ、神経をすり減らしながら子育てされているお母さん、お父さんが少なくありません。 先ほどのサラリーマンのように、迷わず助けの手を差し出すのはなかなか勇気がいりますが、せめて、まなざしや言葉で「おかあさん、がんばっているね~」「大変だね」という温かな雰囲気と励ましを伝えたいものです。 絵本「ザガズー」は、子どもと生きる人生が、いかにびっくり続きで苦労が多く、でも喜びも大きいかを、ユーモラスに描いています。 自分の「分身」であったはずなのに、子どもはまぎれもなく別人格。ときに未確認生物や怪物のように見えることもあります。「いつまで続くんだ!」と思う日も・・・ ときに爆発しつつも「それでも大事な存在」と確認し伝え続けることで、どこかできっとうれしい発見と出会いがあるはず。そう信じて、明日をめざしましょう。 *つらいときには、一人で抱え込まず、相談しましょう。 松山市子ども総合相談センター(萱町、松山市保健所内)など、 子どもを遊ばせながら相談に乗ってくれたり、個別カウンセラーの いるところが各地にあります。無料です *「ザガズー」クエンティン・ブレイク作 谷川俊太郎訳 (好学社)