カテゴリ:近代短歌の沃野
北原白秋(きたはら・はくしゅう) 「桐の花」より 春の歌 五首 春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕 ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫ひそめし日 かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざし あまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな 廃れたる園に踏み入りたんぽぽの白きを踏めば春たけにける 歌集「桐の花」(大正2年・1913) 註 な鳴きそ鳴きそ:「鳴くな鳴くな」の意味の上古語。 かくまでも黒くかなしき色やある:これほどまでに黒くかなしい色があるのか。「かなし」は、古語としては「悲しい、哀しい」ばかりではなく「(心を揺さぶられるほど)美しい、感動的だ」などの意味を含む。 たけにける:爛漫(らんまん)、酣(たけなわ)だったなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.04.05 15:44:14
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