カテゴリ:新聞歌壇
朝日歌壇 朝日新聞12月13日付より
馬場あき子選 瀬戸内市 児山たつ子 すみませんすみませんといいながら人かきわけて老いてゆくなり 佐世保市 近藤福代 おもしろき言葉ありけり「山笑う」「膝笑う」庭のコスモス笑う * * 山笑う:枯木ばかりだった山に花が咲き揃うさまをいう、言い得て妙なる春の季語。ちなみに、漢字「咲」と「笑」は本来同義。 「膝笑う」は、24時間テレビで120kmマラソンを走りきったイモトアヤコのヒザ状態。 高野公彦選 気仙沼市 畠山登美子 霜消えて大根を干し、柿を干し、白菜を干す 雪虫が飛ぶ 松山市 曽我部澄江 つけくれし廊下の隅の豆球を夜ごとにつけて亡き夫に逢う 永田和宏選 東京都 内藤麻夕子 母だってなりたいだろう孫馬鹿と叔母を笑いし心の奥は * * 一読して、意味不明とまではいわないが、非常に意味が取りづらい難解晦渋な一首だと思った。 キーワードは「孫馬鹿」である。こんな言葉があるはずがないと勝手に思い込んでいたので、ワケが分からず暗中模索だったのだが、JiM*NYさんのコメントで、「親バカ」に準(なぞら)えた「孫バカ」だと分かって、やっと一首の意味が解読できた。 ・・・思い込みって恐ろしいし、日本語って難しいとつくづく思う ――作者から見て「叔母」すなわち母の妹を「孫バカ」だと母が笑った(嘲笑った?)が、母も内心(その「孫バカ」に)なりたいのだろうと、(子がいない?)作者が思っているということか。 なるほど、そうして見ると、なかなか深い心理を抉った作品かも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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