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父をデイサービスに送り出すとき、服装に目が止まった ベストが冬のものになっているのだ 服装は本人に任せているのだが 冬物なんて、いくらなんでも暑いだろう 父がベストを着るのは、単にベストが好きだからではない 施設の中で、自分の場所を特定するためのようである トイレへ行って帰ってくると 自分の場所が何処だったか、忘れてしまうようである 場所が毎回、固定されているわけでない 毎日、不特定多数の人たちの出入りがあるわけだから 固定することは、不可能なことなのである いつも替わる自分の席を、「今日はここ」 という記憶を 持つことができないようなのである だから、目印のために椅子へベストを掛けておくというのだ というわけで、デイサービスへ行く日はベストが必要なのである ただ、春、夏用のベストがあるわけで 何枚か買い置きがしてあり、入れておいてある場所も シールを貼って、ひと目で分かるようにしてある なので、そこから取り出して着ることができるのに どうして、わざわざ冬のものを引っ張りだしてきたのか 私には理解できなかった そのベストも、父と一緒に買いに行ったものだから 本人が気に入っているものの、はずである それで父に、どうして冬のベストを着ているのか聞いてみた そこで分かったのだが、柄とかチェックとかが無いベストは 自分のものだという確信が持てないというのだ 「えーっ! 特徴がないと自分のものという自信が無くなるの?」 ‥これはチョッとショックな言葉だった そんなにも、自分が頼りにならないなんて 私のように自分大好き人間にとっては、信じたくない言葉である 結局、胸のポケットに目印になるものを付けてあげた それで本人も大丈夫だというので、デイサービスに送り出した なんだか老いるって‥ 悲しいなぁ‥ 心も体も、そして脳細胞も、元気で生きていたいと思うのだった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月27日 12時44分46秒
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