カテゴリ:俳句ちら読み 逍遥遊
『プレバト』(大阪MBS制作、TBS系全国ネット)1月25日放送。
兼題は「美容院」。 アインシュタイン・河井ゆずる 待春の病室祖母に巻くロッド 出来が良(ウェルメイド)すぎて、一瞥あんまり面白くないと見えるほどの秀句。芸術の名作とは、えてしてそういったものだとも思う。 ・・・と言ったら褒めすぎか(まあいいか) ![]() 美容師さんを呼んで、闘病中の祖母の髪をセットしてもらった。カールのロッドを巻かれて嬉しそうな顔をしているおばあちゃん、早く元気になってね。春が待ち遠しい冬の病室である。 視聴者を毎回唸らせる作者は、番組構成上この一句で「特待生」に昇格。 相方・稲田は「レベルが高すぎてついていけへん」と泣いて笑わせた。 ただ、個人的には、「待春」という漢語がちょっと硬いので、「春待ち」ではどうかなと思う。 柏木由紀(AKB48) ほのほのとパーマヒーター冬の朝 評者で俳人の夏井いつき氏添削。原作は「ほっとするパーマのヒーター冬の朝」。夏井氏は、濁らない「ほのほのと」という万葉集のごとき上品な上古語文語を持ってきて推敲、表現の格調が加わった。 全体の発想はありきたりかも知れないが、パーマネントのヒーターが暖かくて春を思ったというあたりに小さな発見と新味があり、悪くない出来。 森口瑤子 就活の黒髪木枯に束ぬ 原作「就活の黒髪は艶失せて冬」。女性のかなしみみたいなものの表現に長けている作者の原作もまずまずなのだが、「艶失せて」と「冬」が即きすぎて説明的・散文的なところを、夏井氏がさすがの大胆な改変。きりっとした鮮烈なイメージの詩(韻文)になった。 武尊 金髪に変え一月のゴング待つ 原作「金に染め宙舞う一月勝ち儀式」。格闘家ながら俳句もけっこう上手い、まさに文武両道を地で行く作者だが、今回は思いと素材をあれこれ詰め込みすぎて失敗。ちょっと何言ってるか分からなくなってしまった。 夏井氏の見事な添削で、すっきりとした佳句になった。 試合の方も頑張ってください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.30 04:54:46
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