『蠅の王』 著:ウィリアム・ゴールディング
近未来。
大戦中に飛行機が打ち落とされ、
洋上の孤島に取り残された、少年たち。
最初は漂流紀っぽく、きらきらと輝く南の島の美しさや、
大人のいない世界を存分に楽しむ男の子たちの、
楽しそうな冒険生活が描かれている。
がしかし、次第に統制が取れなくなり、
無秩序になっていく、少年たち。
救助されるためには、烽火を絶やしてはいけない、
と主張する、選出されたリーダーと、
生きていくためには狩をしなければならない、
と主張する狩猟隊のリーダーの、衝突。
集会では、ほら貝を持った者しか発言してはいけない、
救助されるための烽火を絶やしてはいけない、という、
簡単なルールでさえ、守れない。
それは単に、少年たちが幼いから、
という理由だけではないような、気がする。
居もしない獣に怯え、在りもしない化け物の夢に泣き、
それを打ち消すかのように、暴走する少年たち。
とうとう、死人まで出てしまう事態になるが、
それでも野性に目覚めた少年たちの行動は、
とどまるところを知らない。
「野性に目覚めた」という言葉も、
間違っているのかもしれない。
野生の動物たちは、彼らのルールの中で生きており、
闇雲な諍いや、無駄な殺生は、しないのだから。
人間とは、状況が状況であれば、
それ以下になりうるのか…。
偶然の煙が発見され、迎えに来た大人の一言。
「楽しそうに遊んでいるじゃないか」
に、ゾっとした一冊でした。
ランキングも
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【参考】
◆その他、ウィリアム・ゴールディングの著書は→
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