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カテゴリ:碁
奇跡の大逆転 本譜もまたも逆転の譜である。黒番でもなかなか楽に勝たせてはもらえない…。 今回は黒1、3と秀策流志向。やはりこの布石は手堅いのが魅力である。まず滅多に「5」は実現させてもらえないが…。 白6と変則的なワリウチ。対して黒も7と趣向(?)のシマリ。白8と左上をシマったので、黒9とツメる。白10―。またしても早々に変則の一手だ。黒11以下、左辺の模様化を拒否、白16までとなった時、今度は黒17と上辺を制限。白24と意地(?)で止めてきたので、ならばと黒25の早治まり。白は26とあくまで厚い。今度は下辺を広げられそうなので黒27と阻止。白28と代わればキカシだと思った。29とトンで右下方面をひろげて好調と思っていた。 白30―この一手で、狐立していた右辺の白がにわかに躍動しはじめたように見えるのはヤキモチだろうか。すぐツケコシは自信がもてなかった。黒31から、だんだん打つ手が固くなる。白は38と二段にハネて勢いがいい。カッとなって黒39と切ったが、これは白42のシボリが見えすいている。白44まで、ちょっとユルんだものの、白十分だろう。45では30の左にすぐ切るのだったか。47まで、ずいぶんと圧迫されたものだ。よくよく見ると黒、相当なコリ型だ。48から広げながら黒地を制限し、白調子がでてきた。 黒53と上辺に向かったが、これは打ち過ぎで、1路ひかえるか、55にトブぐらいのものだろう。すぐ白58と打ち込まれて苦しい。こうなったら55では三々にフリカワってしまうべきだろう。黒59は姑息。右方へのワタリを担保した手だが、これで左上隅の三々入りはなくなった。黒61とトンだが白62とツケられ、ここが止まっては大差の劣勢である。黒は方々でキカされまくって地を最小限に制限されているのに対し、白は左上、左下両隅がいい地だ。さらに中央もけっこう大きい。で、黒63以下の味つけ(失敗)から67以下の玉砕戦法に出た。白70は当然で、72まで、取り残された中央の黒が丸のみにされる―普通は。 しかし、本局ではここで最初の奇跡が起こる。黒73以下のアガキから、85まで、なんと脱出してしまったのだ。ここは重大なポイントなので少しみてみよう。 〈参考図1〉 実戦白78で、〈参考図1〉の1とツイでしまったらどうだろう?黒2をキカして、第一感は黒4のツケだが、白5に6ではうまくいかない。黒6で― 〈参考図2〉 〈参考図2〉の単キリではどうか。白2以下、黒5のときうっかり白6と抜くと黒7以下一本道で、これは白ハマリだ。白12まで抵抗しても13まで。白Aに入れない。 〈参考図3〉 前図6では、白1と戻るぐらい。しかし今度は、黒2以下、黒6まで脱出ムードだ。7と8が見合い。 したがって、意外にも実戦の白78はしかたがないようだ。 では白84で― 〈参考図4〉 〈参考図4〉の白1と切ると、黒2のコスミツケがシノギ筋のようだ。白3は黒4、6でAとBが見合い。 〈参考図5〉 前図白2で〈参考図5〉白1なら、黒2とキリチガエて、白5と戻らせて黒6、8まで。これもAがあるので白6の上に切れない。こうしてみると、実戦黒85までは存外妥当だったのかもしれない。 黒89、91はただのコウダテ損としか思えない。しかし、ここで黒93が勝負手。左下を荒らして一気にばん回をはかる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.03.29 21:35:48
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