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カテゴリ:碁
後手をひくなかれ
黒30でH-16の白一子は動けない。しかし、上辺の黒はすでに活きており、あまり大きくはない。白は31から33をキカし、35と盤面最大のところにまわる。さらにここで黒が36、38と後手をひいたので、白は39までキカして41まで打ってしまった。やりたい放題である。 黒42―。こんなもたついた手を打っていてはたとえ中盤まで互角であっても、とても勝てないとしたものだろう。白43から45までキイてしまい、後に85の点が白の権利として残る。 白47から49に黒50と助けたのも後手だが、ここへきてはやむをえないだろう。 白は51以下、店じまいにかかる。もうほとんど打つところはない。 黒64から66にノゾいて、すわ事件かと思ったが、白67から69で何事もない。黒70は後手2目のハネツギ…のはずだったが、ここでハネ一本で手を抜いて黒72(みつけにくいだろう。J-5である)とこれまた小さいところを打ったので、白はよろこんで73抜き。これに対し黒74と打ったために、白75のハイを打たれて、ダメがつまるとけっこう味が悪い形になった。黒74では、S-3が筋だろう。これに対して白75なら、黒76とオサエて白がツイでも手が抜ける。 黒80に白81と味よくカカえ、黒がさらに82、84とまたもや後手をひいたので、白は権利の85に手をまわし、87から89にまわり、どこも味が悪いところはなくなった(もっとも、どこかが取られるとかではなく、大きく地が減るという意味での「味」である)。 本譜のテーマは、「後手をひくな」である。黒の打ち方を見れば、後手をひくことがいかにひどいかがわかるであろう。次々と白に大きいところを打たれ、みるみる差が開いていく。黒優勢の碁だったら、「みるみる追い上げられる」ということになる。実際、置碁の黒の負けパターンは、後手をひくことを繰り返してずるずると後退するというものが多い。たとえ後手をひかざるをえないにしても、さらなるヨセを許さないよう心がけることが大切である(右下黒74でS-3と打つのがいい例)。そして、どうしても単純な後手ヨセしかない場合は、大きいところから打つ。当然のことだがこれがなかなか難しいのである。 上辺黒96は、後手ヨセとはいえ、同じ点に白が打てば先手になるので、これは「逆ヨセ」で、単純な後手ヨセの倍の価値がある。これに対する白97も逆ヨセ。黒が先に97に打てばアタリであり、黒先手になる公算が大きいためである。では先に黒が96のときに97に打てば両方打てるではないか、と思う方もいるかも知れない。だが、その場合は残念ながら黒97に白はここをツガずに96にアテる。左辺の白一子抜きと上辺黒六子抜きでは比較にならないので、両方打つわけにはいかない。 さて、終局が近づいてきた。勝負という意味ではとっくに終わっている碁だが、形式上の「終局」にはもう2、3手かかる。ただし、普通なら、である。 黒98に白99と、いよいよここのダメがつまった。ここで黒は100(左辺である。なお、ここを打つなら一路右であろう)と右下の手入れを拒否してきた。さて、ここで白からどんな手があるだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.03 22:55:33
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