2006年10月30日 今朝のモーニングセミナー その3
つづき今の東京がまだ江戸と言われていたときの実話です。天保年かんのころ、幕臣の一人に須原通元(すはらつうげん)という家の改築工事の話です。大工が須原家の板壁をとって窓を作ろうと板を剥がしていると剥がした板の後ろに、ちょうどまたのところに、くぎで打ちぬかれた守宮(ヤモリ)を発見しました。宮を守ると書いて、ヤモリと書きます。あまり気持ちの良い動物ではありませんね。大工の棟梁が、主人の通元を呼んで、見せました。主人に聞くと、以前に模様替えしたのは7,8年前であった。きっとその時に偶然くぎに、打ち抜かれていたのであろう。まだ生きているとは、実に不思議なものだとその守宮を大勢で眺めていました。すると、もう一匹のヤモリがちょろちょろと出てきて、くぎさしのヤモリにムシを食わせました。それを見た通元がひざを叩いて感心して言いました。やはりえさを運んでいたのだなと言いました。どちらがオスでどちらがメスかは分からないけれど、身動きの出来ない相手に何年もえさを運んでいたのでした。「棟梁早く助けてやれ」と言い、くぎを抜いてやると、二匹のヤモリは、逃げていきました。このありさまを見ていた女中でオイチという女が泣き崩れました。おどろいた通元が訪ねると、今すぐにお暇をいただきたいと言う。その事情と顛末は次の通りでした。オイチは千葉で一旦嫁入りをしました。数年たたないあいだに、夫が忌まわしい剛病のライ病にかかってしましました。耳が溶ける、鼻が溶けるという恐ろしい病気、ハンセン氏病です。イチは、ライ病にかかった夫がきたなくて、嫌で嫌でたまらない。離縁を申し出たが、ガンとして聞いてくれない。今の時代ならともかく、当時は、妻が夫の離縁状をもたないまま家を出ると、手が後ろに回った時代です。それでもあまりにも夫がきたない。嫌でたまらない。オイチは逃げるようにして、江戸に出て、つてをたどりつき須原家にやってきたのです。当時、武家に入ると流石に武家屋敷には追手は来ない。今日ただいま目の前で2匹のヤモリを見て、自分と言う女がいかに冷酷かを思い知らされた。もう一度夫のもとに帰りたいという。オイチは一旦生家(実家)に帰り、仲人とともに夫を訪ねたそうです。すでに重症の夫の枕もとで、イチは心の底から詫びをいれました。すると、寝床から、はいずるように夫はでてきて、言いました。自分は何の因果か剛病にかかってしまった。本心ではおまえを、実に里に帰してやろうと思っていた。しかし嫌がるおまえを見て意地でも返すまいとしてしまった。いまの詫びを聞いてすっかり、怒りが癒えた。喜んで離縁状を書いてやると言いました。イチは離縁状を戴きに来たのではありません。もう一度あなたの傍においていただきたくお願いにきたのですと言い、しっかりと手を取り合い抱き合ったそうです。それから、イチの命がけの看病が始まったのです。人間が命がけで看病をしたので、すでに命が危なかった夫は、奇跡的に快方に向かい始めたのです。二人は幸せな余生を送ったそうです。この実話は、戦前講談社から、発刊され東西感動美談集という本に掲載されたそうです。たとえどんな時代になろうとも人間生活が続く限り、真心が大事であることが変わりないはずです。私を含めて、皆様の家庭生活を振り返ってみてください。動物のヤモリに恥ずかしい生活をしてはいませんでしょうか?私も折に触れ思い出し、自分の生活を反省していきたいと思います。最後に、結語の部分を読みます。48ページの終わりから3行目です。ゴシックの太文字で書いてある部分です。夫婦が互いに相手を治したいと思うのは逆さである。ただ自分をみがけばよい。己を正せばよい。そのとき相手は必ず自然に改まる。夫婦はいつも向かい合った一組の鏡である。あらためて結語の部分を心に刻んでいただきたい。相手を何とかしようと言うのではなく、己を磨き己を正すだけでよいのです。この実践にどうか徹しきっていただきたい。今以上に見事な人生を切り開いていただくよう念じて終ります。ありがとうございます。☆━━━…………‥‥‥連絡事項‥‥…………━━━☆ 世良事務局長皆様おはようございます。先ほどのビデオの川崎先生は、今年8月に他会されました。ご冥福をお祈りします。ありがとうございます。 以上☆..:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆..:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆..:*:・゜誤字脱字がたくさんあることと思います。特に、お名前など固有の名称間違いについては、失礼をお許し下さい。テープ録音無しの即興メモですから、ご発言の趣旨と違う場合もあることでしょう。大変失礼とは存じますが、大きな心でご容赦くださいますようお願いします。皆様には、そのような問題を多分に含んでいることをご理解戴き、取扱には配慮をお願いします。ただ、数値や金額などでご商売に差し障るような間違い、個人や会社の名誉・信用にかかわる間違いについては、訂正文を送らせて頂きます。そのような点が見つかりましたら、ご指示くださいませ。お付き合いを戴きありがとうございます。 文責 梨木健太郎 拝